秋空「優也と俊介」
9話目です。長いこと続いてしまいました・・・
ピピピピピピ・・・
朝が来た。
昨日は電話のあと、すぐに眠りについた。
今日、俊介がどんな顔をしてくるのか。
楽しみでもあり、複雑。
起きてから空を見上げる。これも、日課。
「今日は晴れだ。」
涼しい秋風が頬に触れる。
「舞ー、起きてんのー??」
母親が呼んだ。いつもならこの声で目が覚めるんだけど・・・
「起きてるよー、今行くー」
今日はいい日になりそうな予感がした。
「舞、おっはよ~」
「あ、花奈、おはよ。」
「今日、安藤来るらしいじゃん。」
「相変わらず情報早いね・・・」
「昨日話したの?」
「うん。電話した。来るってさ。」
「よかったね。久しぶりじゃん。」
「うん、なんか元気なかったぽかった。」
「マジ・・・彼女となんかあったんじゃない?」
「そこは情報通がなんとかしてよ。」
「いや、まだ仕入れてませんよ。」
そんな会話を続けていると俊介が来た。
「おー、俊介久しぶりじゃん!!」
「お前、なんで休んでんだよー」
「てか、顔どしたん?」
「俺、寂しかったぞー」
クラスの男子が口々に俊介に話しかける。
「わりっ、ズル休み?」
「んだよ、お前なぁー」
よかった、いつもの俊介だ。
こっちに来た。
「舞、おはよ。」
「おはよ、俊介。」
「昨日サンキューな。」
「?」
「なんか、電話もらえて嬉しかった。」
「なにそれ(笑)」
「いや、マジ。」
「それより、ほっぺた腫れてる?」
「あ、まぁな・・・ちょっと。」
「大丈夫?」
「全然問題ないっす!!」
「なら、よかった」
私たちもいつものように接していられる。
よかった。なんともなくて。
「あの~・・・私いるの忘れてません?」
「あ、花奈・・・ごめん・・・」
「いいけどぉ・・・ブー・・・」
「竹田、そんな顔してっとモテないぞー」
「あんたに言われたくないわよ、安藤!!」
「うっせーよ(笑)じゃ、後でな。」
手を振り去っていく。
私、やっぱり俊介が好きだ。
「よかったね、彼氏元気そうで」
「か、彼氏じゃないよ・・・まだ・・・ってかニヤニヤしない!!」
この関係も変わらなく続いて欲しいな。
私は俊介のほうを見た。男子たちと騒いでいる。
可愛いなぁ・・・なんて思いながら見ていると。
「舞。」
誰かが私を呼んだ。ドアの方からだった。
「優也・・・」
「ちょ、来て。」
私がしぶしぶ行こうとすると俊介がこっちを見ていた。
「どうした?」
「いや、俊介来てたからどんな顔してるか見に来た。」
「わざわざそんな・・・別に普通だよ?」
「宮間も来てたぜ。」
「・・・そっか。」
「舞、何してんの?」
急に俊介が入ってきた。
「おぉ、俊介。久しぶりじゃん。」
「あぁ、優也。お前、舞に何もしてないだろうな。」
「さぁね?お前には関係ないじゃん?」
「関係なくねんだよ。」
ちょちょちょちょっと待って。
なにこれ。なんか険悪・・・。
「舞、向こうで話そうぜ?」
「おい、待てよ。もうすぐHR始まるんだよ。」
「ちょっとぐらいサボってもいいじゃん、ねぇ?」
「お前、勝手に決めるなよ。」
「お前も同じだろ?」
「ちょっと待って!!何喧嘩してるの!!」
「別に喧嘩じゃねーよ。」
「舞、ちょっと戻っとけよ。」
「え、ちょ、ちょっと俊介!!」
私は無理やり教室に戻された。
そのあと2人が何を話していたのかはわからない。
だけど、帰ってきた俊介が相当怒っているのがわかった。
「俊介、大丈夫?」
「ん?あ、あぁ。大丈夫だよ。」
「そう?」
「うん、舞。あんまり優也と関わるなよ。」
「なんで?」
「いや・・・なんか・・・」
「?」
全く意味がわからなかった。
俊介が口ごもる意味も。
花奈がニヤニヤ笑っている意味も。
「ま、とりあえず、あれだよ!!あの、あいつあほだから!!」
「・・・はぁ・・」
「あんまり関わんじゃねーぞ?」
そう言って優しく微笑んだ。
その笑顔がずっと見たかったんだよ、俊介。