7.あの、俺・・・
「他、皆何もないか?」
「あの・・・」
とグレイス嬢。
「どうした?何でも申してみよ」
グレイス嬢が俺の方に向いて
「わたくしと婚約していただけませんか?婿養子に来ていただけないでしょうか」
冒頭に戻る。
「わたくしの家は姉妹でどちらかが家を継ぐ予定でして、妹は幼いのでまだ婚約者はいないのです。たしかコモン様は次男でしたよね?頭も良くて、こんなに親身になってくださってとても良いお婿さんだと思いますの!」
そんな意気揚々といわれても・・・
「あの、俺。婚約者います」
「え?」
「幼いころからずっと、可愛い婚約者がいます。そこに婿に入る予定ですので」
「爵位は?わたくしのほうが好条件ではなくて?」
「伯爵位ですが。俺婚約者一筋なので、どんなに好条件でも靡きませんよ」
「コモン様に婚約者がいらっしゃるなんて聞いたことありませんわ」
「あなたは俺に今まで興味なかったでしょう。たまたま婚約者が浮気して、たまたまいい条件の男がいたから聞いてみた程度で。セイン殿下と同じクラスにいますよ。一つ年下ですので学園で一緒にいる時間は少ないですが」
「マイロは婚約者、溺愛してますよ。残念でしたね」
とセイン殿下。
「そうでしたの・・・失礼なことばかり言って申し訳ございませんでした」
「エレイン嬢にはわたくしからいい縁談を用意しますわ」
と妃殿下。
助かります。
別に隠していたわけでは無いのだが、俺には5歳のときから婚約者がいる。
普通に夜会とかにも一緒に出ているのだが、色が平凡だから目立たないのだろうな。
ついつい触りたくなる茶色のふわふわの髪に大きくて丸い茶色の瞳。
色はごくごく平凡だが、それはそれは愛らしい顔立ちをしている。
リスやうさぎのような小動物系の可愛さで、小さい時から可愛かったが成長した今もなお可愛いのである。
守りたくなるような庇護欲を駆り立てるとは、俺の婚約者のような女性を言うのであって
あんな頭も身持ちも悪そうな女ではない!と声を大にして言いたい。
しかしあの女は一体何がしたいのだろうか。
男爵令嬢が高位貴族ましてや王族などと結婚できるわけなかろうに。
いいとこ愛人だろう。
それすらわからないような女に現を抜かすなど正気の沙汰ではないと思うんだが。
まあジェネシスやクインから相手にされなくなったらあの女もさすがに気付くだろう。
その時にはこちらももうすでに令嬢としての将来はないだろうけど。
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