2話 「姉妹として」
ん~? なにかおもっしろいこと無いかな♪ あ! あれは!
「あーちゃん! どうしたの♪」
「ひゃあ!」
わたしが後ろからガバって抱きつくと、あーちゃんがそんな声をあげて驚く。もう! そんなに驚かなくてもいいじゃない!
「な、なんだレミーか。あまり脅かすでない。」
ム~、わたし脅かしてなんか無いよ~。リューくんやアーくんはまったく動じないよ? でも・・・なんか、あーちゃんおかしいな。だって
「ねぇ、なんであーちゃん・・・リューくんのところにいないの?」
「ムッ・・・わ、私とていつもリュウトと一緒にいるわけでは・・・」
ビクってして目をキョロキョロさせながら、あーちゃんはそういう。うん、たしかにいつも一緒って訳じゃないよね。でも
「だって、レーチェル様に治してもらったからもう大丈夫とはいえ、まだ意識が戻ってもいないリューくんの傍にいないなんて・・・あーちゃんらしくない。」
わたしの言葉にあーちゃんの体がビクビクってさらに震える。それに、その目はまるで泣いているみたい。
「こ、怖いのじゃ。リュウトの傍にいることが・・・怖くてたまらない。」
「な、なんで!? リューくん怖い人じゃないよ?」
あーちゃんは首をブンブン横に振って、もうその涙を隠すこともせずに
「ち、違うの! リュウトが怖いんじゃない。・・・リュウトの傍にいることが怖いの。」
ム~、良くわからないけど、心配事はわたしにお任せ! だってわたしはあーちゃんのお姉ちゃんだもんね!
私だっておかしいってことはわかっている。でも! 怖い、怖いの! リュウトの傍にいたくない。また、あんなことになったら・・・私はどうしたら良いの!?
「ねぇ、あーちゃん? あーちゃんはあんなにリューくんにラブラブ~のメロメロ~なのに、どうして傍にいるのが怖いの?」
グスッ、だって・・・だって!
「ヒック、だって・・・明日は・・・グスッ・・・明日は決戦だから・・・。」
もし・・・もしあの時みたいに・・・あの時みたいになっちゃったら・・・
「うん、明日はいよいよ決戦だよね。だからこそ、ちゃんと会っておかないと。・・・言うべきこと言って置かないと。」
「違うの! 違うのよ・・・。100年前のあの時も、私はリュウトと2人きりで・・・グスッ・・・2人きりで話した。一緒に・・・ヒック・・・一緒にエルファリアに帰ろうって約束した。・・・でも、その約束は守られなかった!」
「あーちゃん・・・。」
怖い、怖いの。私は・・・私はきっとまた言ってしまう。今、リュウトと2人きりになったら、きっと言わずにはいられない。絶対に死なないでって、今度こそ一緒にエルファリアに帰ろうって・・・それで・・・それでもし! 結果まで一緒になっちゃったら!? そしたら私どうすればいいの!?
「だから怖いの! 今は・・・今日だけはリュウトと一緒にいたくない。」
「でも、あーちゃん? あーちゃんの言葉があんな事態を起したわけじゃないよ?」
「わかってる! そんなことはレミーに! あなたに言われなくてもわかってる! でも、怖いの・・・どうしようもなく怖いのよ。」
ポロポロと止め処なく流れる涙。こんなことレミーに言うつもりはなかったのに。レミーは何一つ悪くないのに・・・
「あーちゃん、怖くても苦しくても・・・ちゃんとリューくんに会わないとだめだよ。きっと、怖いのも苦しいのもリューくんも一緒。だって、あーちゃんがこんなに苦しんでるんだもん。リューくんがなんとも思っていないはずなんて無い。それに・・・今リューくんに会わなかったら、明日の結果がどうなったとしても、きっとあーちゃんは後悔する。だから・・・ね?」
あ・・・温かい。レミーの羽が・・・ううん、心が私を包んでくれる。それがとても温かい。
「ごめんね、私・・・いっぱい恥ずかしいところ見せちゃった。まだ、怖いけど・・・私、リュウトに会って来るよ。」
考えてみれば、その・・・レミーは一応リュウトの妹・・・のようなものなのよね? ってなるとわ、私とリュウトがもし、けっ、結婚なんてことになったら私にとってもレミーは妹な訳で・・・うわっ~、恥ずかしい! こんなお姉ちゃんじゃ駄目だよね、やっぱ。
「ううん、恥ずかしいところなんて、な~んにもなかったよ。あんなあーちゃんだったらもっともっと見せて欲しいな? だってわたしたち・・・姉妹みたいなものだよね?」
うっ、レミーもそう思ってたんだ。やっぱり、お姉ちゃんとして私がもっとしっかりしないと!
「そうだな、これからもよろしく頼むぞ、レミー。」
レミーが妹・・・かぁ。なんだか大変そうだけど頑張らなくちゃね。そのためにも先ずはリュウトの心を射止めないと!!
アキとレミー・・・思いが通じ合っているようで肝心なところがずれていたり・・・アキもとっくにリュウトの心を射止めていることに気づいていなかったり、突っ込みどころ満載だったであろう回です。
メイ「認めません!」
メ、メイ・・・さん?
メイ「アキの姉は生涯私1人! ましてあんな『お気楽天災天使(誤字にあらず)』なんて姉を名乗る資格はありません!」
まぁ、レミーの場合・・・リューくんとわたしは家族→リューくんとあーちゃんが家族ならわたしとも家族→わたしの方が年上だからわたしが姉。・・・っていう思考回路だから。本来的にはアキが考えている方が正解なので・・・
メイ「うふふふふ、あんな子にアキをからかう権利はあげないわ・・・。」
姉=妹をからかう権利があるっていうメイもなかなかに問題があると思いますが・・・はぁ、アキの前途はなかなか大変そうです。