再開
『やっと...ついた!!』
王都の門ををくぐった瞬間、ノエルは思わず声を上げた。
またシエルと一緒に暮らせる。
その事を考えると胸が高鳴った。
数ヶ月前にシエルから届いた手紙にはこう書かれていた。
「ノエル元気??
もうそろそろ王都に来る歳だよね?!
2年会ってないけどノエルは背が高くなったかな?早く会いたいなー。
私はね。今…【月の道標】っていうギルドに居るんだけどノエルも来ない!?
一緒に冒険しようよ!待ってるから王都に着いたら教えてね!⠀」
ノエルとシエルは、姉弟のように育った幼馴染。
2年前に彼女が王都へ旅立ち、その時初めて自分の気持ちに気付いた。
(早く会いたいーーーー)
久しぶりの再会を前に胸が高鳴る。
ビックリするかな。
「男らしくなった」って言ってくれるかな。
シエルはどんな風に変わったんだろう。
可愛いからなぁ.....シエルは。
笑顔のノエルは、白く光を照り返す石畳の上をスキップしながらもう一度手紙を読み返す。
『えーーっと...確か場所は……』
そこには待ち合わせ場所が示されていた。
「酒場シエスタ。王都の時計台のすぐ近くにあるよ!」
時計台を目指し歩くノエル。
『シエスタ...シエスタ....シエ..あった!!ここだ!』
扉を開けると木の温もりと賑やかな音がノエルを包み込んだ。
『ノエルぅぅうううー!!』
バンッ!と木の椅子を蹴るようにして、誰かが立ち上がった。
銀髪の少女が、まるで風の様にこちらに駆け寄ってくる。
そしてーー勢いよくノエルに飛びついた。
『うわっ!?し、シエル!?お、おい、いきなり……!』
『ノエルだ〜っ!本物のノエルだ!背ぇ伸びてる〜!うわ〜....会いたかったぁ〜っ!』
懐かしい声が、泣きそうな声がそこにはあった。
『ん〜〜、ほんっとに大きくなったよね!ノエル!』
そう言って、シエルはノエルの頭をわしゃわしゃと撫でた。
『ちょ。やめてよ。もう子供じゃないってば!』
『ふふっ。ごめんごめん。けどほら!昔みたいでちょっと嬉しくてさ』
そんな風に笑うシエルに、ノエルは何も言い返せなかった。
ずっと夢に見てたこの時間が、本当に戻ってきたみたいでーー
『あ。そうだシエル。父さんが心配してたぞ。手紙は来てもシエルが来ないって...』
『あーそっか。2年帰ってないもんね。忙しくて帰れなくてごめんなさい...』
『それは父さんに直接言ってあげて。そしてお守り。新しいの貰ってきたから』
そう言いながらノエルはシエルに首飾りのお守りを渡した。
『わぁー!ありがとう。今度は水色の綺麗なお守りだね、ノエルちょっと今のやつ外して新しいの付けて〜』
『いいよ。後ろ向いて?』
『えへへ。ありがとう』
髪を手で手繰り寄せ首を差し出され
少しドキドキしながらお守りを付ける。
(シエル...相変わらず綺麗なままだ ーー)
『父さん凄くシエルに会いたがってたから今度一緒に会いに行こう。』
『そうだね!お父さん...ビックリするかな?楽しみだなぁ〜』
『そう言えばギルマスってどんな人なの?ギルド自体有名で名前は知ってるけど...』
『ギルマスはすごく優しくて強いの!ノエルもきっと気にいると思うから明日会いに行こう!
あ。もちろん今日は私の家に泊まるよね?』
『...え!?し..シエルの家!?』
『そうだよ〜!昔みたいに、一緒の布団で寝ようね♪』
『さ、流石に一緒の布団はちょっと...』
ノエルは顔を赤らめた。
『えーーー。残念。でも、ノエルが泊まれるように布団は用意してあるから離れてた間の話いっぱいしよ!』
これから長い長い夜が始まるのだった。
初めて書く物語を読んで頂きありがとうございます。
のんびりゆっくりとしたペースで物語は進んでいくと思いますが....ノエルとシエルの恋の行方を最後まで見届けて貰えたら幸いです。
更新ペースはまだ未定ですがなるべく短い感覚で投稿していこうと思います。
よろしくお願いします。




