プロローグ3
誤字・脱字が有るかもです
シャワーの音が響くバスルーム、紅葉は目の前にある鏡に映る己の顔を睨むように見ている。
面倒くさいと思い、切らずに肩まで伸びた白銀の髪、線は細くまるで女性みたいな顔立ち、そして右目は蒼く、左目は紅く、左右の瞳が違う色をし、蒼紅のオッドアイになっていた。
「ちっ」
と舌打ちする紅葉には理由がある。
紅葉は小学校高学年から中学一年にかけて、この容姿の所為でイジメを受けていた。
綺麗な白銀髪に妬みを抱いたクラスの男子達からの嫌がらせ。
蒼紅のオッドアイを気持ち悪がっていた生徒からのイジメ・・・学年の殆どからのイジメを耐えていたが。
中学一年の時に事件が起き、その日から紅葉は学校に行かなくなった。
そして二年がたった中学三年の時、まるで別人のようになって登校してきた紅葉に二年前のようにイジメをしようとするクラスの男子達、誰も止めようとも気にする者は居なかったんだが、紅葉のとった行動にクラスに居た一同は唖然とする。
紅葉は二年前みたいに髪を引っ張ろうとする男子の手を避け・・・そして、『フンッ!』と掛け声?と共に髪を引っ張りに来た男子に金的をした。 股間を抑え教室の床にのたうち回る男子の頭を踏み、『今日から、この俺にちょっかいをかけた奴、並びにこの俺を怒らせた奴はこいつみたいになるぞ』と一声。
反応出来なかったクラスメートの中で紅葉のイジメをしていた中心の男子が怒り、仲間?と共に紅葉に飛びかかるも、全員が『フンッ!』と掛け声?と共に金的をくらった。
そして、その中学校では誰も紅葉に逆らう事が無くなった(一部を除いて)。
また高校に上がった今でも、紅葉にちょっかいを出そうとする者達がいたが。
その者達も紅葉の強さには敵わなかった。紅葉のいた高校でもイジメが多数あり、誰も助けようとしなかった中、紅葉だけはそのイジメを受けている生徒達を助けた(廊下を通るのに邪魔だったし、なによりイジメを受けていた時のイライラの腹いせしただけ)。そして現在、紅葉は高校から”いじめられっ子達の英雄”とまで言われ、さらに高校側からイジメを無くしてくれた事を賞賛された。
「はぁ・・・どうしてこうなったんだ」
と紅葉の一言がバスルームに静かに響いた。
シャワーを浴び終えた紅葉は体を拭き、髪をドライヤーで乾かし、もう着慣れた制服を身につけ、いつものように白銀髪を纏める。
その姿は男子の制服を身につけた女子だ。髪が鬱陶しくなったのか、「髪、切ろうかなぁ」と呟き着替えを急ぐのであった。
「・・・くぅにぃ、おまたせ・・・」
「くぅ、ゴメン、待たして」
シャワーを浴び終え玄関スペースでスマホを片手に待っていた紅葉の元に二人が来る。
「んーや、そこまで待ってないよ」
「・・・くぅにぃ、スマホ、で、何してたの・・・?」
「ん?ああ、前に春馬がオススメのサイトだって言うから見てみたら、予想以上にハマってな」
「何てサイト?」
「小説家になってみる?って言うサイト何だが、まぁ小説を書いてみたいって人達が書いて投稿した、いわゆるネット小説読み放題のサイトだ」
「・・・くぅにぃ、寝る前とか、いつも、スマホ、見ていたのは、それだったの・・・?」
「あ、ああ異世界物の小説が凄ー面白くてさぁ」
「異世界?異世界って別の世界の、つまりファンタジーって事?」
「ああ、転生して異世界に行ったり、召喚されて異世界に行ったりしてな」
「・・・ふぅん、あ、・・・くぅにぃ、じかん・・・」
「ん?そうだな、そろそろ行くか」
「うん」
紅葉の話が長くなる事を察した炎が話を切り三人は家を出る・・・しばらく・いや、もう帰ってこれないかもしれない事を知らずに
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登校途中の三人は見知った顔に出会う
「よう、春馬、柚子っちおはよう」
俺が声をかけると前を歩いていた男女の二人組が振り向く
「ん?あぁ紅葉達かおはよう」
今返事をした男の名前は、成宮春馬、俺とは十年ぐらいの付き合いになる幼馴染みだ。茶髪に伊達眼鏡のイケメンで高校の女子からも人気がある・・・が、しかし・・・
「なぁなぁ紅葉!昨日のミロファン見たか?、ヒロイン達が可愛いく描かれてたな!」
・・・見てわかる通り、オタクだ、それもかなりの。俺自身親父があんなんだから、興味が有り、オタク化していたが、そんな俺でもちょっと引くレベルのオタクだ。
「なぁ、紅葉!今日お宅にお邪魔させてもらうよ、和葉さんとの約束があるんだ」
