第4話
何の音もしない
風が通りすぎるだけ
その場に、一人の青年が舞い降りてきました
侍風の青年―焔酒が
手に、役場の名簿を持って―――
「とりあえず、聞きたい事がある」
その声は、女性の方へ向かって
「・・・この堪え難い空気は何事?」
このにらみ合いのまっただ中に来てしまった自身の間の悪さを感じながら
「どうして!?どうして来ないの!?」
女性の焦った声が響き渡る
顔は驚愕に満ちており、ナイフを持つ手が震えている
その震えをじっと見つめる幼い騎士
の、隣にたたずむ軍師はしてやったり、という今日一番笑顔を見せていた
「お帰り、思ったより時間がかかりましたわね」
「わいはなぁもっとスリルのある戦いを楽しみにしてたんやでー。それが十体といえども一人で倒せるレベル、不満や」
「えぇ!倒しちゃったのであるか?うぅ~我が輩も戦いたかったのである!」
そんな会話を耳に入れつつ、女性は放心していた
倒した?怪物どもを?それじゃぁ
「あなたの盾は―――もうありませんね」
ッ―――――!!
「黙ってッ!!!」
女性の鋭い声に再び視線が集まる
しっかりと握りしめたナイフは女性の首に今にも赤い筋をつけんとしている
「動かないでよ、そうよまだ私にはコレがあるもの」
人質が、あるもの、まだ負けてない
「私が去るまで動かない事、良いわね」
ジリジリと下がって行く
しかし、それに人質はついて行こうとしない
「!?死にたいの?来なさい!」
そう声を張り上げるも人質はついてこない
「死にませんよ」
―――女性は、一瞬意味が分からなかった
もう一度、声がした
「死にませんよ、だって」
だって
「あたしは」
ガチャン
「人形、ですから―――」
「面白う無いー」
「それで良いんですの。あなたがおもしろがるような事があったらこんな付け焼き刃の作戦なんて意味無いですわ」
4人は森を歩いていた
侍風の青年―焔酒が名簿ついでに地図を持って来たらしい、だてに一人旅してないようだ
当初に比べずいぶん時間がかかってしまったが、ようやく森を出られそうだ
「キッシェ、重くないですか?」
「我が輩は力持ちであるからな!重くないのである!」
「・・・その台詞はわいに言うべきものやと思うんやけど」
侍風の青年の肩には先ほどの女性が米俵のように担がれている
気を失っているようでぴくりとも動かない
幼い騎士はそれまで青年が持っていた荷物を持っている
「可愛さの差、年齢の差、素直さの差、理由はたくさんありますわよ?」
「一番の理由は身長ですけどね」
「我が輩では担いでも引きずってしまうのである」
確かに青年の肩あたりまでの身長では少々きついだろう
青年が歩く、それに伴い肩の女性が跳ねた
「んで、こいつどうするんや?」
「彼女は【人形】について情報を持ってる可能性がありますわ。まずは引き渡さずに事情聴取ですわね」
「その後、引き渡しですね」
「それが妥当なのであろうな」
少し悲しそうな瞳をしながら、青年の肩に担がれる女性を見る
女性は、青年が歩くたびに、上下に揺れるたびに跳ねている
これでは―――
「エンジュ殿!もうちょっと優しく扱うのである!これでは街につくまでに腹部に痣ができてしまうのである!」
「しるかい!ちょっとメビアが仕込み銃乱射したぐらいで気絶するこの女が悪いんや!それにわいは意気揚々と行ったのに特に得はなかったんやで!?誰得やで!?この扱いは普通やろっ」
誰得―――誰が得するんだそんなもん、の略
まぁ、彼からそればそうなのだろうが
こちらに言わせてみれば―――
「誰が得しますのそんな戦場」
3人は青年の発言に悲惨な戦場を思い浮かべ
ため息を吐いて
街への旅路を急ぐのであった
以上で完結でございます。おつかれさまでした。
遥か昔自分の書いた物語を見ると、頭を抱えたくなるような。でも今じゃしない表現法とかあって面白かったりするんですが。我ながら。
この世界観は作者が書いてるもう一つの作品と、ほぼ一緒、のハズ。気が向いたらもう一つもみてやってくださいな。
それでは。読んで頂きありがとうございました。




