第二話 最初のプログラム
「っと、プログラムを始めるその前に、一つだけ、ちょっと楽するための『おまじない』をするわよ」
「は?」
何を言い出すんだ、こいつは。
「うふふっ。ま、気にしないで」
立花先輩はスタートメニューより「コンピューター」を選んでから、「システムのプロパティ」を選んだ。
そして、左の欄から「システムの詳細設定」を選び、現れたウィンドウの下にある「環境変数」ボタンを押した。
そして現れた「環境変数ウィンドウの下の欄のシステム環境変数(S)から「Path」を選択し、「編集」ボタンを押す。
更に現れた「システム変数の編集ウィンドウ」の「変数値(V)」とある欄の文字列の最後に「;C:\MinGW\bin;」という文字を打ち込んで追加した。
「ふんふん。これでよし、と。あ、イツキくんは気にしないで。おほほほ」
怪しい笑いをしながら、先輩は、それぞれのウィンドウを「OK」ボタンを押して消していく。
「……な、何をしたんですか?」
「イツキくんも、プログラミングをしていれば、いずれわかる時が来るわ。今は、少し楽するための『おまじない』と思って頂戴。それより、これからゲームプログラム入れるための、専用のフォルダを作るわよ」
「え、どこにです?」
「うーん、C:ディスクの直下でいいか」
先輩はCディスクをエキスプローラで開いて「sample」という新フォルダを作った。
「ここに、これから作っていくゲームプログラム入れていくのよ」
「はあ」
「はあ、じゃないわよ。もうー。これからイツキくんは一人で作らないといけないんだから、しっかり見ててよ!」
そうだった。俺は首を振ると、意識を研ぎ澄ました。
「さて、お待たせしましたの。では、初めてのプログラム、作るよー!」
先輩は、sampleフォルダ内で右クリックして、新規作成 > テキストドキュメントを選ぶと、FirstProgram.cと名前を打ち込んだ。
「Cのプログラムは全部、最後に.cが付くからね」
そう言いつつ、中身をウィンドウズのメモ帳アプリで開いて、先輩はカタカタとプログラムを打ち込んでいった。
/* 最初のプログラム! */
#include <stdio.h>
int main(void)
{
printf("立花アカネは、世界一の美少女デス♪\n");
return 0;
}
「……」
モニター画面に映るプログラムを見た俺は、つい我慢する事が出来ずに言った。
「先輩。このプログラム、一行だけ致命的に間違っている所があるようですが」
「なに言ってんのよ! あたしが間違ったプログラム作るわけないじゃない!」
「け、けど……」
「とにかくっ。これからコンパイルを始めるわよ。でもその前に、イツキくんにもコマンドプロンプトについて知ってもらうわ」
「え!?」
先輩はマウスカーソルを画面左下のスタートへと動かしていった。