表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カレンデュラ  作者:
聖女と少年
25/42

初任務 6

王都の街灯にポツポツと灯りがともり始める頃。

南門前には、旅の始まりを告げるように馬車と荷を積んだ荷台が並び、静かに出発の時を待っていた。


空には細い三日月が浮かび、冷えた夜風が頬を撫でていく。

昼間の喧騒が嘘のように静まり返った通りに、これから始まる旅への高揚と一抹の不安が漂っていた。


そんな空気の中、ムーンロードの仲間たちが一人、また一人と荷台の方へと集まってくる。


『シエル...もう落ち着いた...?』

心配そうにノエルがシエルの顔を覗き込んだ。


シエルは少し疲れた表情を浮かべながらも、微かに笑って頷く。

『うん....もう大丈夫だよ。ごめんね?心配かけて....』


小刻みに震えていたその手を、ノエルは優しく、そしてしっかりと握りしめる。

『俺がそばにいいるから。だから安心して...?』


その言葉に、シエルの瞳がわずかに揺れる。

視線を少し逸らしながらも、頬をほんのり赤らめ───小さく、囁いた。

『.........ありがとう。』


ノエルの手の温もりが伝わったのか、彼女の震えはいつの間にか止まっていた。


───


一方その頃、荷物の積み込みが終わり、メンバー全員が顔を揃えていた。



『今日はよろしくお願いします。まず、最初に馬車を引くのがこっちのルコン。その後は僕、アルです。ムーンロードの皆さんには順番に運転手の隣に座って護衛してもらいながら、街まで向かおうと思ってます。』



『まかせて。私たちが交代で見張るから!』

ルナが明るい笑顔でそう言うと、続けてさらりと頼もしさも添える。


『もしも魔物が出ても、アルたちは結界の中で大人しくしててね』


ルナの言葉に、アルとルコンの表情にもほっとした色が浮かぶ。


『じゃあ皆んなは荷台乗って。───シエル。お願い!』


『任せて!』


【スリープベール】


淡い光がふわりと広がり、夜風に舞う羽のように仲間達を包み込む。

まるで月の光が形を持ったかのように、優しく、眠りへと導いていく。


『よし。準備オッケー!』


元気よく振り返ったシエルに、コルンも笑顔で応えた。


──夜の王都に、馬車の車輪が静かに軋みを上げる。


『さあ、コルンさん行こうか!』

『はい!お願いします!』


こうしてムーンロードの一行は───

夜の帳が降りる中、静かに王都を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