「またかよ・・・」
春馬は内の親父と気が合い、毎回こうしてアニメの感想会見たいな物をする。
「あ、ダメだよハルちゃん、今日はおばさんに早く帰るように言われてたでしょ?」
こっちの気が強そうな娘は、冬野芽柚子、藍色っぽい黒髪の腰まで伸びた長髪に、前髪が目に掛からないように柚子型のピンで止めている。春馬の隣に住んでる幼馴染みで俺達、幼馴染みメンバーの監督みたいなものだ
「ぐっ、そ、そんな事言ってなかったぞ」「いーえ、ちゃんと聞きました、それとも今からおばさんに確認をとる?」
「わ、わかった!わかったから!」
「なら、よし!」
まぁ、こちらも見て分かるように、柚子っちは春馬にベタ惚れである。でも春馬自身は何も気付いてない・・・はぁ
「あ、それと、おはよう、紅葉君、炎ちゃん、摘姫さん」
「・・・ん、おはよ、柚子・・・」
「おはよう、柚子さん」
ホントーにこの朴念仁が・・・
「ん?何だ紅葉?」
「んや別に、そだ春馬、お前に勧められた。異世界物見たぞ」
「おぉ!それで、どうだった?」
「面白かったぞ」
「そうか!そうか!ちなみに・・・誰が好き?」
「うーん、そうだなぁ」
これがいつもの俺たちだ。
ところで、何で十歳の炎が俺たちと一緒に高校を目指すかと、答えは簡単、炎はIQが180も有る天才、そして本人の要望で俺達と同じ学年だ。
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時刻は過ぎ、全学年全クラスが終礼を終え、クラブに行く者や帰宅する者がいる中、紅葉達五人は誰も居なくなった教室でこれから何をするか相談していた。
「やっぱり、ファミレスでもいく?ガ◯トとか」
「う〜んどうしよっかなぁ、母さんや焔さん達が晩飯作ってくれてるし」
「あ、いいなぁ紅さん達が作るご飯、すっごい美味しいじゃん!」
「・・・ん、紅さんや、かか様達が、・・・作る料理、は、サイ、コー♪・・・」
「あの美味しさの前では、つい、食べ過ぎる」
「はぁ、紅さんかぁ」(ガタガタ)
五人は帰りに何処かに寄ろうと相談しながら各々自分の鞄を持ち、教室を出ようとする・・・その時、教室中に光が満ちた!
「なっ⁉︎」
流石の紅葉も予想もしてなかった事に反応が遅れたが
「炎!摘姫!」
と掛け声を上げ、二人を抱きしめる
「ッッッくぅにぃ⁉︎」
「ッくぅ⁉︎」
二人も反応が遅れたが紅葉から絶対離れない!と言うぐらい抱きつく
「きゃっ⁉︎」
「柚子ッ⁉︎」
春馬も普段和葉や紅葉達とバカをやり、紅達に追いかけられているためか、驚くよりも先に”大切”な幼馴染みを庇うように抱きしめる
そして
「ん?この教室開けっ放しじゃねーか、誰だぁ?最後に鍵を閉めなかった奴は・・・トイレにでも行ったのか?」
そしてこの日、夕暮れの教室で居た筈の”五人が消えた”。
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(くっ、収まったか?)
紅葉は目を閉じても分かるぐらいの眩しさが収まった事に気がつき、恐る恐る目を開けて見ると
「・・・・・・え?」
お、おい、う、そだろ?
紅葉の目の前に広がっていたのは、天井が高く、まるでRPGなどで出てくる神殿のような風景、そして
「あぁ、あああ」
「デリアリーデ様ッ!こ、これは!」
「あ、あぁやったんだっ!」
「「成功だ!成功したんだ!」」
と抱き合い涙する老人が二人いた、一人は煌びやかなマントを身につけ体格のデカイ白銀髪の老人と、もう一人は古ぼけたローブを羽織っている老人だ。
「・・・・・・」
「・・・くぅにぃ、・・・これ、って・・・?」
状況を掴めず目を見開いてフリーズしている摘姫と、流石の炎でも何が起こっているのか分からず、頼れる兄に質問する。
「・・・?、くぅ、にぃ・・・?」
「こ、これ、は?」
「お、おい紅葉!まさかこれって⁉︎」
普段冷静で紅葉達のブレーキ役の柚子も戸惑い、春馬は何かを察したように紅葉に呼びかける。
だが炎の質問や春馬の呼びかけも聞こえてないような虚ろな目でフラフラっと立ち上がり、両手で握り拳を作り、少ししゃがみこみ・・・そして!
『異世界キタァァァァァアアァァァァァ!!!」
まるで宇宙に行く気の仮面のライダーのようなポーズと共に発した声は間違いなく、今日一番の大声だった・・・
次回!『第1章、来たぜ異世界!新ヒロインと明かされる真実!』
一週間以内に投稿したいです!