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カレンデュラ  作者:
聖女と少年
27/42

初任務 8

『ヘクター!急がないと、誰かが...!』


残酷な光景を目にしたヘクターは唇を噛み締め、叫んだ。


『行くぞ!全員配置につけ!』


そう言い放ち、ニーナとヘクターはラザグルの群へと突入した。


『こっち..見ろよ!』


ヘクターは拾った小石を指で弾き、魔力のレールに乗せる。

【魔雷砲】(レールガン)


青白い閃光が軌道を描き、小石は電光の弾丸となってラザグルを撃ち抜いた。


「グゥオォォォォォーー!!」

断末魔の叫びと共に、一体のラザグルがバタンと倒れた。


他のラザグルたちも異変に気付き、赤い目でヘクターたちをじっと見つめる。


続けてニーナも魔法を放った。


【紅蓮弾】


赤い炎の塊をラザグルに向かって放った。


───だがラザグルは二本のツノを光らせ、炎を弾き返し、勢いよく突進してきた。


『なっ.....!!!』


驚愕の表情を浮かべたニーナに、フェリスとノエルが咄嗟に反応し、防御魔法を展開する。


【氷の帳】(グラシアルーム)

【翠嵐の盾】


ニーナの周囲に強固な防壁が張り巡らされた。


『あっ、ぶなっ!』

ホッと息をつくニーナにフェリスが言い放つ。


『ニーナ!油断しすぎ!次。くるよ...』


『えぇ。分かってる。』


【鳳仙花】


ラザグルの周囲にポツポツと炎の花が咲く。

敵は警戒し、身を寄せ合い一箇所に固まった。


そのタイミングを見計らい、ニーナは唱えた。


【散れ】



炎の花は無数の花弁となって舞い散り、ラザグルたちに降り注ぐ。


「グォオーオォオ!ガッ.....」

炎に包まれたラザグルたちは次々と燃え上がっていった。


『もう...生き残りはいないかしら...?』

辺りを見渡すニーナの目に映ったのは───


真っ二つに裂かれた男の死体と、頭を食べられた馬の死体だった。


『...ごめんなさい、助けられなくて...』


涙を浮かべて悔やむニーナに、シリウスは優しく抱きしめて慰めた。


『ニーナ...あなたのせいじゃないから...』


シリウスの腕の中でニーナは、涙をこぼした。


ヘクター、シエル、ノエル、フェリスは銃撃されていた荷馬車の様子を確認した。


荷台にあった荷物は三分の一ほどが無事に残っている。


『まだ使えそうなものもある....!』

シーツを剥がすと、そこには怪我を負い眠る女の子の姿があった。


『シエル!こっちに!!』


ノエルが急いでシエルに声をかける。


少女はその声で目が覚める。


『痛っ....!』

ゆっくりと目を開け、ここがどこなのかと、辺りを見回す。


『動かないで!今治してあげるから!』


【ヒーリングベール】

優しい光が少女を包み込み、傷はみるみるうちに癒えていった。


ホッとした少女は深々と頭を下げて礼を言った。


『ありがとうございます......』


顔を上げ、一番最初に目に映ったノエルをじっと見つめる。


目は赤く輝き、頬を薄く染めながら荒い息をついた。


『はぁ....はぁっ...んっ....』


『どうしたの!?大丈───』

心配そうに駆け寄るシエルの横を、ノエルがすっと通り過ぎ、少女をいきなり抱きしめた。


『...ノ...エル??』

何が起こっているのか理解できずにいるシエル。


そこへフェリスが駆けつけ、ノエルと少女の顔を見た瞬間叫んだ。


『シエル!急いで二人を眠らせて!早く!!』


『わ...わかった!!』


【ソムニア】


二人の周囲を妖精たちが舞い、キラキラと光粉を振らせる。


やがて、ゆっくりと目を閉じていった。


『間に合った...!』

ホッと胸を撫で下ろすフェリスに対し、シエルは何が起きたのか理解できずにいた。

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