教会
本日の本編はこちらです⭐︎
夜も深けてきた頃───
『シエル〜〜?しーえ〜る〜??どこーー?』
とろんとした目で、フラフラと歩きながらノエルが呼ぶ声が響く。
少し離れた場所でルナと話していたシエルは、その声に気付き急いで駆け寄る。
『ノエル。どうしたの??』
『シエル〜〜』
ふにゃっとした笑みを浮かべながら、ノエルは唐突にシエルに抱きついた。
『わっ.....!』
その勢いに、シエルの体がたじろぎ、頬がパッと赤く染った。
『......初めてのビアに酔ったみたいだな』
ルナが苦笑を漏らしながら、様子を見守る。
『今日はどうする?帰る?』
『うん......ノエルもだいぶ酔てるし、連れて帰ろうかな。』
『ノエルは、シエルの家に?』
ルナが少し意外そうに目を見開く。
『うん。慣れるまでは、と思って。一緒に暮らしてた時もあったし、部屋も余ってるから。』
『......そっか。気を付けてね。皆には言っとくよ。まだ飲んでるしーー』
ルナがテーブルに目をやると、残った仲間たちが陽気に笑い合い、盛り上がっていた。
『ルナさん。ありがとう。じゃあ、お先に!』
そう言ってシエルはノエルの手をとり、軽く引っ張って歩き出す。
その後ろ姿を、フェリスはちらりと横目で見ていた。
『シエル〜〜。シエル〜〜♪』
帰り道、ノエルは何度もシエルの名前を呼び、ご機嫌な様子で笑っていた。
『はーい。どうしたの、さっきから?』
『えへへ〜。シエルが隣にいる〜♪』
『はいはい。...ほら、お家についたよ』
二人は玄関のドアを開けて、静かな部屋へと入る。
ノエルはむにゃむにゃと呟きながら、ふわりとシエルの後ろをついていく。
そして、上目遣いで腕を上げると、まるで「着替えさせて」と言ってるようだった。
『....もう、しょうがないなぁー』
シエルは小さく笑いながら、そっとノエルの上着に手を掛ける。だがーーー
『シエル、だいすき』
服を脱がせた瞬間、ノエルは抱きつきながら頬にキスをした。
『っ.....!?』
突然の接触に、シエルの顔が真っ赤に染まる。
『ノ、ノエル!?ちょっと、着替えさせられないよ!』
焦りながらもノエルを引き離そうとした瞬間ーーー
『....シエル....』
ノエルはそのまま、すぅっと寝息を立て始めた。
『......も、もう.....なんなのよ.....』
頬に残るあたたかさと、胸の鼓動の速さに戸惑いながら、そっとノエルをベッドへと運ぶ。
(ドキドキが....止まらない....
あれは酔ってただけだよね?でも....
ノエルの声も、体温も....いつもと違って感じた)
ぼんやりそんなことを考えているとーー
『......っ!?』
突然、後ろからノエルの腕が伸び、シエルの腰をギュッと抱きしめる。
『ノ、ノエルさん!?....寝てる....』
動かそうとしても、腕は意外としっかり締まっていて離れない。
(もーーー!これじゃ、眠れないよ.....!)
******
ーーー真っ白な世界。
ノエルは、一人ポツンと立っていた。
「こ、ここは?」
辺りをみまわしていると、どこからかシエルの声が聞こえてくる。
「ノエルーー助けて....」
「もう...嫌だよ....」
振り向いても、シエルの姿は見えない。
「どこなの!?シエルーー」
必死に探し走ると、ようやく前方にその姿を見つける。
「シエル!見つけた!」
そう声をかけた瞬間、シエルが振り返った。
「ノエル....ごめんね...」
涙を流しながら、消えていくように霞んでいくーー
『シエルーーー!』
叫んだ瞬間、ノエルはベッドの上で飛び起きた。
『何!?どうしたの!?』
キッチンから駆け寄ってきたシエルの顔を見て、ノエルはほっと息をつく。
『...?夢....か。あれ?』
目元に触れると、指先がしっとりと濡れていた。
『ノエル...怖い夢、見たの?』
『.....うん。夢で良かった...』
『初任務が始まるから、緊張してるのかな?さっ!今日もご飯できてるよー!』
明るく笑うシエルに、ノエルもようやく微笑んで頷いた。
『昨日ノエルが気に入ってた精霊果が家に少しあったから今日はヨーグルトに入れてみた♪今日はマシュマロパンも焼いてあるよー!』
『......毎日ありがとう。シエル』
『『全ての恵みに感謝し、頂きます。』』
二人は手を合わせ、静かに朝食を始めた。
『......ねぇ、ノエル...きっ、昨日の事って...その、覚えてる?』
頬を少し赤くし、上目遣いでシエルが聞いた。
『昨日?皆と会って美味しいご飯食べて....それから....』
そこしか考えてると
シエルが体を乗り出した。
『それから!?』
『それから...どうやってここに帰ったんだっけ?何となく手を引っ張ってくれたのだけ覚えてるけど...』
『....覚えてないんだ...』
少し寂しそうな顔のシエルにノエルが声をかけようとした時ーー
ピーンポーン
インターホンの音が鳴る。
『ごめん!ノエル!出てくれる??』
『あ、あぁ...』
(俺なにかした.....?)
玄関の扉を開けると、そこには───
シエルが少しずつ自分の気持ちに気付きつつある...
初々しい初恋をうまく表現できるように頑張ります!