緑眼と紫眼
…お久しぶりです。
すいません、若干忙しかったのもありますが、自分がだらけてたせいです。
そして、たくさんのブックマありがとうございます!!
私が、サボってた間にまた増えていって嬉しいやら、プレッシャーに感じています。皆さんがどんな結末を、展開を望んでいるか分かりませんが、がんばります!!
「ここが、食堂。だいだい、みんな、ここでご飯食べる」
そこは、たくさんの人が座れるくらい大きなテーブルと、椅子が並べてある広めの部屋だった。隣の部屋は台所のようで、食事を作ってすぐに出せるようにカウンターがあった。
「決まった時間内なら、いつでも食べれる。朝昼晩、三食。たまに、おやつ貰う時もあるよ」
今はお昼時も終わり、後片付けなどもろもろ終わった後らしく、人は居なかった。
「えっと、みんなて事は、兄さんもここでいいの?」
「うん、いいよ」
「なら、一緒にご飯食べれるね、兄さん」
「そうだな」
お仕事とかで、時間が合うかはまだ分からないけど、兄さんと一緒にご飯を食べれたらうれしいな。
「マウ、わたしも、一緒」
「へ…あ、うん。一緒に食べようね」
にっこり、笑って言えば、リリはうれしそうに顔を綻ばせた。
リリが、加わるのは大歓迎だ。だって、大勢で食べるご飯がとても美味しい事はよく知っているから。
でも、気になる事が………兄さんとリリが、見つめ合ってる。あたしごしに。
もしかして、やっぱり、そうなのかな………?。
「次は、どこ見に行く?」
「……あ、そうだね。えっと、だいたいの所は見たから。う~ん………あっ!」
一ヶ所だけまだ案内してもらっていないけど、行きたい場所があった。
「「鍛練所」」
兄さんと見事にかぶってしまった。そんな、ちょっとの事がなんかうれしくて、小さく笑っていると、
「……マウ、行こう」
急にリリが、手を引いて歩きだした。それも、小走りじゃないと付いていけないくらいの速さで。
急に、どうしたのだろう。
「ねぇ、リリ。どうしたの?」
そう訪ねると、リリは廊下の真ん中で止まった。
「………マウは、わたしのお友だち?」
「うん」
ちょっと戸惑ったけど本当の事だから、しっかりと頷いた。意味の掴めないあたしとは対照的に、リリは満足そうにこちらを振り向き、両手を握ってきた。
「ちょっと、嫉妬した。けど、マウはわたしのお友だち」
し、嫉妬!え、あ、あたしが兄さんと仲良くしてたからかな。
リリは兄さんの事、好き、なのかな。う~ん…分からないや。
「……」
「…あ、兄さん」
いくらあたしが小走りでも、兄さんにはなんなくない歩幅だったらしく、すぐに追い付いてしまっていた。
兄さんとリリの気持ちとか、まだよく分からないけど、ここは仲を取り持つべき、なのかな?分からないけど、二人には仲良くしてもらいたいし。なら、あたしにできそうな事をやってみようかな。
「兄さん。リリ。行こう」
あたしは、そう言って兄さんとリリが隣り合うように並んだ。正直、こんな事くらいしか思い付かないけど。
「マウ。手、繋ごう」
……これは、いいのかな。て、悩んでいたのにリリは返事なんて待たずに、あたしの手を取った。
「う、リリ」
「なあに」
ちょっと一言でも言おうと思たのに、こちらを向いたリリの顔は、うれしそうで何も言えなかった。
今までいた建物を出て、隣の建物の横を通り過ぎると、木に囲まれた広い場所に出った。
そこには、一人剣を振るう人影が。
あたしは、ここで息を飲んだ。
光に当たってキラキラ光る金髪と、しなやかな動き。それは、見ぼれるものだった。
あたしは、微動だにせずその光景に見いっていた。
汗を拭うためか、休憩か分からないが、その人は一端手を止めた。その時に、こちらに気づいたらしく、手にしていた剣を鞘に納めると、こちらに歩いてきた。
その人は目の前までくると、突然リリを見て止まった。
「あなた、誰?」
どうやら、リリはこの人を知らないらしい。
「…あ、ああ。はじめまして。ウィルティールといいます。…すみません、勝手にこの場所を使用して」
申し訳なさそうに眉を下げる彼を、あたしは知っていた。
ウィルティール。
それはあたしが、勝手なわがままで助けたいと思っている、彼だった。鍛練所に来れば、会えるかもしれないと少し思っていたけど、本当に会えた。
彼は、とても穏やかで優しそうな顔立ちをしていた。女の子が憧れる、王子様みたいな雰囲気の人。纏う空気も、顔立ちも、仕草一つも全部がそう見せる。あたしは、彼の優しそうな顔のあるパーツに釘付けになっていた。
