初任務 買い出し
『おー!いたいた!』
向こうからヘクターが手を振りながら小走りで駆け寄ってきた。
『ルナたちが回復薬買って、次は食料の調達なんだけど──ちょっと離れるから探してきてって言われててさ。....お!ノエルもニーナも似合ってんじゃん。髪型!』
伝言を伝えた後ふと髪型の変化に気づいて笑顔を向ける。
『うん。ノエルは結んでる方が男前だな!』
そう言われてノエルは、少し恥ずかしそうに目を伏せた。
『お、男前だなんて...そんな...ヘクターさんやフェリスさんみたいには...』
『そんな事ねーぞ?ノエルは綺麗な顔してるもん!な?ニーナ!』
『だよねー。可愛い顔立ちだし、もっと自信持っていいと思うよ〜?』
ふたりに褒められ、ノエルの頬がほんのり赤く染まる。
『あ!ノエル!俺の事は「ヘクター」でいいからな!気軽に呼んでくれよ?』
その言葉にノエルは少し驚きつつも、自然と笑みが溢れた。
『......わかった。ヘクター。改めてよろしく!』
言葉を交わして笑い合うふたりの距離は、ぐっと近づいたようだった。
『──で、シリウスさんたちは今どこに?』
ノエルの問いに、ヘクターは親指で背後を指す。
『おう、中央の噴水広場で待ってるよ。俺はたまたまニーナの寄り道先を知ってたから、ふたりには先に行ってもらってる』
『そうだったんだ!じゃあ、早く行こう!』
三人は噴水目指して歩き出しす。
『今日のお弁当...どんなのにしようかな〜』
ニーナが考え事のように呟くと、
『今回の任務って、結構遠いの?』
ノエルが横で聞いた。
『確か──海が見える町だったと思う。着くのは明け方かな?荷物は商人さんの荷馬車に積んでもらえるけど、まあまあ距離はあるよー』
『海の町──か...初めて行くな。』
ノエルがぽつりとつぶやくと、
『いいとこだぞ!魚介、めちゃくちゃうまいんだ!報酬もあるし帰りにうまい飯でも食べようぜ!』
と、ヘクターが満面の笑みで言った。
──そうこうしているうちに、噴水広場へ到着した。
そこにはルナとシリウスが、荷物をまとめて待っていた。
『おーい。連れてきたぞ!』
『ヘクター、ありがとう。それに.....ニーナもノエルも、凄く似合ってるな』
ルナがにこやかにそう言うと、
『ニーナが、プレゼントしてくれたんです』
ノエルは少し照れながらも、嬉しそうに答えた。
『じゃじゃーん!実は──私たちからもノエルにプレゼントがあるんだ〜♪』
そう言って、シリウスは紙袋をノエルに手渡す。
「何だろう?」と袋を開けると、中には水色のウエストポーチが入っていた。
『回復薬とか、持ち歩くのに便利かな?って。気に入ってくれると嬉しいな』
ルナの言葉に、ノエルは満面の笑みでうなずいた。
『はい!本当にありがとうございます!』
『気に入ってもらえて良かった。初任務は緊張するかもしれないけど、私たちがついてるから安心してね。』
『本当に...これからもよろしくお願いします』
ノエルは微笑む四人に頭をさげると、一緒に食材売り場へと歩き出した。