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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
3部1章『エルファリアの日常』
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1話 「アキ倒れる!?」

 迷いの森の奥深くにあるエルフの首都エルファリア。その中心部にあるエルファリア宮殿の中庭はさながら草原のごとく草が生い茂り、色とりどりの花が目を楽しませてくれる。そんな場所で横になるのが最近の俺の楽しみだったりする。


「リュ~ウ~ト♪ だ~れだ!」


 後ろからそんな俺の目隠しをしてくる奴。そもそもここまで入ってこれる奴はそう多くもなく、さらに俺に対してこんなことをやってくる奴など天界からお気楽天使か森に住む自称姉の魔族の女の子が遊びに来ているのでもなければ一人しかいない。無論、気配でも声でも丸分かりである。


「どうした? アキ。」


「もう、リュウトったらいつも即答するからつまらない。」


 ・・・以前、冗談で悩んだ振りをしたら『私のことがわからない何て酷い! 私の事を愛して無いの!!』なんて泣き叫んだのはどこの誰だったでしょうか? まぁ、面白半分に会ったことも無い女性の名前を思いつく限り言ってみた俺も悪いかもしれないが。


「仕事は終わったのか?」


 俺は俺の横に気持ちよさそうに寝転がるアキにそう聞く。俺と違ってアキは溜りに溜まった女王の仕事が相当忙しいらしい。


「ううん、今はちょっと休憩。折角だからこうしてリュウトの傍にいたかったから。」


 ちょっと顔を赤くして、そんなことを言うアキがたまらなく可愛いと思うのは俺がベタ惚れだって言う証拠なのだろう。だが、同時に申し訳ないとも思う。


「ごめんな、アキがこんなに忙しいってわかっているのに俺は何にも出来なくて。」


 エルフの騎士なんて称号を持っていても俺はエルフじゃないから。この国の政治に関わるべきではないという判断になったのだ。おかげで俺は暇を持て余している。


「そんなことないよ! だってリュウトに手伝ってもらえないのは私たちの都合だし・・・。それに私、知ってるよ? リュウトだってずっと、休んでなんて無いでしょ? あちこち飛び回っているって・・・私知ってるんだから。」




 まるで自分は楽をしているように言うリュウトだけど、本当はそんなことは無い。この中庭で横になっているのなんて本当に稀なことで、普段は森に修行に行ったり、長老に勉強を教わりに行ったり、蔵書室にこもって本を読み漁っていたり、さらには商人たちの護衛なんかをやって誰よりも外貨を稼いでくれるのはリュウトだったりする。本当に・・・私以上に何時休んでいるかわからないのはリュウトなのに。


「何、俺のはやらなくてはいけないことじゃない。俺が勝手にやってる道楽さ。アキが心配するほどのことはやっていないぞ。」


 本当? 私、結構心配なのよ? リュウトの無茶は旅の間で嫌ってほど味わったんだから。私に気を使って、自分も・・・なんてことないよね?


「女王様~、どこですか~? そろそろお戻りに!」


 お姉ちゃんの声が聞こえる。きっと、他にも何人かいるのだろう。2人きりでなくなったから私がアキ=シルフォードでいられる時間はこれでおしまい。


「メイ、今行く! ではな、リュウト。そなたもあまり無理をするでないぞ?」


 ああ、と苦笑するリュウトに背を向けて私は執務室に向かう。よし! 頑張らなくちゃね!




 その夜


「ふう~、疲れた~。」


「アキ、お疲れ様。」


 部屋に入るなり、そういってベットに倒れこむ私と、優しい笑顔で迎えてくれるリュウト。これが最近のお決まりになりつつある。・・・言っておくけど、ここは私の部屋の向かいにあるリュウトの部屋で私たちの部屋はまだ別だよ。私としては同じ部屋でもいいんだけど、結婚前に同室なのは問題があるってお姉ちゃんが許してくれなかった。


 じゃあ、なんで結婚しないのかって言うと・・・あれは魔界から帰ってすぐのこと、私もお姉ちゃんもすぐに結婚式をやるつもりだったんだけど・・・


「なぁ、俺はエルフの法なんて知らないのだが・・・アキって結婚できる歳なのか?」


「「あっ!」」


 そう、私はまだ1500歳(人で言うなら15歳)。あと百年待たないと結婚できる歳じゃないの。私もお姉ちゃんもうっかりそれを失念してて、私は女王権限で! ってごねたんだけどお姉ちゃんのいつもの


「女王がルールを守らなければ誰も守らなくなります!」


 の一言で却下された。で、とりあえずは婚約って形で収めて、リュウトには警備上の理由でずっと空室だった私の部屋の向かいの部屋を使ってもらうことになったと。・・・やっぱずっと一緒がいいよ~! う~ん、私ってどんどん贅沢になってるのかな?


「アキ、そろそろ・・・」


 ええ? もう、そんな時間なの? うう、もっとリュウトとお喋りしてたいのに・・・。


「うん、じゃあリュウト、また明日。おやすみなさい。」


 フラッ・・。ってベットから起き上がった私の体が揺れる。あれ? おかしいな?


「アキ! 大丈夫か!?」


 慌てて私が倒れないようにリュウトが支えてくれる。あ、ちょっとドキドキ・・・。


「うん、立ちくらみかな? ごめんね、心配かけて。」


 ちょっと熱っぽい気もするけど、これはきっとリュウトが近くにいるから。だからきっと大丈夫・・・。


「なんでもないのならいいが・・・調子が悪いようならちゃんと休まなくちゃ駄目だぞ。」


「うん、ありがとう。でも、リュウトだって同じだよ♪」




 そして夜が開け、昼近く


 う~む、どうも昨日のアキが気になって鍛錬に集中できない。このまま集中できないままやるよりは邪魔にならない程度にちょっとアキの顔でも見に行って見るか。


 帰ってきたエルファリア宮殿・・・なんかいつもよりも騒がしいような?


「あ、キミ・・・一体どうしたんだ?」


 俺は偶々近くにいたメイドに話しかけたのだが・・・


「あ! 竜神様! 実は女王様がお倒れに・・・」


「アキは今どこにいる!!!?」


「きゃ! えっと御自室に・・・」


 それを聞くなり、俺はいても立ってもいられず走り出していた。


「あ、あの・・・お疲れになっていたところにちょっとお風邪をこじらせただけのようですが・・・。」


 そんな言葉など聞こえているはずもなかった。

平和な日常編・・・のはずがいきなりアキが倒れてます。ですが、ちょっと風邪をこじらせたレベルなのでご安心を♪


アキ「う~ん、リュウト~寂しいよ~。ゴホ! ゴホッ!! 傍にいて欲しいよ~。」


え~・・・風邪をうつされないうちに退散しましょう。


アキ「それが風邪で寝込んでいるものに対する態度なのか!!」


(投げつけられた枕で吹き飛ぶ)・・・枕投げで数十Mも吹き飛ぶとは思わなかった。マジシャンとはいえ、さすがに英雄の一人・・・ガクッ。


リュウト「アキ! 大丈夫か!? (ムギュ)・・・今何か踏んだか? まぁいいや。」


あ、あの・・・絶対アキより重傷だとおもうのですが・・・


メイ「女王様のお部屋に粗大ごみがあるとは・・・焼却処分しておきましょう。」


だれか・・・作者にも愛の手を・・・。

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