秋空-俊介said-
視点を俊介にしてみました。
俺は最近学校を休んでいる。
時々、舞や友達が心配して電話をしてくれたり
家に遊びに来てくれる。
だけど・・・だけど俺は今、会えない。
時は少しさかのぼり・・・
舞と遊んだ日があった。
このときから、俺は舞に隠し事をしていたんだ。
「ん。・・・あ、舞、待って。」
「ん、何?」
俺は舞の腕を掴んだ。
その時、伝えればよかったんだ。
俺と楓のこと。
だけど、舞を巻き込むわけにはいかない。
俺の大事な人。
久しぶりに一緒に帰ることになった俺たちは、
舞の提案でゲーセンに行くことになった。
俺が得意げに色々してやると、
隣で「すごいね、すごいね!!」ってはしゃぐ幼馴染。
その笑顔が見れるだけで、俺は安心できた。
そして、余計に伝えられなくなった。
多分舞も気づいていただろう。楓のことだって。
もちろん、そのとうりだ。
・・・俺の彼女、楓は「ミヤマ産業株式会社」という
大手機械会社のご令嬢なのだ。
もちろん、俺が釣り合うはずがない。
楓には・・・婚約者がいた。
はじめは驚いた。でも、家柄仕方の無いことだった。
でも、俺は本気で楓を好きだった。
楓は最初から、婚約者がいるとわかってて俺と付き合った。
それがいかに腹立たしいことか多分、俺にしかわからないだろう。
なぜ、付き合うときに全て話してくれなかった。
なぜ、俺なんかと付き合うって言ったんだ。
そして、少し喧嘩もするようになった。
俺は殴られる覚悟でミヤマ産業の社長、つまり楓の父に会いに行った。
「すいません、単刀直入に言います。俺、楓さんと付き合っています。」
「なんだね・・・君は・・。」
「楓さんの彼氏です。」
「君が安藤くんかい?」
「はい。ご存知ですか?」
「楓から話は聞いています。こちらも単刀直入ですが楓との交際は認められません。」
「それは、婚約者がいるからですか?」
「それもあります。だが、こちらの会社を背負っていける人間でないと会社に影響が出るのですよ。」
「俺が会社を次ぐことはできませんか?」
「もう・・・決まったことなのです。」
あっさり、諦めた。俺は自分の弱さを改めて確信した。
「ごめん・・・楓・・・」
「ううん。私も、俊ちゃんのこと・・・」
「俺が悪いよ、ごめんな」
次の日、楓に話すと、彼女は泣いていた。
俺は楓とは別れなくちゃいけない。それはわかってる。
だけど、自分の不甲斐なさにどうしようもなくイライラして・・・
そして、ついに俺たちは別れた。
その夜。一度、街で暴れてやった。
不良3人ぐらいと一度に喧嘩して。
それで、俺の鬱憤がはらせるのならと何回も殴った。
それでも、3人係はキツかった。
俺はその場に倒れこんだ。
「・・・クソッ」
ふと、頭に浮かんだのが舞の顔だった。
俺のそばにはいつも舞がいてくれた。
俺の運命の人は楓じゃなく・・・
そのとき、ポツポツと雨が降り出した。
空を見上げると、真っ黒に染まった雲が浮かんでた。
「ははっ・・・俺の今の気持ちか?」
そうつぶやき、泣いた。
俺は自分のこんな姿を見せまいと、
学校を休んだ。
殴られた跡もあるし、なにより今の俺は自分じゃない。
学校に行けば、きっと舞が心配する。
最近の舞は俺のことをすごく気にかけてくれている。
また、余計な心配をさせたくない。
家が近いから、何度も会いに行きそうになった。
舞からの電話も来た。
だけど、俺は一度も外に出ることなく誰にも合わなかった。
楓も同じように学校を休んでたらしい。
そして、明日。
俺は学校に行くことになった。
最初は部活だけだったんだが、舞からの電話でいつまでもこんな状態じゃダメだって思った。
楓とも連絡して、俺たちのことを全て話す決意をした。
舞から電話が来たあと。
ふと空を見上げた。
今日は晴れていたため、星がたくさん見えた。
空を見上げると舞を思い出す。
「明日は一緒に見ような。」
そう言って俺は眠りについた。