7話 「明日への糧」
・・・ん、私どうなったんだろう?
「あ! あーちゃん、気がついた?」
レミー? そうだ、私死ぬの覚悟で攻撃して・・・レミーに助けられたみたいね。アッ! えっと、火傷のこってないかな? リュウトに嫌われるのは嫌だよ。
「ん? どうしたのあーちゃん?」
「あ、いや・・・済まぬ。礼もまだだったな。ただちょっと火傷が残ってないか心配だったので・・・」
う~、やっぱり私がこんな女の子女の子してたら変かな? で、でも! 私だって女の子なんだよ。本当は普通の・・・レミーも知ってるか。
「ム~、あーちゃん! わたしのこと甘く見てるでしょ! 火傷の跡なんて残さないよ~。」
「す、すまぬ! う、疑っていたわけではないのだが、そのな・・・」
疑ってたと言うよりもそこまで気が回らなかったなんて言えないよ~。でも、レミーには本当に感謝しなくちゃね。やっぱり、私だってすこしでも綺麗な方がいいもん。
「お! アキにレミー! 無事か!?」
あわわわ! りゅ、リュウト!? こんなタイミングで帰ってくるなんて・・・ん? 私なんかリュウトに言わなくちゃいけないことあったような? あ! そうだ・・・
「勿論無事だとも。それより・・・リュウ~ト~~?」
私の声にリュウトが顔色を悪くしながら後ずさりする。やっぱり、後ろめたいことあるんだ。
「そなた、戦闘中に何か言っていなかったか? 具体的には敵の『あのようなエルフの連れ合いなどをやらせるには惜しい男よ。どうだ? 我の物になる気はないか?』に対して『ふっ、なら俺を誘惑してみるか?』とか・・・」
リュウトの顔色がさらに悪くなる。やっぱり、聞き間違いじゃなかったんだね?
「な、何故それを?」
「エルフの耳を甘く見てもらっては困るな。」
「ん~? 良くわからないけどリューくん、浮気?」
ピクンとレミーの言葉に反応したのは私もリュウトも同じ。でも意味はまったく違うよね~? そう、リュウト浮気したんだ・・・。
「ち、違うぞ! あれはただの皮肉で・・・」
「ふ~ん、なら当然あのバンパイアは倒したんだよね~?」
「・・・・・・・逃がした。い、いやわざとじゃないぞ? ちょ、ちょっと隙をつかれて・・・」
ふ~ん、倒したなら浮気じゃないかもってちょっと期待してたんだけどなぁ~。そうか~、逃げられたんだ~。
「でも、リューくんって女の子に甘いよね。ほら、リューくんと戦って生きてるのってルーンぐらいじゃない?」
「あ、あれは女の子って歳じゃないだろ。あ、いえ・・・なんでもないです。そ、それにルーンは前回の戦いのとき倒したぞ! (あれは分体だって言ったでしょ? 坊や。)・・・なんだ? 今の幻聴は??」
「フフフ、リュウ~ト~?」
もう、どうしたの? そんなに逃げなくてもいいじゃない?
「そ、それにだな・・・生き残っているのは他にもいるぞ! アシュラとかコクトとか・・・。」
「お兄ちゃんはわたしのお願いだったからじゃないの?」
レミーが可愛らしく首をかしげながら追い詰める。・・・そんな認識は絶対ないんだろうけど。
「あ・・・アシュラは?」
「何故こんな話になっているのか、よくわからんが・・・オレが貴様と戦って生きているのは実力だからだ。」
と、いつの間にか帰ってきていたアシュラ本人に否定される。そうよね、リュウトとアシュラじゃアシュラの方がまだ強いし・・・。
「さて、リュウト・・・他に言い訳は?」
「え、えっと・・・ほら浮気って言っても俺はまだ誰とも付き合ってないんだから・・・ひっ!?」
フフフ、リュウトが本当に浮気をするほどの勇気がないなんて知っているから素直に一言ごめんって言えば許そうと思っていたのに・・・よりによって一番言っちゃいけないこと言うかな? そりゃ、私もリュウトもお互いに好きなんて言ったことないけど・・・私にとってはあなたは恋人なのよ~~~!!
おまけ
「あ、えっ? その・・・あーちゃん? う~、リューくん大丈夫かな~?」
「経緯はわからんが犬も食わんという奴だろう。オレたちが気にする必要もない。」
「ん~? 犬~? 食べ物なの? アレ?」
「・・・食えんものだ。まぁ、リュウトの奴なら半日もすれば回復するだろう。たまには骨休めもいいのだ。これも明日への、戦いへの糧ということだな。」
「・・・?」
え~、本日の教訓はアキを怒らせてはいけない。って何度目だ、この教訓を学ぶのは?
メイ「いつまでたっても学ばないお人がいるからでしょうね。」
お、お久しぶりですね・・・メイさん。
メイ「ええ、誰かさんがちっとも描かないからすっかり目立たなくなってしまいましたわ。」
・・・登場時のインパクトが凄いからそれなりに目だってはいると思うけど・・・
メイ「何か言いましたか?」
いえ、なんでも・・・。えっと、じゃあ今回はメイさんが次回予告をするってことで、どうか。
メイ「まぁいいでしょう。『アキたちがやってきたのは次なる魔王の居城。強力な力を持った魔王にアキたちはどう立ち向かう!? 次章竜神伝説第2部10章「竜神の力」』頼りの綱はあなたよ、リュウト君。」




