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プロローグ
ベランダでタバコに火をつけ、煙を吸う
吐き出された煙が消えていく
この残された気持ちもが全部煙になって消えてしまえばいいのにと
それでもやっぱりこの気持ちは自分の心の中の一部で、かけがえのないもの。
あの頃があったから今がある。そう考えると懐かしさと同時にやっぱり大切な思い出だと痛感した。
この胸の内はきっと誰にも話すことはないだろう
話して解決できるほど人間の奥底にある気持ちは単純ではないのだ
未だに自分でも自分の気持ちがわからなくなることがあるのに…
それに話してしまうことで自分の中にある君が少しでも減ってしまいそうで怖かった。
タバコの灰を落とし、消す。
これから先、忘れることはないだろう君との時間を心にしまい込んだ。