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異界の扉  作者: 紅葉
狐の灯明
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狐の灯明 エピローグ

本日は2話同時更新です。

最新話からお越しの方は前話からどうぞ。

 幽霊花 死人花

 捨子花 相思花





 風に揺られて燃えるような赤い花が風に揺れていた。




 彼岸へと旅立った娘を思い、卒塔婆に手を合わせる夫婦がいた。



 曼珠沙華の花が今年も時期を知っていたかのように咲き誇る。





 親は娘を思い、娘は親を思う、相思花。













 ギンと凛は真っ赤な花畑にいた。


 パタパタと小さい翼を動かして飛ぶは天狗の仔。


「八重、ズルーイ」


 下でピョンピョン跳ね回るは、ギンの面立ちに良く似た男の仔。ふわふわの銀色の耳と尻尾が愛らしい。


「ほら、これやるから降りて来い」


 曼珠沙華を腕いっぱいに抱えて、満面の笑みで八重に差し出しているのを、ギンは目を細めて見ていた。


 彼はシオン。

 ギンと凛の初の仔ながら、ギンをも凌ぐ妖力に成長するのではないかと一族間で噂されている跡継ぎ狐。

 凛は立派にその役目を果たしていた。


 しかも歴代の人間の娘のように、塞ぎ込むことも狂うこともなく。


 最後まで反対していた信太郎は、シオンが生まれてしまえば、デロデロに甘い狐の筆頭と化し、跡継ぎの教育係を任せて良いものかと苦笑してしまうほど。



 ワコの声をあれから聴く事はなかった。

 でも確かに(ここ)に存在しているのだと、凛は知っている。

 ワコの母であり、凛の養母の女も信太郎といい勝負の甘いばあばとなっている。



 真っ暗闇の中に灯ったあの光りは、狐が灯した御灯明。

 寂しい沙耶の魂をもう一度やり直させてくれた優しい灯り。



 輪廻の輪は外れてしまったけれど、幸せだと凛は思う。





 ザァっと風が凪いだ。

 赤い絨毯のように咲き誇った花が揺れる。



【狐の灯明 おわり】

ご愛読ありがとうございました!


完結記念に人気キャラ投票を活動報告にて企画しております。ご興味がありましたらお立ち寄り下さいませ。2014年5月末まで。


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