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「ああ、マウ!ギルシアも。大丈夫だったの?!私心配で……」


家に着いたのは陽がそろそろ沈む頃だっだ。

家の扉を開ければ、慌てたように人が飛び出してきてそのままの勢いで、抱きつかれてしまった。


「あ、あの、落ち着いてください」

「落ち着いているわよ!」

「カリル。マウがこのままじゃ、可哀想だろ」


家の中から、遅れて出てきたのは、鎧を脱いだいつものヨウハさんだった。


「……そう、ね。ごめんなさいね。中に入りましょうか」


背中を押され家の中に入る。本当に心配してくれて、ずっとここに居てくれたのだろう。


「で、どうなったの。まさか、選ばれたんじゃ…!」

「あ、違います。えっと、占いの儀の結果、あたしじゃなかったです」

「ほ、ほんと!よかたわ」


結果的には、違ったけど。でも、


「でも、あの……兄さんが、“騎士”に選ばれて。あたしも……神殿の方で奉仕することになりました」


語尾のほうは、もうちっちゃくなった。ああ、喜んでいたのに……。喜びを浮かべていた顔は、驚きと悲しみに彩られていった。


「ギルシアが選ばれた……マウが神殿に……」

「カリル。一度、落ち着こうか」


今ここにヨウハさんがいてよかった。ヨウハさんは冷静な人だから、こいう時に助かる。


「ギルシア。本当におまえが選ばれたんだな」

「はい」

「そうか。…で、どっちの方だ」

「“バズリット騎士”の方です」

「わかった」


“バズリット騎士”とは、“巫女姫”の封印に蓋として、自らの愛剣を地に刺した初代“騎士”のこと。

逆にもう一人の“騎士”は、“カイル騎士”と言うらしい。


「ならマウ、なんでおまえが神殿に奉仕することになった」


ああ、来た。ちゃんと話さなくちゃいけない。


「えっとーー」



「ね、いいでしょ」


あたしが困惑してしゃべれなくなっていると。


「勝手なことばかり言うな」


兄さんがそう言っていた。ちょっときつめの言い方で。


「……に、兄さん。えっと、落ち着こう。リリッシュさん、兄さんは、ただあたしを心配してるだけで……」

「リリ」

「へ?」


突然だったことで理解出来なくて、またも間抜けな声を出してしまった。


「リリ」

「あ、リリさん……?」

「さんもいらない」

「へ、でも」

「わたしたちはお友だち、だよ?」


先程と変わらないはずなのに、その言葉は有無を言わせないと感じる。


「…は、はい。リリ」


そう呼べば、嬉しそうに笑ったリリ。正直、あたしと違ってかわいいです。


て、話がずれてました。戻さなくちゃ。


「あの、兄さんと一緒にいられるのはうれしいですけど……。でも、迷惑でしょうから」

「いえ、別に迷惑では」


よくよく考えれば、ここにいれば兄さんも心配しないし。彼にも会える。そうなれば。


「マウ」

「あ、兄さん。あの、だめ、かな」

「……いや、そうじゃない」

「あの、マウ様。ギルシア様」


おずおずと司教様が入ってきた。


「お二人方が、それを望まれるのでしたら、結構ですが。本当に、よろしいのですか?」

「いいのなら、はい」

「…俺も別に構わない」


よかった。兄さんの了承も得られた。


「ならば、マウ様が神殿で奉仕するというこでいいですね。そうであれば、こちらも準備しておきます。期間は、三日後からギルシア様達が封印なされるまで、で」

「はい。ご迷惑をお掛けします。」


これから、お世話になるのだから頭をさげる。


「わたし、うれしい」


ガバリと、またリリから飛びつかれた。



「と、言うわけで。あの…」


自分を囲むのは、あたしより背の大きな大人たち。勝手に話を進めてしまったことに、罪悪感と申し訳なさがする。


「…そう。マウちゃんがそうしたいのなら、何も言わないわ。でも、神殿は安全なのよね」

「え、あ、はい。安全だって司教様が言ってました」


神殿は、封印の地に近く。そのために、神殿自体にも強力な結界魔法が張ってある。絶対安全とは、言えないがかなりの防御力があるらしい。


「いいんじゃないか。神殿での奉仕活動なんていい経験になるさ」

「えっと、ならいいんですか…」


おずおずとした問いかけに、二人は頷いてくれた。これだけで、ホッとして短く息を吐き出す。


「ギルシア」


そうだ、まだ兄さんのことがあったんだ。


「……選ばれたんならしっかり、やれよ」

「そうね。大役なんだから、失敗したら許さないわよ」


