2話 「繋がる絆」
リュムが・・・竜神剣が折れた。い、いや! 竜神剣は精神剣だ! 自在にその姿を変える。ならば、元の姿に戻すことも・・・。
「大丈夫・・・大丈夫だよな?」
祈るような気持ちを声に出し、リュムに力を込める。元の姿を思い浮かべる。そして・・・ピキィィィィン・・・と決定的な音がした。残っていた部分もさらさらと砂のように崩れ落ち、どこからともなく吹いた一陣の風に吹き飛ばされていく。キラキラと辺りに舞う粒子だけを最後に残して・・・。
「リュム・・・お前、本当に死んでしまったのか? いや、俺が未熟だったから・・・何万年、いや何億年かもしれない時を刻んだ究極の魔剣を・・・俺が殺してしまったのか。」
「剣を失った貴様に勝ち目は無い。そこで自らの無力さを噛み締めているがいい! 先ずは奴を冥界に送ってやろう。」
奴が、サタンが標的にしたのは・・・もはや動くことさえも出来ないレミー。
「・・・ちっ!?」
アシュラだってまともに動く力はもう残ってはいない。だが、それでも守ろうと走り出す。・・・俺はなんで立つことさえも出来ていないんだ?
無造作に打たれた闇の矢・・・ダークショットがレミーに迫る。アシュラといえど間に合うはずが無い。それはそのままレミーの体に・・・!?
「何!?」
横から突然現れた黒い影がレミーをさらっていく。その影はほんの数Mほど離れたところで・・・あ、あれは!?
「何のまねだ? ヘルよ!」
「残念ながら、貴様の忠実な部下だった暗黒騎士ヘルは死んだ。俺はコクト=エンジェル、黒騎士コクトだ!」
あ、あはははは・・・随分と、随分といい場面で出てくるじゃないか!
「お・・・兄ちゃん?」
「レミー・・・遅くなってすまなかった。俺もお前たちと一緒に戦わせて貰う!」
「お、お兄ちゃん。お兄ちゃ~ん!!」
コクトの胸に抱きついて泣き出すレミー。こんな時に・・・なんて言えない。いや、こんな時だからなのだろうか?
「リュウト・・・だったな。何を呆けている? 援軍は俺だけでは無いぞ?」
えっ? 一体どういうことだ?
ピシィ! 響き渡る鞭の音、そしてサタンに迫る鞭の嵐・・・アキの鞭などとは比べ物にならない。あのサタンさえも僅かに怯ませるほどの気迫のこもった怒涛の攻撃。
「私の妹を虐めた覚悟はいい? アキを虐めるのもからかうのも傷つけるのも・・・私だけの特権よ!」
「お、お姉ちゃん!?」
そこにいたのはエルファリアに残っているはずのメイさん。いったい、何でこんな場所にいるんだ? だがセリフは少々不穏だが頼もしいな・・・いろんな意味で・・・。
「えへへ~、それはね、私が連れてきちゃった♪」
「ママナ!」
いつの間にいたのだろう? 俺の隣でニコニコ笑っているのは間違いなくあのママナだ。
「リュウトも気づかなかったでしょ? コーリンさん直伝の隠密術だよ。で、その本人はあそこ。」
へ、あの人も来てるのか? ママナが指差した方向を見ると・・・
「アシュラ様、ご無事ですか?」
「コーリン、貴様も来ていたのか。」
「当然です。私はアシュラ様の影。アシュラ様が必要となさる時にお傍にいるのが当たり前です。」
そうだ・・・そうだった。俺たちはこんなにも多くの人たちと絆を築いてきた。こんなにも多くの人たちに支えられてきたんだ。リュム、お前を失ったことは本当に悔しい。だが、それでも俺たちはまだ負けていない。まだ戦える!
足に力を入れる。思ったよりもずっとすんなりと俺の足は体を支え立ち上がってくれた。ぐっっと手を握り締める。皮膚が破れ、血が流れ出るぐらいの力がまだ入る。いや、これは俺の力じゃない。感じる・・・みんなの心が俺を支えてくれるのが、みんなの心が俺の中で力に変っていくのが・・・。
「馬鹿な! 雑魚共が増えてなんになるというのだ? 俺の前に横たわる死体が増えるだけでは無いか!」
「お前にはわかるまい。これが・・・これが俺たちの力だ。1人などでは戦えない、弱い弱い俺たち。だが、束ねられた心が生み出す力は、お前と見比べても遜色は無いぞ!」
失われた希望を取り戻すようにやってきた仲間たち! 最終決戦の王道ですね。まぁ、あくまで第2部の・・・ですが。
メイ「うふふふふ、アキを馬鹿にした報いも、今まで出られなかった鬱憤も全部ここで晴らしてあげるわ。」
・・・まぁ、何故かアキやリュウトたちを差し置いて人気投票(作者サイトにあります)でコメントが入ってる人だからなぁ~・・・前作でも地味にリュウトハーレムの一員だったりもするし
マリア「私の出番は無いの!!」
そりゃ、あなたは死んでいますし。この先にまったく出番が無いって訳ではないのですが、ここではありません。
マリア「・・・ちゃんと出番作りなさいよ? 取り殺しちゃうわよ?」
あなたが言うと冗談に聞こえない・・・というよりきっと本気ですね。あはははは・・・
レーチェル「じゃあ、なんで私は出れないのかしら? ちゃんと生きてるし、設定どうりなら状況も知っているはずなんだけど?」
あなたは強すぎです。あなたが戦闘に参加すると一人だけでサタン倒せちゃうでしょ? 主役はリュウトやアキなんですから・・・。
レーチェル「強すぎるというのも罪なのね。そういう理由なら今回は見逃してあげる。」
なんでうちの奴らは作者に敬意を持つ奴が一人もいないんだろう?