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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
2部8章『心の闇』
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3話 「願い」

 ポフッ・・・と妙に軽い音を立てて降り立った地面。どこまでも広がる異空間。初めてではないが慣れるものではないな。


「そんなことを考えている割には落ち着いてるな。」


 当たり前のように俺の心を読んできた奴は・・・どう見ても俺だな。さすが魔王、なんでもありってか?


「そう言うお前は俺の心の移し身ってところかな。まぁ、そのまま俺というわけではないだろうけどな。」


 閉鎖空間で自身の心と一対一。となれば敵の考えていることなど一目瞭然だな。さて、どんな醜さを見せてくれるのだか。


「ん? 何か見せてくれるんじゃないのか?」


「貴様に見せるものはない。何故なら・・・お前の中には何もないからな。」


 何もない? そうか、そういうことか・・・


「貴様には目的も目標もない。訳もなく、ただ流されて剣を振るうだけ。ゆえに光もなく闇もない。その結果が・・・アレだ。」


 ぼや~っと浮かび上がるのは数多くの人影。そう、あれは人だ。


「今日、集まってもらったのは他でもない。森に住む化け物を退治する為だ! 奴は竜神などと名乗ってはいるが所詮は化け物。あの力が我らに向く前に打ち滅ぼすのだ!」


 化け物・・・俺は化け物か。そうだろうな、すでに俺は人とは言えない。その力はたしかに化け物と呼ばれるにふさわしいものだろう。あのとき、力を得るために挑んだ試練でそう呼ばれるのを覚悟したように・・・


「人はすぐに恩を忘れる。貴様がどれほど血を流し汗を流して助けても無駄なこと。・・・貴様はただいいように利用されているのだ。奴らもそれは同じだ。」


 次に現れるものは・・・当然あいつらだろうな。


「ふん、ライバルとおだてておけばいくらでもいいように動く。単純な奴だ。」


「ホントにわたしがお兄ちゃんだなんて思ってると信じてるんだから、馬鹿だよね~。」


「ホント、お姉ちゃん命令っていえばきっと何でもいうこと聞くよ。」


 アシュラにレミーにママナ・・・そして


「精々あの化け物には役に立ってもらわなければな。私たち、エルフのために。」


 アキか・・・。たしかに見ようによってはそう見えないこともないけどな。


「貴様はいつまでそうやって利用され続けるつもりだ?」


 いつまでか・・・決まっているな。


「ずっt」


「ずっととでも言う気か?」


 っ!? さすがに俺の心を映しているだけのことはあるな。そう、アキたちに騙されてるとは思わないが、それならそれでいいと俺は思う。


「だからこそ貴様は救われん。奴らが貴様に何をしてくれた? 貴様は何を得たのだ? どうだ? 我らの元ならば貴様には巨万の富を与えてもいい。」


 俺は静かに目を閉じ考える。俺が得たもの? いや、それ以前だな。俺は何故騙されていてもいいと思う? きっと、それは俺が今まで考えなかったもの。心の奥の奥にしまわれていたその答えは・・・


「あはは、あははははは! そうだ! そうだったな。 ある意味ではお前に感謝すべきだな。」


 忘れていたよ。俺の本当に一番大切な心・・・一番大事な目的をな。今回のことでようやく思い出せた。


「そうか! ならさっそく協力を・・・」


「協力? 冗談じゃないな。それこそいいように口車に乗って利用されるだけだろ? それにお前たちにはアキたちのように、たとえ騙されても助けたいとは思えない。いや、騙されていなくても協力したくない・・・だな。」


 そう、俺の願いなんてたいしたものじゃない。酷く利己的で、そして一般的なものだ。つまり・・・幸せになりたいということ。俺は俺が幸せになれる場所を奪われたくないだけなんだ。


 元々俺は姉さんたちを守りたくてこの力を得た。厳密に言えば姉さんたちを失うことが怖くてだな。きっと、この力を得ても・・・化け物になっても姉さんたちは受け入れてくれるなんていう都合のいいことを考えて。結局俺は覚悟なんて出来ていなかったんだ。


 だからあのとき、姉さんたちが死んだ時に俺は目的を本当に失っていたんだ。それを認めたくなくて、止まっていたら悲しみに、罪の重さに押しつぶされそうで俺はがむしゃらに剣を振るった。・・・そして今俺が戦う理由は


「さぁ、さっさと出してもらおうか。そこに俺が守ってやりたい奴らがいるからな。」


 いつの間にかあいつらは姉さんたちに負けないほどの仲間に、家族になった。それに俺にとって一番大切になった奴もいるしな。


「・・・駄目だ。貴様だけは・・・貴様だけは出すわけにはいかん!」


 俺ごときの何をそんなに警戒してるのかは知らんが、出さないと言うなら無理やり出てやるまでだ!


「いるんだろ? 頼むぞ・・・リュム!」


 光が俺の右手に集まったと思った次の瞬間には俺の手の中にはリュムが納まっていた。


「何!?」


 驚く俺の心の闇に対してリュムは平然とこういった。


「何を驚く? 我は剣。主が望むなら世界の壁に阻まれようとそこにあるが当然だろう?」


 まさに当然と言うようにそこにある竜神剣。・・・本当にありがとう。お前が一番頼れる俺の相棒だよ。


「さぁ、この世界を・・・俺の心の闇の世界を壊して現実に帰るぞ!」




「ファイヤーボール!」


「ウォータショットだよ~!」


「修羅・・・烈風斬!」


「ふん、ロックウォール。」


 私たちの波状攻撃も、さすが魔王って感じで通用しない。しかも防御特化のはずの地属性なのに攻撃も・・・


「グランドバルカン。」


 えっ!? ・・・これは避けれないよね? ごめん、リュウト・・・私あなたが帰ってくるまで持たなかった。


「よっと、アキ・・・前も言ったけど諦めるの早すぎだぞ。」


 ・・・リュウト? リュウトがいる! そんなに別れていたわけじゃないのになんか涙が出ちゃう。それにその笑顔、なんか前よりカッコよくなったような?


「遅くなって悪かった。リュウト=アルブレス・・・ただいま参戦ってな。」


 ・・・クスッ、リュウトったら! でもリュウトがいるだけで負ける気がしない。きっとあなたが負けるなんて考えていないから。私があなたのことが好きだからかな? うん、一緒に勝とうね! リュウト!!

リュウトが一部のころから悩んだり回答を出したように思わせたりしていたものの答えは一番簡単なものでした。


アキ「それに気づかなかったリュウトは鈍いが、その理由だけで自分をなげうてるのはやはり彼の強さだな。」


リュウト「そうか~? 自分の幸せのためだから自分をなげうてると思うんだが。」


どっちもでしょうね。リュウトの場合、自分の幸せ=周りの人がいること=周りの人を守るですから。


アキ「単純であるがゆえに壊れない。・・・だが、私たちを守る為に無茶をするのはやめてくれ(ウルウル)。」


リュウト「うわっ! ちょっと、アキ!? 泣かないでくれ~~~!!」


というところで今回は・・・


リュウト「この状態で俺を置いて行くな~~~!!」


主役として自分で対処するように! ではまた~♪

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