どうやら、すんなり話が通ったらしい。よかった。


「よし。なら、ご飯にしましょうか。今日は疲れたでしょ。ご飯ね、作っておいたの。あ、勝手に台所とか使っちゃた。ごめんなさいね」

「あ、そんな。むしろ助かります。作ってくれるご飯もいつも美味しいですし」

「もう、お世辞言っちゃて」


いつのまにか、陽は完全に沈み。月が煌々と輝きはじめていた。

それは、賑やかな夕食を見守るものであった。



「……うん。よし、忘れ物もない」


あの日から三日経ち、今日は神殿へ行く日。昨日までに、孤児院へ神殿に行く旨の手紙とお世話になっている人たちへの挨拶、準備などに追われながらもなんとか終わらせた。

家のほうは、皆さんで協力して管理してくれるそうで安心です。


「それは、俺が運ぼう」

「いいよ、自分のだし軽いから」


断ったのに、兄さんは勝手に荷物を持ってスタスタと歩いていった。慌てて追いかけて外に出ると、すでに荷物が迎えの馬車に積まれる所だった。

馬車は別にいいと断ったが、結局押しに負けてしまった……。


「マウちゃん。元気でね。病気も怪我も気おつけてね。ちゃんと手紙書いてね」

「ふふふ、はい、大丈夫ですて。あまり心配ばかりしないでくださいよ。自分だって、気おつけてぐたさいね」


あたしの手を掴んで、ズイッと顔を近づけるもんだから笑ってしまう。


「おまえも頑張れよ。俺ら騎士や兵士のやつらも応援してるからな。だからと言って、怪我とか無理はすんなよ」


ヨウハさんは、思いっきり兄さんの肩を叩いた。痛そうなんて思ったのは内緒にしとこう。ヨウハさんなりの応援の仕方だし。

他にも、見送りに来たたくさんの人と時間の許す限り言葉を交わした。


「じゃあ、いってきます。皆さん、体に気おつけてぐたさいね」

「お元気で」

「いってらしゃい」

「何かあれば直ぐに、手紙書けよ」


たくさんの声を受けながら、馬車に乗り込んだ。馬車の窓から手を振っている人たちに、見えなくなるまでずっと手を振り返した。



「こちらが、マウ様のお部屋です」


案内された部屋は、とても広く置いてある調度品もさっきまで廊下などで見た物より、数段上の物だった。


「あ、あの。あたし、こんないい部屋じゃなくていいです…!それに、様もいりません」

「部屋の方は、司教様のいいつけなので。様の方は、望まれるのなら取っても構わないとは言われましたが」


案内してくれたお姉さんは、そう淡々と言った。


「はい!取ってください!できれば、部屋の方も」


あたしの声は、バタンという音に遮られた。乱暴に開けられた扉から入ってきた彼女は、あたしに抱きついた。


「うわ!」

「こら。リリ、やめなさいて司教に言われてるでしょ。マウも困っているわよ!」

「む。ロアンナ、いたの」

「いたわよ。ずっと」


まただあたしを忘れないで欲しい…。誰か助けて。なんて思っていたら、ちょうどやって来た兄さんと目があった。リリは、扉を閉めなかったのだ…。


「マウ……またか」

「ギル兄さん、助けて」


両手を伸ばしたあたしを少し呆れ顔をしながらも、無理矢理リリを剥がして助けてくれた。


「あら。失礼しました。すみません、マウ、ギルシア様」


兄さんがあたしを助けたことで、現状を思い出したのかお姉さんは悪びれた様子もなく、頭を下げた。


「いえいえ、えっとー。ロアンナ?さん」

「ああ、申し遅れてました。はい、ロアンナです。マウには仕事を教えるようにと、言いつけられております」

「はい、よろしくお願いします。…あの、普通にしゃべってくれていいですよ。あたしは、ここに無理言って働かせてもらう身ですし。ロアンナさんの方が、年上ですから」

「あら、そう。じゃあ、そうするわ」


ロアンナさんは意外と、サバサバしていそうだ。


「ねぇ、マウ。今から、神殿を案内してあげる。行こう」

「え、ちょっと待て!」


あたしの手を掴むと有無を言わせずにリリは、走り出した。


「ギルシア様、追いかけた方がいいですよ。あの子、暴走しやすいから」

「……そう、だな」


兄さんも後から付いてきて、リリの無理矢理の案内が始まった。

やっと話を、神殿へと移せました。そして、またまたゴーイングマイウェイなリリ。この子が、居ると急に話が変えられるという点があったり……。


さあ、次は彼が出る予定ですよ!


と、言ったもののもうすぐ定期テストが、模試が……。の間に誕生日が…。勉強のため来れないかもです。命がけで、戻ってきます……。

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