三歳です。いつの間にかチート能力持ってました。マジヤヴァイ……
ッエーイ☆おっすオラクリス!どこにでも居る三歳の幼女だぜぇ♪
……はい。皆さんこんにちは、クリスです。この度僕は三歳になったのですが、現在絶賛現実逃避中です。
何故そんな事をしているのか、だって?それにはマリアナ海溝よりも深ーい訳がありまして……。
なんだ、せっかくだから聞いてやる?ならば話しましょう!この身に何があったのかを……、時は数時間前にさかのぼります。
僕は今日で三歳になった。
もう服は自分で着替えられる様になったし、走ることも出来るようになった。なので、屋敷内はほぼ自由に動き回れる。入れないのは、執務室と厨房くらいか。
もちろん喋ってもおかしくない年なので、屋敷の人とは普通に会話している。三歳の子が「普通」に会話出来るのがおかしいのだが……それは気にしないことにしよう。
ちょっと成長が早いだけ、という設定だ。
三歳になった僕の1日のスケジュールはこうだ。
7:00 起きる。というか、リリアに起こされる。耳元で囁かれて毎日どぎまぎしてしまうのは秘密だ。
7:30 朝食だ。家族と使用人同じテーブルを囲んで食べる。この家では使用人は少ない方なのと、この屋敷の主人である父ジョセフの意向だ。あまり庶民と壁を作りたくないらしい。
8:00〜 このあとは昼時まで自由時間である。僕はまだ三歳なので当たり前だ。
(ドヤ)どうだ、羨ましいか!ニート生活満喫だぜ!僕は何処にいるとも分からない奴らに向けて精一杯自慢してみる。
……実は物凄く暇なのだ。この世界には娯楽が少ない。子供の玩具はあるにはあるのだが、僕の場合中身がアレなので、年相応の遊びは肌に合わない。
ぶっちゃけ、積み木とかで遊んで何が楽しいのか!!積んだところでそれだけじゃないか!!ということである。
13:00 昼食である。この世界ではどちらかと言えばおやつタイムみたいな位置付けである。大抵軽いものとお茶しか出てこない。
一日三食を食べていた身としては、どうにも物足りないのだが、日本でも昔は一日二食が普通だったというし、そういう物だと納得することにしている。
13:30〜 やはり夕食時まで自由時間である。
暇だ。
だが、この時間になるとリリアの手が空いてくるのでリリアと雑談して過ごす。なので午前中に比べて、あまり退屈ということはなかった。
とはいえメイドである限りはいつも仕事が無いわけでは無い。そういう日はやっぱり午前と同じく退屈な時間を過ごすことになるのであった。
19:00 夕食だ。貴族であることもあって、かなり豪華である。実はこれが一日で一番楽しみだったりする。
20:00 入浴だ。風呂が無いことを危惧していたが杞憂だった。
この屋敷には大浴場があった。が、リリアに聞いた所、やはり家に風呂があるのは貴族か裕福な商人だけらしい。
貴族にうまれて良かった……。
あと、そのお風呂はリリアが一緒に入ってくれる。僕が風呂で溺れたりしないようにと、イリーナに言われてのことらしい。これに関してはもはや子供の特権である。(中身は実質十九だが)
くふっ、くふふふ、十五歳になったリリアの身体はそれはそれは立派で……ゴホンッ。
まぁそれはそれとして毎日風呂に入れるということはこの世界では、とんでもない贅沢なのである。
21:00 就寝である。リリアが添い寝をしてくれる。
あの例の話をしたというのに、やっぱり子供扱いされている気がする。
リリアは年頃であるから、一緒のベットに潜るという行為が、とてつもなくいかがわしいことに感じてしまうのだ。
そういう訳でやめてほしいのだが、リリアは聞く耳を持ってはくれない。
「ねぇ、リリア……僕一応十九……」
「とんでもありません。クリス様は三歳の可愛い女の子ですよ?私が守ります!」
「……」
こんな感じである。ともあれ、以上が僕の一日のスケジュールなのだった。
言い忘れていたが、この世界の時間感覚はアースとほぼ同じで問題ないようである。
一日は24時間、一週間は7日、一ヶ月は5週で、一年は10ヶ月350日である。概ね問題無さそうだ。
ここまで説明したところで話を戻すが、僕が三歳になって気付いたことがある。
この世界にはステータスがあるのだ!!
