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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部2章『エルファリア』
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7話 「エルフの首都」

 アキと別れた俺は一人街道を歩いていく。


 一時とはいえ、二人の賑やかな旅をおこなってしまうと一人は少々寂しく感じるもの。とはいえ、何時までも二人でいるわけには行かないからな。なにせ、俺のたびは今回のアキの頼みなどとは比べ物にならないほど危険なのだから。・・・まぁ、アキの都合次第では迷いの森の案内を頼めるかなって思っていたのも事実だが無理に頼むつもりはない。




 アキと別れてから丸一日、そんなこんなで到着したのは迷いの森の入り口にあるエルフの案内所。ここのエルフに案内を頼まなければ迷いの森は抜けられない。


「おや、いらっしゃい。森を抜けたいのかい? 今ならすぐに・・・!? あ、いや~もうしわけないのですが、今は案内人が全員で払ってしまっているんですよ」


 ? なんか様子がおかしかったが、向こうがいないといっている以上無理を言っても仕方あるまい。


「そうか、なら仕方がないな。だが、俺もどうしても森を抜けなければいけないんだ。何時になったら案内人は戻ってくるかわかるか?」


 何か普通ではない理由があるようだが、俺が首を突っ込んでいい問題とは限らないからな。俺としては森を抜けられれば文句はない。


「う~ん、しばらくは戻ってこないんですよ。そこで相談なんですが、実は一人森の中にある我らの首都に戻る奴がいまして、彼と一緒に行ってもらえないでしょうか?」


 首都? じゃあ、迷いの森にエルフの首都があるって言う噂は本当だったのか。しかし、今まで噂程度しか伝わっていないってことは隠していた話なのだろう。俺に話してもよかったのだろうか? それに俺は森を抜けたいのだが・・・


「すまないが、俺は森を抜けたいのであって・・・」


「わかっております。ですが、ここで待っていても時間がかかります。首都に行けば案内のできるものなどいくらでもいます。女王様に相談されればすぐに抜けられますので」


 俺の言葉を遮って言われた案内所の職員の言。・・・なるほど、確かにここで待つよりはずっと早そうだな。


「で、その首都に帰るって奴はすぐ出れるのか?」


「はい、まさに今出るところでしたのでお客様は運がいいですよ。もちろん、これはこちらの不備ですので御代はいただきません」


 多少遠回りになってしまったが、常に金欠病な俺にとってはむしろラッキーだったかもな。




「さぁ、着きましたよ」


 案内所を出て約半日、俺は森の中に作られているとは思えないほど大きく機能的で・・・それでいてやはり森の中なのだと思わせる澄んだ空気の快適な都市へとやってきた。


「こんな場所にこんな都市があるなんて・・・」


「たまに迷い込まれる方もおられるんですけどね。そういった方には他言なさらないようにお願いしております。お客様も他言しないで下さいね?・・・では、ようこそ我らが首都エルファリアへ!」


「エルファリア? 確かその名は・・・」


「はい、我らの王の証でもあります。代々の王は支配者ではなく、民たちの為に生きる為政者であることの証と戒めのためにこの町の名を名乗るのです」


 町に王の名をつけたのではなく、町の名を名乗る王か。


「いいな、そういうのって。さどかし立派な王なのだと思う」


「はい、私もそう思います。王の名のとおり特権は確かにあります。けれど責務に比べてあまりに小さい益。王とは名ばかりの苦しい立場におられるのです。・・・特に今の女王様は我ら国民一同の誇りです」


 女王か・・・さきほどの案内所でも聞いたな。今まで人にはその性別さえも不明だった王に俺がこれから会うというのも不思議なものだ。


「しかし、そんな立派な女王様に俺なんかが会っていいのか? 他の場所で案内できる人を探せないものだろうか?」


 興味はあるが、不安も大きい。さらにいえばそんな人に余計な面倒をかけたくないものだ。


「いえいえ! 女王様もきっとお喜びになります! 是非是非、会いに行ってください!」


 ・・・なんで女王が、俺に会って喜ぶんだ?


「女王様のおられる宮殿はこの道を真っ直ぐ行ったところにありますので・・・。では、私はここで失礼させていただきます」


 そういっていそいそと来た道を戻り、森に入っていく案内人。・・・っておまえはここに用があったんじゃなかったのか!?




 ってことでやって来た宮殿前。さすがに宮殿ってことで立派だな。


「待て! 今日は女王様の誕生パーティが催されている。招待がないものは・・・!? あ、いや・・・今回は女王様のご好意で誰でも参加可能だったな。さぁさぁ! お入りを!」


 ちょっと待て! そんな無防備な女王の誕生パーティなんてあるのか? いや、その前に


「俺はそういうのは苦手だから明日にでも出直すよ」


「何を言う! 女王様が参加してもよいと言っているのだ。参加するのが礼儀と言うもの! さぁ、入るのだ!!」


 なんなんだよ、一体。




 そしてパーティ会場(謁見の間)


 ほら見ろ!途中参加なんかするから入った瞬間に注目の的じゃないか! こんなの俺にどうしろと・・・


「待っておったぞ! リュウト!!」


 ・・・へっ!? 俺にエルフの知り合いなんて・・・一人いたな。


「アキ! 君も参加していたのか!」


 そういう俺の前までやって来たアキは不適に笑って


「参加?それはそうだろう。私は主役だからな」


 主役?・・・それってまさか!?


「改めて名乗ろう。私の名前はアキ=シルフォード=エルファリア。エルフの女王をやらせてもらっている」

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