10話 「メイ=シルフォード」
やっぱり彼女がメイさんか。その笑顔、綺麗だとは思うんだが、背筋が寒くなるのは何故だろう。
「メイはな、名前でわかると思うが私の姉だ。建前としてはメイド長だが、実質は私の片腕といったところだな」
「女王様、そのようなエルフ族の事情を外部のものに話すべきではありません」
「う、うむ。すまぬな」
さらに気温が下がった気がするな。実質的なトップは彼女なのではないだろうか?
「さてドクター、私たちはこれから少々大事な話をしますので・・・」
「わかりました。では中庭におりますので終わったらお伝えください。ああ、勿論ルルにも私から伝えておきますので」
「よろしくお願いします」
こうして部屋に残ったのは俺とアキ、そしてメイさんの三人になった。
「リュウト殿、リュウト殿は竜神様を名乗られたそうですが証拠はございますでしょうか?」
「いや、ない。そもそも俺はそんな証明をして回る気はないからな。俺が必要なのは竜神の名ではなく、その力なのだから」
その言葉にメイは意外そうな顔をして、ちょっと困ったようにする。
「困りましたね。それでは私たちは協力できませんわ」
別に協力なんて要らない・・・そう言おうとした俺を遮ったのは
「メイよ、ちょっと待て。それはリュウトの言うことを信用できないということか!」
俺としてはアキが全面信用してることの方が女王として問題ある気がするが。
「はい、失礼ながらそのとおりです。リュウト殿、我らエルフ族は他種族を見下し、協調を持たないがゆえに今より約1万年前に真っ先に邪竜神に狙われ滅びるところでした」
ドクターの言っていた話のことだろうか。そして・・・伝説の戦いは1万年も前の話だったか。
「そんなところを竜神様に助けていただいたのです。ゆえに我らはいかなる時も竜神様の最大の協力者になることを誓いました。我らの時は人より長い・・・なので人から見ればゆっくりとした変化でしょうが、徐々に他種族との交流も増やしています。ですが、それが故の摩擦もあるのです」
なるほど・・・そういうことか。アキもそこらへんはわかっているようで黙って聞いている。
「つまり、竜神を騙る者が後を断たないというわけか」
「はい、特にリュウト殿と同じ人間に多く見られます」
耳が痛い話だな。しかし・・・どうするべきかな。
「俺は竜神の名を使っての利など求めてはいないから偽者として放り出されてもいいんだが・・・そちらはそうはいかないんだろうな」
「はい、仮に本物でしたら我らは誓いを破ったことになってしまいます。それほどまでに我らは竜神様を慕っております」
アキも大恩ある竜神様なんて言っていたものな。
「では、どうする?俺には証明手段なんてないぞ」
そもそも何を持って竜神と呼ぶのかもわからんしな。俺は単に力を譲り受けただけなんだし。
「そうですね・・・ですが私に一つ、リュウト殿が竜神様かどうか確かめる手段があります」
なんだ、それなら話は早い。・・・なんで顔を赤くしてるんだ?
「その・・・私と口付け・・・キスをしてもらえれば・・・」
・・・へっ? な、なんでそうなる!?
「めめめめめメイ! なんでそなたとリュウトがききききキスなどせねばならんのだ!」
そして俺より早く、なぜか俺以上に焦ったアキがメイに問いただす。
「その・・・粘膜的な接触といいますか・・・それで竜神様かどうかを見抜く秘技がエルフ族には伝わっているのです」
それ、本当ですか?なんか凄く嘘っぽいというか・・・しかしメイさんに嘘をついてまでキスをする理由はないわけだし・・・う~ん?
「ななな、ならば! その秘技とやらを私に教えるのだ! やるのならメイよりも私が適任だろう。さぁ、どうやるのじゃ!」
・・・いや、論点はそこじゃないだろう? アキがしなければいけない理由こそないと思うのだが。
「どうやってやるのか・・・ですか。それはですね・・・」
「それは・・・!」
アキが身を乗り出して聞く。本当になんだというのだろう。
「知りませんわ」
・・・はっ!?
「メイ・・・それは一体・・・」
「そんな秘技ありませんから。・・・つまり嘘ですね」
なんかどっと力が抜けたけど、何だってそんな嘘を? アキも腑に落ちないって顔してるし。
「そうですね、なんで女王様が私のかわりにキスをするなんて言い出すのか・・・その理由を知る為でしょうか?」
一瞬で顔を赤くするアキ。・・・俺もそれは気になるが、メイさんはアキが言い出すと思っていたってことか? さらにあのやり取りの間にその理由がわかったというのか?
「冗談はこれぐらいにして・・・リュウト殿、私と額をあわせてもらえませんか?」
さすがにこれも嘘と言うことはないだろう。キスと比べればなんてことのないことだしな。アキも黙っているってことは理由を察しているのだろうな・・・思考が止まっているのかもしれないけど。
俺とメイさんの額がくっつく・・・なんか温かいな。
「驚きましたわ! リュウト殿の中には確かに融合しきれていない荒々しい力が眠っています。エルフともまして人間なんかとは桁が違うこの力・・・竜のものと見て間違いないでしょう」
・・・そんなことがわかるものなんだ。
「では、リュウトは!?」
「そうですね・・・竜=竜神でもないのですが、この強い光の力はまず間違いがないかと。ですが、その力をリュウト殿が使えるようになるにはまだ時間がかかりそうですね」
またしても耳が痛い話だな・・・。
「だが、リュウトが竜神であることに違いはあるまい! ならば・・・」
「ええ、これからリュウト殿の対する協力の内容を協議しなければなりませんね。さぁ・・・女王様!」
「あ! その・・・もう少しリュウトと話を・・・」
「女王様! そのような時間はありません」
そのままズルズルとアキを引きずっていくメイさん。やっぱり実質のトップは・・・。これ以上考えるのは俺の身が危険な気がするな。
フフフ、やっぱりアキはリュウト君のことが好きみたいね。竜神様を騙るような男とあればすぐにでも追い出すところだったけど、本物とあればアキのためにもエルフ族のためにも全力でプッシュしなくちゃ!
え~、無敵のお姉ちゃんパワー全開のメイでした^^
メイ「何を言うのです。これも大切な妹を思えばこそ。私が守らないで誰が守るというのですか。」
・・・もう少し方法を考えれば説得力もあるんだけどな。
メイ「妹をからかって遊ぶのも姉の特権です。」
やっぱり・・・それでこそメイと言う気もするが、アキも可哀想に。
メイ「あなたも懲りませんね。また死亡フラグを強制的に立てましょうか? それとも私の手で直接、星の王子様にでもしてあげましょうか?」
・・・メイの言う星の王子様は普通の意味じゃない気がするんだが?
メイ「宇宙を彷徨う男性ですから間違いありません!」
それは普通星屑にするっていうんだ~~~~~~><