テンプレ、テンプレである。今更?と思う人もいるかもしれないが、今の今まで思いつきもしなかった。
普通そんなものがあると思うわけが無いのだ。転生したところで、そういうものがあると確信している主人公がおかしい。
というわけで僕は正常です。はい。
実際、リリアと雑談していたときにステータスについての話を聞いて初めて思い至ったのだ。
この世界では、十二歳になると、スキル鑑定の儀を行うらしい。その時に持ったスキルで人生は半分決まると言っても良い。
貴族、平民に関わらずだ。その時にステータスも鑑定するらしい。
ちなみにこの世界にもやはり魔法があるらしい。これもリリアに聞いた。
「魔法ですか?四元素魔法に加え特殊属性として、氷、聖、邪、無属性がありますね。ちなみに四元素というのは火、土、水、風のことをいいます」
ということらしい。というわけで僕が先程から言いたかったのはステータスについてである。
今僕の目の前には白く光るステータス画面が開いている。
そう、昨日まではリリアに話を聞いた通り儀式を行わなければステータスを知る方法が無いと思っていたのだが、ふと思いついてなんのけなしに「ステータスオープン」と唱えてみた。
その結果がこれである。
(この世界ステータス画面あるんかい!)
だが、問題はそこでは無くて、そのステータスの内容にあった。
そのステータスがこれだ。
クリス・ルバーノ
3歳 ♀
HP: 2532/2532
MP: 14650/14650
PW:351
DF:289
MD:855
LK:777
ここだけ見てもすでにおかしいような気がするが、この世界の標準がわからないのでとりあえずスルー。次に、スキルだ。
スキル
愛嬌:周りの生き物に懐かれやすくなる。効果は全ての生物に及ぶ。
魔力操作:魔力操作がやりやすくなる。
魔力増大:魔力を限界まで消費することで、魔力最大値を増やすことができる。また、回復速度も上昇する。
創造魔法:神々だけが使えると言われる、万能魔法。使うには造り出したいものと同量の魔力物質が必要。
物質は無限にストック可能。魔力物質は、魔力から作るか、魔物を分解することで生成可能。
生物は生成不可だが、現在生きている生物に付属する器官なら改変可。
魔力物質から生成したものは再び分解して再使用が可能。
現在魔力物質残量:1/∞kg
時空間魔法:亜空間生成や空間を瞬時に移動することが可能。時空の狭間を越えし者のみが使用可能。
と、あった。……なんだこれは。上3つのスキルは問題無いのだが下2つがおかしい。
神々しか使えない魔法だぁ!?
じゃあなんで僕がそんなものを持っているんだ!! 種族は確かにヒト族となっている。神は何を考えているのだろう。
時空魔法も十分チートだ。おそらくこのスキルを持っている者は世界に数えるほどしかいないのだろう。時空を越えるなどという経験をする奴がそうそう居るわけがない。
しかし、貰ったもんは貰ったもんでしょうがないのでスキルを試すことにした。
まずは時空間魔法を試す。亜空間生成が出来るとあったので、広い空間をイメージしながら念じてみた。すると、簡単に生成することができた。
今目の前には真っ黒い空間が口を開けている。恐る恐る覗き込んで見るが底は見えない。
「随分と広いみたいだな。これ」
試しに床に転がっていた積み木を投げ入れる。音はしなかった。空間にはおそらく上も下もないのだろう。落ちるべき床なんて無いのだから当然だ。今度は空間に手を突っ込んで積み木を取り出そうとしてみた。すると、あっさり見つかって取り出すことが出来た。
「これ、アイテムボックスだ」
数多の転生物では必須項目とも言える、アイテムボックスである。
実際に目の前にすると、都合が良すぎて困惑してしまう。次に瞬間移動だが……、人に見られたらヤバイだろうし、まだ三歳なので急に何処かへ行ってしまったら騒ぎになるだろうからやめておくことにした。
次に創造魔法である。まず魔力物質残量が1kgと表示されている。なので、僕は手の平にその魔力物質を出す様にイメージする。すると、ひとかたまりの灰色の粘土のような物が出現した。
ずっしりと1kg分の重さがあった。今度は積み木をイメージしてみる。するとみるみる粘土状の物質が、硬い材木を使った大量の積み木へ変わった。質感は完全に木である。
不思議だ。
「おお、凄い。まるで本物……、というかマジで本物だ」
僕が元の状態に戻るよう念じると、瞬間的に分解されて粘土状の物質へと戻った。
もう一度、側にあったぬいぐるみの形をイメージすると、ふっかふかのぬいぐるみになった。本当になんでも出来るらしい。
だがさっきと違い手元にいくらか物質が残った。なるほど、質量分しか使わないらしい。
「これ……炎とか氷とか出せるんじゃね?」
僕はちょっと興味をそそられたので、炎をイメージしてみた。
大失敗だった。端的に言うと、めっちゃデカイ火の玉が出た。
(うぉあアッチィ!!)
