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カレンデュラ  作者:
聖女と少年
17/42

教会 3

出来上がった四つの花束を持ち、二人は教会へと向かった。


シエルは花束を顔に近づけて、そっと香りを嗅いだ。

『いい匂いだねー!』

無邪気に笑いながそう言うが、フェリスはさっきシエルに握られた自分の手をじっと見つめていた──


『フェリス?どうかした?』

シエルが心配そうに問いかける。


『いや、なんでもないよ。』

と微笑みながら返した。


『そうだ。帰りに買う花束はどんなのがいいの?』


『んーとね。そうだな....』

上を向き数秒考え笑顔でシエルは答えた。


『フェリスが選んでくれた花束なら....どれでも嬉しいかも!』

そう言って微笑んだシエルの顔に、フェリスの心臓がトクン。と跳ねた。


『じゃあ...俺が選び終わるまで花屋に入っちゃダメだよ?』


『うん!楽しみにしてる♪』


そんな会話をしている内に二人は協会にたどり着いた。


表にはシスターのリリスが居た。


『リリスさーん!おはようございます!』


シエルは、元気よく挨拶をするとリリスも

『おはようございます!シエルさん。フェリスさん。神父様が祈りの間で待ってますよ。』

と教えてくれた。


二人は祈りの間に行く途中、中庭には、5人の子供たちが数名のシスターたちと楽しそうに遊んでいるのが見えた。


『皆...元気そうだね。』

少しホッとした表情でその姿を見つめるシエル。

『ホントだ。後で少し子供達とも話をしに行こうか』

そう言いながら二人は祈りの間に着いた。


『神父様。おはようございます。頼まれていた花束四つ買ってきました。』


神父様は振り返り微笑みながらお礼を言った。

『ありがとう、シエル。フェリス』


『神父様。この花束はどうしましょう?』

フェリスが尋ねると


『青色と黄色の花束だね。青の方は慰霊碑に飾る予定だよ。黄色の方は...アリアとマリアがここに来て今日で1年になるからね。助かったよ。』


アリアとマリアは、ちょうど1年前....魔晄炉が出現した村の近くで暮らしていた。

突如現れた魔物たちに襲われ、壊滅状態にとなった村から奇跡的に助け出された二人は、フェリスの手でこの教会へと連れてこられたのだった。


『そっか...あれからもう──一年になるのか...』

少し悲しそうな表情でフェリスが言った。


『1年か...だいぶ笑顔が戻ってきてよかった。来た当初は泣いていたもんね。』


シエルは当時の事を思い出していた。


ご飯も食べず部屋の隅で抱き合っていた二人の姿を──


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