第3話
制作者の命を聞き
制作者の為だけに生きる、そんな
【人形】の用に生きたいと思わなかった
―――は、【人形】でいたくなかった
そして、誰にも【人形】のように生きて欲しくなかった
ただ、それだけ―――
暗い家屋があった
他より大きいその家は役場と言われるものなのだろう
その場に、侍風の青年はいた
刀を構えている
「ただの役場にこの魔物、ミィの睨んだ通りの結果になりそうやなぁ」
青年の側には、六本足の蜘蛛のような魔物が2体立ちふさがっている
青年は嬉しそうに笑った
禍々しく、狂気に満ちた笑顔でこう言うのだ
「来いっ!わいはコレを待っとったんや!」
血の臭いたぎる、戦場を―――
2体の魔物が同時に飛びかかってきた
刃のように鋭い足が頭上より降ってくる
――もとより、受け止めるつもりは無い
日本刀と呼ばれるであろうその刀はもともと打ち合いに適した剣ではない
騎士の剣と違い、打ち合えばすぐに刃こぼれしてしまう
では刀は何に特化しているのか
『受け止める気はない、時間をかける気もない』
左足を引き、右手で刀を左側に引いた
左手は脱力、目線は魔物から一切離さない
『しゃらくせい(面倒臭い)』
刀はある面に置いて全てに勝るモノがある
そう、それは―――
『【一凪】ッ!!!』
鉄をも切り裂くその鋭さ―――
すっ
特に音もなく振るわれたその刀は
ただ空を【ひとなぎ】しただけであった
空を伝わり、風が斬撃を飛ばし、魔物の体はただの歯車の固まりとなって地面へと落ちていった
ちん
刀のしまわれる音
はぁ
これは青年のため息
どうやらコレは青年の思い描くような相手ではなかったらしい
「こんなんや足りん、剣帝を倒せるようになる為にはこんな相手や足りんのや」
そうやろう?
わいをもっと楽しい戦場へと連れて行ってくれるんやろ?
「楽しみにしとるで、ミィ」
そう言い残し青年は家屋の奥へと入って行った
当初の目的である名簿を探す為であろう
青年によって倒された魔物達は
自身がしたソレと同じように、動かぬ死体となって地面に伏せていた
「―――何を、おっしゃってるんですか?」
案内の女性は、顔をこわばらせて答える
困惑、焦り
どちらとも取れる表情である
「あなた、この集落の者ではありませんでしょう?」
軍師は、なおも続ける
「私達が出会ったとき既にこの集落はボロボロ
なら、この集落がボロボロになるまでの間、あなた、何処に居ましたの?」
「わた、しは――」
言葉に詰まる女性
軍師は、さらに追い打ちをかける
「それに、その服装」
「ふ、服?」
「より下の、足、ですわ」
足――
その場の全員の目線が女性の足下へと集中する
そこにあるのはただの靴――
「そんな奇麗な靴をはいて、歩いてましたの?
森を、毎日、私達のような、旅人を求めて――?」
キラリ
輝くナイフがその場にあった
輝くナイフはすぐ側の
美麗な女性―メビアの首元に光る
「来ないで、止まって、このナイフが見えないの!?」
ややヒステリックな声を出しつつ、案内の女性が叫ぶ
女性はメビアを盾にして、ナイフを突きつけ、脅している
「やっぱり、あなたがあの魔物を操っていたんですのね
・・・なんのつもりで私達を襲ったんですの?」
軍師が問いかける
「人を襲うのに、理由がいるの?」
何の気無しに、女性が答えた
「襲いたかったから襲っただけ、血がみたかったから殺しただけ
そうなんでしょう!?だって言ってたものみんな!
そうじゃなかったら私は何!?
何でこんな事をしてるの!?何でこんな事をしなきゃ生きられないの!?
なんで・・・!」
「我が輩達は知らない!」
女性の叫びを幼い騎士が止めた
瞳には強い意志が宿っている、しかしソレは怒りではなく
悲しみに近い
「知らない、答えられない!
我が輩達と貴公は別の人生を歩んで来ておる、我が輩達が知るわけがないのである
しかし、貴公が確かにそのような思いをする人生を歩んで来たのならなおさら!こんなことは止めるのである!
コレは・・・寂しい」
悲しみに満ちた純粋な瞳は、幼いからこその無知故の瞳
故に、拒否しがたく、惹かれそうになる
「ッわからないのなら!喋らないでよッ!
・・・もういい、あなた達とのおしゃべりはここまで」
ナイフを突きつける手に力が込められる
幼い騎士はその動作を見、言葉を噤む
女性は叫ぶ
「怪物ども!私に忠実な怪物ども!
・・・十体の怪物に襲われればひとたまりも無いでしょう?
さぁ、来い!殺せ!こんなモノは、いらない、いらないの!!」
何一つ武器が無かった
格差、年齢
認められない才能
評価されない手柄
回ってくる事の無い仕事
認められないのなら認められるような事をすれば良い
見せつけてみせる名誉を
【軍師】―――の策を
「―――――――――」
・・・・見直すと。こんなものを文化祭で出したのかと地べたをゴロゴロしたくなりますがまぁあれですね。青春ってやつですよ。(多分)
後もう一話で終わります。詳細はその時に。




