最終部10章「雪鏡に映るもの」6話 「守勢」
「ゆっくり話しましょう。すぐに時間を作りますから」
そう言ってククルは私達の前へと立つ。反射型とはいえ防御、いわゆるタンクをやっている彼女が最前線に立つのはけしておかしな事ではないけど
「それで、何か手はあるのかしら?」
この状況をなんとかしたいのは私も同じ。けれど、あの転生を食い止める手段が現状見つかっていないというのは悔しいけど事実
「ええ、1つだけ・・・成功するかは分りませんが」
そう答えたククルがチラリとこちらを見る。つまりは彼女はこう言いたいわけね、『それでも協力してくれるのか』と
「上等ね」
「頑張るのです!」
メイほどではなくとも策士であるククル。策士が自分の策に自信がないなんて本来は言うべきことではない。それはつまり本当に自信がない、成功率がかなり低いと言うこと。何のことはないわ、そんなのは私達にとっては何時もの事よ
「・・・ありがとう」
だから返事はそれだけでお互いに十分。ふふ、可愛いものじゃない。メイだったらどんなに確率が低かろうと自分に任せておけば問題ないって顔しているわよ? 何度も細い糸の上は渡らされてきているけどね
「それで?」
「特には・・・ただ時間を稼いで下さい。それで合図があったら」
「殺れば良いのね」
「ぶ、物騒なのです」
今更何を言っているのかしら、表の私は。ここは戦場なのだから、当然最後は殺るのよ。でも、時間を稼ぐかつまり
「任せておきなさい。守ってあげるわよ、あなたも・・・彼女も」
コクリと頷くククル。ただ時間がかかるだけならばククルはあんな言い方はしないでしょう。準備が出来たらとか合図に合わせて何て感じでしょうね。それが時間を稼いでと言った。ただ時を引き延ばすのではなくて、その何らかの準備をする間の時間は彼女が無防備になるのでしょう。そして、彼女にとって自分以上に守りたいかも知れない人を自ら守ることも出来ない
「お願いします。せめて・・・」
「両方必ず守るのです!」
ふふ、表の私もやるものだわ。ええ、せめて彼女、ククルの大切な人であろう彼女だけでもなんて言わせないし、する必要も無い。私と彼女で2人、だったらあの程度の連中からたったの2人を守り抜くぐらい大したことは無いわ
「行くのです! 守りは私にお任せなのです!」
「元気ね、でも頼んだわ」
襲いかかる複数の敵。一見同数に見えるけど、ククルへの攻撃者が少し多いかしら? あまり舐めないで欲しいわね
「少しの間大人しくしていなさい!」
下手に殺ってしまうと転生されてしまう。だったら眠っていて貰いましょう・・・冷たい氷の中で
「死んでいなければ転生は出来ないでしょう? 封じてあげるわ、永遠にね」
実際にそれが出来るかどうか何て関係が無い。おそらく、こいつは無敵ではないのは封じる術があるのでしょうけど・・・私なりの封印術、稼いであげようじゃない、それが何時間であろうとも!
何時間、それほどではないように見えますが基本高速で1秒以内の決着がデフォルトなうちではなかなかの長時間です
メイ「アシュラ殿のような例外はいますが、基本的に私達の戦い方では体力が持ちません」
また来たんですね、メイ。確かに名前は出てきましたが・・・
メイ「策士と言えば私ですので」
メイのは策と言うよりも未来予知に近いんですけどね。言え正確には予測ですが
メイ「とはいえ、今回はあまり話す無いようもなしなのでしょう?」
ですねぇ、前回から引き続きククルちゃんの策は何なのかを次回の楽しみにしていて下さいという所ですね。では今回はこの辺でお開きです、次回もまたよろしくお願い致します~