緑色の瞳。
右手に着けていた、ブレスレットの石と同じ色。
あたしは、またその石を撫でていた。
「そのブレスレット、綺麗ですね。…翡翠、いや、ネフライトかな」
「!!」
急に掛けられた声に、すぐに反応しきれずに過剰なほど肩を震わせ驚いてしまった。
思考を飛ばしていたあたしは、兄さんたちの会話を聞いていな上に過剰なほどの反応で、三人の視線をいっしんに受けた。
「驚かせてしまいましたね……すみません。もしかして、人見知りだったかな?」
申し訳なさそうな視線が上から降ってくる。あたしは、驚きを拭いきれないまま答えた。
「い、いえ。違います。えっと。あの、あ、マウ、といいます」
挙動不審で最後は尻すぼみ、なんてさいやくな第一印象を与えてしまった。
もう、視線を合わせているのも辛い。見上げていた顔を下に下げる。
「……マウ」
「兄さん」
心配そうな兄さんの声が聞こえて、そちらを見上げる。自然と隣にいたリリの顔も目に入った。二人とも、いつもと違うあたしを心配そうに見てる。
兄さんの手がこちらに伸ばされかけたけど、それより早くリリの手があたしの頭の上に置かれた。
「よし、よし」
「へ、ちょ、リリ?!」
「よし、よし」
まるでリリは、幼子をあやすように、あたしの頭を撫でた。
「やめて、リリ!!」
「どうして?ロアンナが泣いてる子どもには、こうするのがいいて、言ったよ?」
「あたしは、子どもじゃないよ!泣いてもないし!!」
そんなあたしたちのやり取りが面白かったのか、彼のクスリという笑いと、少女らしい声だけど盛大な笑い声がしてきた。
「アハハハハハハ!!あー、あ。君たち、面白いねクフ」
慌てて辺りを見渡すけども、声の主らしい人影は見つからず。そうかと思えば、この場所を囲んでいた木の中でも一番高い木から、少女が降りてきた。飛び下りたように見えたのに、少女はふわりとした着地をきめた。そのまま、軽やかな歩みでこちらにやってくると、みんなの顔を見回し、あたしの顔を覗きこんできた。リリはそんな少女をムッとした顔で見ていた。
「ふぅ~ん。へ~。ちょっと君、面白いね」
そう告げる少女に、あたしは困惑してしまう。覗きこんでくる紫色の瞳は少し誰かと似ていて…。
「えっと、君は誰かな?」
あたしを見かねたのか、それとも単純な疑問なのか彼は少女に聞いた。
「あ、ボク。ムムだよ。今代の“魔女”だよ。よろしく!で、君は“騎士”だろ」
「えっ。ああ、うんそうだけど、よく分かったね」
「ふふん!ボクには、それくらい分かるんだよ」
胸を張る少女は、あたしより少し上くらいで、幼さを残す顔は愛らしさを多分に含んでいる。あたしと変わらないくらいの長さの髪は、オレンジ色で少女を活発そうな印象に見せる。
「で、そっちのデカイのがもう一人の“騎士”で、そこの眠そうな方が“巫女姫”でしょ!」
デカイとか眠そうとか、ストレートすぎる物言いだけど、言ってる事はあっている。
「そして、君だよ、君。君単体でもなかなかだし、君にかかってる魔法も、そのブレスレットもなかなか」
言ってる意味は分かるようで、分からない。
「ムッ。意味、分からない。分かるように、言って」
唇を尖らせて、いつもより強い言い方をしているリリだけど、結局眠そうな顔と相まって怖くない。むしろ、可愛いい。
「そうだねー。じゃあ、一つだけ、教えるよ」
もったいぶるように言い、楽しそうに少女は紫の瞳を細めた。
「ブレスレットに付いてる、その石。ネフライトて言うのは、聞いたね。その石はね………『身代わり石』て、言われてもいるんだよ」
「『身代わり石』?」
教えると言った割りには、結局謎を呼ぶだけだった。
言い終わった少女は、静かな微笑みを浮かべた後、今度は満面の笑みを浮かべて、
「まあ、何はともあれ、よろしく。ギルシア。ウィルティール。リリッシュ。マウ」
無邪気に笑う少女、ムムは、それ以上あたしについて不思議な事は言わなかった。
リリの口調がもしかしたら、変わっているかもです。そう感じた方がいるのなら、修正します。
実は、リリとウィルティールの口調が分からない…。
で、とうとう、封印の守人達が全員揃いました!
基本、バラバラな人達です。その中で、マウがどう四人を纏めるのか!楽しみにしてください。
次の投稿は、来年になると思います。また、何かありましたら、活動報告の方に基本書いておきます。
読んで頂きありがとうございます。誤字脱字がありましたら、気軽に指摘してください。