最終部8章「修羅の優しさ」6話 「教える理由」
「ヌッ・・・」
トワメルの動きが変わった? あの動きは・・・なるほどそういうことか
「クククッ・・・」
「な、なんだ!?」
「何、その感情は正常だ。悪いな、オレもこれほど楽しき戦いは珍しい。故に、つい忘れがちになるが貴様は貴様は戦士としては初心者・・・安心しろ、それは戦士の第一歩目だ」
未熟な技量でありながらオレを楽しませられるほどのスペックを持つ者が初心とはなんとも奇妙なものではあるが、それはそれで面白いと言えよう
「なんだ!? 何を言って・・・」
「ふん、わからんか。オレもそれは失って久しい・・・そう、少なくても戦闘という場面では遙か昔に失ったもの、それは恐怖だ」
先ほどまではド素人のように、いやド素人そのままに見えているオレの位置にただ攻撃を放っていただけだった。それが今はオレのことを見ようともせずに闇雲に攻撃を仕掛けている。それをフェイントに使えているわけでもなく、見ずともオレの位置が分るほどの技量も無い。ならばそれは
「ば、馬鹿な!? 僕は貴様よりも優れた体を手に入れた」
「ふむ」
受け入れられないと全身で示すかのような攻撃をオレは軽く避ける
「ダメージを受けてもこの体は痛みもなく、すぐに回復する!」
「そうか」
再びされた攻撃を見もせずに避けてみせる
「この僕が何を恐怖すると!!」
「さぁな」
今まで1番単純に打たれた攻撃、振り下ろし方は悪くないがそれでは当らん。避けるついでに再びその腕を刈り落とす。何に恐怖をしているかなど知らん。そんな物に何も興味は無い。オレが興味があるのは
「くっ!?」
「どうした? 自慢の体もそれでは役に立つまい?」
その後も何度となく攻撃をし、そして再生されるを繰り返す。これだけでは面白くもないが、オレの攻撃が有効打になっていないのもまた事実か・・・リュウトが戻ってくるまでこれを繰り返すのは腹立たしいが、こうやってじわじわと削っていくのも悪くはない、なにせ
「おっと、今のは中々悪くはないぞ」
「ば、馬鹿にするなぁあ! 貴様のような僕の研究のなんたるかを分っていない奴が! あの時の奴らと同じ、それ以下の愚か者が! 僕を馬鹿にするんじゃない! 馬鹿にするのは僕の方であるべき何だ!!」
奴の主張などどうでも良い。リュウトならばやるかも知れぬ、本音を引き出して和解を試みるなどと言う下らんことをやる気も無い。だが、確実に
「ムッ・・・」
「はぁはぁ、どうだ! 僕を馬鹿にするからだ!」
久々に当った一撃に少々血を吐く。ふむ、残っているダメージの大きさから言えばオレの方が大きいか
「そうだ、僕は強いんだ! この体は最強だ! お前なんか怖がる必要は・・・ない! ははっ、僕を混乱させてダメージを稼ぐ気だったのだろうけど、それは無駄だよ!」
・・・ほう? それはオレを馬鹿にしているか? 貴様と知能合戦などする気は無いが、そんな下らんことを考えていたと思われるは心外だと一睨みする
「ヒッ! な、何を睨んで・・・」
「ふん、この程度でひるむのではまだまだだな。わざわざ教えてやったのだ、貴様のその耐久力を糧にもっと戦士としての階段を上がって見せろ! もっとオレを楽しませるためにな!」
これが2023年最後の更新となります
アシュラ「戦いに終わり、戦いで始まる年・・・至高だな」
いや、それはアシュラだけだと。まぁ、より苦しい戦いのために今回みたいなことをやる悪魔だからなぁ
アシュラ「修羅としては当然のことだ」
褒めているわけではないんだからな? リデアやお前みたいにツンデレでもないぞ?
アシュラ「くくっ、どうでもいいことだ。楽しく戦いがそこにあればな」
はぁ、とまぁこんな感じで今年は終わらせていただきたいと思います。そして来年もよろしくお願い致します。では、皆様よいお年を