めっちゃ心臓に悪かったですよ。
僕はすぐさま炎が消えるイメージをした。炎は消えたが冷や汗が止まらない。これもしばらく封印だろう。
最後に一番重要な事を試す。創造魔法の説明の後ろの方に書いてあったことだ。
まさかの、生物の器官を改変できるというのだぁ!! こここ、これなら、僕の悩みを解決出来るかもしれない!
そう思い、僕は意気揚々とソレを自分の下腹部にイメージした。すると、下腹部が少し膨らんだ様に感じた。
着せられていたスカートをたくしあげ、ドキドキしながらソレを確認した。
パンツをズラすとそこには……三歳とは思えない、ビックでクールなマグナムがチン座していた。
「おっと、失敗しちゃったZE☆」
僕としたことがつい、張り切ってしまったZE☆
僕は静かに年相応のモノへ「グレードダウン」させる。完璧だ。だがこれで分かった。これなら幾らでも男の浪漫を実現することが出来るだろう。
僕のテンションはアゲアゲだった。
(フフ……フフフフ、くふ)
パンツの中身を僕がニヤニヤしながら見ていると、突然部屋の扉が開いた。リリアだ。
「……」
「……」
ど、どうしよう。リリアの目は僕の決定的瞬間を捉えている。
スカートをたくし上げて、ニヤニヤしながらパンツの中身を除く僕の姿を!! 傍から見れば変態である。変態通り越して変質者である。
「リリア……これは違うんだ」
慌てて取り繕ったが、リリアは部屋に入った時の体勢で微動だにしなかった。僕は現実逃避を始めた。
と、いうのが冒頭までの展開である。
現在スカートをたくし上げたままの僕と固まったリリアが居る。
双方しばらく固まっていると、リリアの方が早く復帰したようで、何か言おうと口が動くのが見えた。
それを見て一足遅く我に返った僕はとっさに言い訳を言おうとする。
「……リリア、これは」
「まさか、おもらしですか?」
「え、いや違うよ。気にしないで」
「クリス様、嘘はいけません! そのままにしたらばっちぃですよ!」
「だから違うって」
どうやら僕がもっと下品なことであの行動を取ったのだとは思っていないようである。
てかおもらしって。
僕がこんな年になってすると思っているのだろうか?
「見せて下さい、ほら!」
今のこの状態を見られるとまずい。
慌てて隠そうとするが、リリアの力に幼女が勝てるわけもなく、あっという間に取り押さえられてしまった。
今の僕は処刑を待つ罪人の気分である。まずはスカートを捲くられた。
「あれ?濡れてませんね」
それを反論のチャンスとみた僕はすぐさま反論しようとするが
「ほら、もらしてなんか「あっ、なんかもっこりしてます! まさかそっちの方でしたか!」」
そっちって何だよ。
リリアの手がパンツへと伸びた。
「ますます放置しちゃだめじゃないですか! だめですよ! ちゃんと言わなきゃ……あれ?」
見つけてしまったようだ。どんな反応が返って来るのかとドキドキしながら次の反応を待っていると、
「何ですかこれ? まさかいつの間にこんな大きなイボが!? クリス様! 体調にお変わりはありませんか? 気持ち悪くはありませんか! 熱はありませんか?はわわ」
(ええ!?)
