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異界の扉  作者: 紅葉
異界の扉
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扉、出現

光葉さんに抱っこされての、『異界空の旅』はなかなかにスリリングだった。

最初は『お姫様抱っこ』にドキドキもしたし、異界を空の上から眺められるかもってちょっぴりワクワクしていたんだけど…



異界の空は結構賑やかだった。

大きな首だけのもの、身体中に沢山の目がある犬のようなもの、もやもやしたケムリのようなもの、翼があるもの、一体どうやって飛んでるのか判らないもの……

中には、

「光葉様、どちらへ?」

なんて声を掛けてくるものも居たり。

「旨そうな人間の匂いがしますな」

と鼻を近づけてくるもののけも居た。

私は出発前に光葉さんから、声を出すなと強く言われていたから、異形のもののけが近くに現れる度に悲鳴を上げないよう必死だった。


光葉さんはそれを適当にやり過ごしくれた。どうやら妖怪には私の姿が見えていないみたいでそれ以上は寄って来なくて良かったよ。


それでも怖くて光葉さんの着物を握りしめ、腕の中で、小さくなってたんだけどね。



そうして着きました。葛葉の杜。


所々白くて丸い光がぼんやり浮かんでいて、何だか幻想的な雰囲気の森の中を、光葉さんと手を繋いで歩いていた。

何だかロマンチック……なんて思ったりして。



急に光葉さんが立ち止まって枯れ葉が堆積してできた地面の一点を見つめる。

「もうすぐだ」


鬱蒼と樹が繁っていて空が見えないけど、異界の空も真っ赤な夕暮れ空。

太陽が熟れたようにオレンジに輝いて東の空に沈もうとしている。

人間界とこちらは鏡を隔てたような平行した空間らしいので、人間界とは逆に太陽が沈むんだって。


二人で見つめていた空間に水が涌き出してくるように、異界の扉が現れた。


「光葉さん、ありがとうございました」

ペコリと頭を下げてお礼を言う。

そして、貸して貰っていた簑を返した。

「行くか」

同時に入らないと、通れないかも知れないということで、いちにのさーん、で扉に飛び込む事にした。



いち、にの、さーん!!




結果……


光葉さんだけスルリと扉の向こうへ姿を消し、私は異界に独り残ってしまいました。

ええ、簑は返してしまいましたし、もののけに見つかったら、一巻の終わりです。



サクラ、大ピーンチ!!



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