11.夜会
そして夜会の日。
ノーブル嬢とグレイス嬢のエスコートはもちろんお父上だ。もう婚約者でないのだから当然だろう。
エスコートをしたがった馬鹿2人は、不服そうだったがお父上方がどうしても娘をエスコートしたがっていると言ったら渋々納得していた。
俺はもちろんロッティを、メイソンやノアもそれぞれ婚約者をエスコートしている。
着飾ったロッティの可愛い事よ!俺の瞳の色のドレス、俺は茶色のタキシードだ。
「マイロの独占欲がすごい・・・」
とぽつりと呟いたノア。
「当たり前でしょ」
「愛されていていいわねシャルロッテ様」
とハーシャー嬢。
「はい。嬉しいですわ」
「わたくしたちの婚約者もそれぐらい気が利けば良いのですけれど」
とファイブラス嬢。
メイソンとノアはバツが悪そうだが、仕方ない。もっと頑張れ。
そしていよいよ陛下の登場だ。
皆礼を執って迎える。
「皆、面を上げよ。今宵は良い知らせが2つある。
まずひとつ目は長く王太子を決めず過ごしてきたが、第二王子であるセインを王太子とする!」
皆そうだろうなと苦笑している。
学園での振る舞いを皆が知っているからだ。
「2つ目は、2人ともこちらへ」
セイン殿下にエスコートされノーブル嬢が舞台へと上がる。
「え?シャンティ?」
とジェネシスが呟いている。
「ノーブル公爵令嬢シャンティを王太子であるセインの婚約者とする!」
わぁぁぁ!
と盛り上がる会場。
それに反して
「父上!どういうことですか!王太子は私ではないのですか!それにシャンティは私の婚約者です!」
「いや。とうに解消しておる。今まで気づかなかったのはお前だろう」
「そんなの聞いていません!」
「お前は学園で婚約者ほったらかして何をしていた?友人が注意しても聞かなかっただろう。わしが知らんと思うておったか」
「それは。でも、もう会わない約束をしました」
「そんなことは知らん。婚約者以外の女性と親しくなってもどうせ結婚するのはシャンティだからと思っておったのだろう?愚かな・・・」
「それは・・・」
「婚約者は自分以外の令嬢にべったりな相手をどう思う?
ノーブル公爵の身になっても、誰が娘を大事にしてくれない婚約者のところへ嫁がせたいと思う?
学園での素行の悪さをこの貴族社会において知らぬものはおらんだろう。
そんなお前がよもや王太子になるなどありえんだろう。
何のためにわしが王太子を決めておらんかったと思うておる。
お前のことだから、先に生まれたのは自分だから王太子は自分だとでも考えておったんだろ」
「・・・」
「お前は今後臣籍降下してセインを支えよ」
「・・・はっ」
と小さな声で辛そうな顔で受け入れた。
当然の結果である。