思っていた反応と全然違った。むしろますますめんどくさい方向に話が転がって行ってしまった気がする。
僕は誤解を解くため恥ずかしいながらも仕方なく話すことにしたのだった。
「リリア、これはイボじゃないんだ特に体調が悪くなることはないから安心して?」
「そんな……ブツブツ、もしもクリス様に何かあったら……ブツブツ……え?」
何か物凄く狼狽えていたリリアは、一転して頭上にはてなマークをたくさん浮かべた。
「じゃあこれはなんですか?」
リリアがパンツを引っ張って覗き込む。僕は一瞬喉をつまらせながらも、その答えを言った。
「これはその……男の証だよ」
「男の証……?? ……! あっ、ああ~……でも、なんか……」
なんだか納得していないご様子。
「?? どうしたの?」
不思議に思い、僕が訝しげに尋ねると、
「おちんちんってもっと大きいものじゃないんですか!? お父さんのと全然違います!」
(おっ、おちっ!?直接的過ぎるよ!? てかお父さんって)
「リ、リリア、淑女がそんな事言ったら……」
「はっ、申し訳ございません! つい……、でもどうしてクリス様がその、男の子に?」
「それはね、話せば長くなるんだけどね……、それは僕のスキルのせいなんだ」
「そうなんですか……、はれ? でも儀式は十二歳ですよね? 三歳のクリス様がなんでご自身のスキルを知っているんですか?」
リリアがもっともなことを聞いてくる。
「それは……かくかくしかじか……、で」
僕はリリアにさっきまでのことを説明した。
「そ、そんなことが!?」
リリアは少し大げさとも取れるぐらいに、驚いていた。彼女は純粋に驚いているのだろう。可愛い。
「どうやって見たんですか!? 私にもできますか?」
リリアが目をキラキラさせて迫ってくる。
この世界の人もステータス画面を開けるのか僕も気になっていた所なので、その魔法の言葉を彼女に教えた。
「えっと、ステータスオープン……こんな感じですか?きゃっ」
彼女が唱えると、僕の時と同じように白く光る画面が出現した。
やはりこの世界の住人なら誰でも見ることが出来るようだ。
「出ました!ほら、クリス様見てください」
そう言って彼女は自分のステータスを見せてきた。
「えっでも他の人に軽々しくステータス画面を見せるのは……」
「クリス様ならいいですよ!ほら、早く」
そうやって半ば強引に、彼女のステータスをみせられてしまった。
リリア
ヒト族
15歳 ♀
HP:3234/3234
MP:4572/4572
PW:435
DF:231
MD:459
LK:343
スキル
家事万能:家事に関してあらゆることをこなすことができる。家事作業の精度があがる。
棒術:棒を扱った戦闘が上手くなる。あらゆる棒を武器として扱える。
聖魔法・初級:簡単な傷の手当てが出来る。擦り傷くらいなら傷も残さず完治させられる。
リリアはかなり優秀なメイドのようだ。だが、気になる点がやっぱりあった。
僕のステータスがおかしいということである。リリアのステータスと見比べると幼児にしてはステータスが異様に高いと思う。
MP至っては3倍LK値も2倍はある。ほかの数値もほぼ成人のリリアに迫っている。これは明らかにおかしいだろう。
自分がかなりチートな生物である事に頬を引くつかせていると、リリアが感想を訪ねてきた。
「どうですか?私のステータス」
「リリアは優秀なメイドだね」
「そんな、私が優秀だなんて……母さんにはいつも怒られてばかりなのに
」
率直な感想を述べると、少し頬を染めて照れた。いいね。が、すぐに僕の微妙な表情を見て心配そうに聞いてきた。
「クリス様、どうかされました?……私、わかってますから。無理してお世辞を言わなくても……」
「えっいや、リリアは優秀だよそんな落ち込まないで!?ほら、僕のステータスがあまりにもおかしいからさ!?」
どんどんどんよりするリリアを宥めながら、僕は問題のステータス画面を彼女に見せた。
ステータス表を読んだリリアは、一行読むごとに険しい表情になった。
そして、一言。
「マジヤヴァイ……」
「ですよね」
二人でひとしきり頷きあったあと、リリアが真剣な顔で、
「クリス様。これは、誰かに話すのは危険です。二人だけの秘密にしましょう」
そう言ってきた。僕も同意である。
「ああ、頼むよ」
固く握手をした僕たちは、この後はいつものように雑談をして過ごした。創造魔法で彼女にネコミミを付けて遊んだのは秘密である。
リリア「そうだ、創造魔法見せてください!」
クリス「イイゾ^〜、それっ」
リリア「あれ!?私の耳にネコミミが!?ひゃっ」
クリス「デュフフ……こんな可愛いお耳は、こうだ!!」
リリア「ひぅ!?……ひゃんっ…んっ…ふにゃぁ……
♡」
こんなことがあったとか無かったとか。