4話 「闇と光」
再び男性チーム
オレの力をフルに使うためにはどうしてもこの闇の瘴気を開放する必要がある。この瘴気に耐えれるのは高い内部エネルギーを持つリュウトと同じ闇属性のママナぐらいのものだ。あの二人・・・特にレミーの奴は命にかかわりかねない。
「・・・あなたは何故その力を・・・カハッ!」
喧しくさえずるルーンの首をつかまえて絞める。今のオレならばこいつがどう動こうと捕まえる事など容易。・・・奴にこれ以上セリフを重ねさせたくなかったわけではない。そうだ、今まではただ全力を使う必要がなかったというだけのこと。他のものを・・・あいつを気遣ってのことでは・・・ない。
「じ、自分を偽っちゃ駄目よ。あなたはあの天使の小娘を・・・きゃ!」
首を絞められてなおうるさいルーンを放り投げる。・・・しまったな、この空間には叩きつけるようなものはなかった。これではただ開放しただけ。まぁいい、困ることなどありはしない。
「クスクス、や~っぱり。ほんのちょっと言われただけでこんな失敗をおかす。意識してるのバ・レ・バ・レ。ウフフ、いいわ。お姉さんがまるで思春期の男の子みたいなアシュラ君にホントの女ってものを・・・ひっ!」
ごちゃごちゃとうるさい・・・こいつに手加減も遠慮も無用だ。続きは冥府の底でさえずれ!
「修羅・・・孤舞陣!」
前後左右、四方八方よりの高速の突撃攻撃。受けた衝撃に吹き飛ぶ時間さえも与えはしない。・・・敵はその場で孤独な踊りを強要される。
「そ、そんな・・・私の誘惑が通用しないなんて・・・。あなた本当に悪魔なの? 悪魔は欲望に忠実なはず・・・。」
ほう、まだ息があったか。見た目よりは頑丈に出来ているらしいな。
「オレは『闇の牙』。ただひたすらに強さを求める。それが闇の底で牙を研ぎ澄ます獣のイメージと重なって出来た通り名だ。・・・オレはこれ以上ないほど欲望に忠実だ。そして・・・貴様などにオレが魅了できるものか。」
さて、止めと行くか
フフフ、どうやら罠にかかったみたいね。いくら強くてもアシュラは所詮まだまだ若い悪魔。私のようなタイプを相手にするにはまだ経験が足りないわ。
「フフ、お・ば・か・さ・ん。・・・えっ!?」
突然、思いもかけない方向から飛んできた3本の風の刃・・・これって、ひょっとして
「竜神流 竜爪閃!」
りゅ、竜神の坊や!? そんな、私の呪いに囚われていたはずなのに・・・
「悪いな、竜神剣には呪い封じの力があるんだ。」
「の、呪い封じ?」
ルーンが唖然とした顔を見せる。そう、この剣がある限り呪いは効かない。・・・もっとも効果が発動している呪い限定で解くまでに時間もかかるんだけどな。邪竜神の時には空中城が落ちるまでの時間では解除できなかったらしい(その後百年間放置してたのはリュム曰く「我の力を平時使う事など許さん」ということのようだ)。
「ふん、余計なことを。」
後ろで面白くなさそうに呟くのはアシュラ。だけどな
「お前だって気づいていただろうが、俺がやった方が安全に罠を無効化できるだろう? 助け合ってこその仲間さ。」
まぁ、アシュラは仲間っていう言葉自体が気に入らないのかもしれないけどな。
「ふん、まぁよかろう。ならばここはもう一つの楽しみに協力してもらおうか。」
にやりと笑うアシュラ。アシュラの実力ならルーンは敵ではないだろう。ならば、アシュラのいう楽しみとは
「ああ、この先の戦いの予行練習としてもな。」
竜神の坊やとアシュラの力、闇と光がぶつかり合う。・・・馬鹿ね、そんなことをしたらお互いに対消滅するに決まって・・・!? そんな!? なんで融合なんてするのよ!? 光と闇よ? あ、相反するはずなのに!
「共存する光と闇・・・そんなものもあるということだ。」
「ふむ、この力・・・悪くはないな」
そ、そんな・・・そんな馬鹿なことがあるわけが・・・う、嘘よ! ねぇ、お願い・・・だ、誰か助けて・・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
光と闇。この小説のテーマの一つでもあります。
リュウト「相反するものが必ずしも共存できないわけではない。・・・いや、本当に相反するのか? ってことか。」
はい。リュウトがよく言うように闇が必ずしも悪であるとは限らない。逆を言えば光が必ずしも善であるとは限らない。彼らが手に入れる答えにも注目してください。
アシュラ「しかし、ルーン。奴は本当に滅んだのか? あの手の奴はしつこいのが相場だ。」
・・・それはこの後の展開をお楽しみに~!
アシュラ「・・・なるほど、そういうことか。」