10.可愛い婚約者
あの女と対峙した後、癒されたくて婚約者の元へ行く。
「ロッティ!」
「まあ。マイロどうしたの?」
「あの女と対峙したから疲れた」
と婚約者である、ラヴィータ伯爵家の一人娘シャルロッテ(愛称はロッティだ)を抱き込む。
俺はこの婚約者の優しい穏やかな雰囲気が何より大好きだ。
「癒される」
「それであの方はどうなったの?」
「ちょっとは懲りたんじゃないかなぁ。とりあえず二度と婚約者がいる男に近づくなとは言っておいた」
「もう学園中に噂も回ってるものね」
「あとちょっとでこの騒ぎも終わる」
「そうね。殿下方は何も疑ってないの?」
「うん。全く。それどころか婚約者が可愛い素敵だと言い出してるよ」
「まあ。勝手ですこと」
「ロッティ怒ってる?」
「女性の敵ですもの!わたくしの婚約者がマイロで良かった」
と可愛いことを言ってくる婚約者。
これが計算でも俺は満足だ。
おっとりしていて普段穏やかなのに、芯があってたまにはっきりズバッと意見するところもギャップがあって良い!
「俺も。ロッティが婚約者でよかった。小さい時の俺さすが!」
「ふふ。マイロがすぐに婚約してって言ってきたのだものね」
「だって昔からロッティは可愛くて優しくて愛らしかったんだ。誰かに取られる前でよかった」
「わたくし小さくてまだよくわからないのに、いいよって応えてお父様をびっくりさせたのだったわ」
「義父上は厳しかったが、ロッティを大事にするならと許してくれて勉強も頑張った甲斐があるよ」
「マイロは元々賢かったじゃない」
「それでも、子爵家とは教育が全く違うんだから。まあでも伯爵家で教えてもらったことで学園でも恥ずかしくなく振る舞えてると思う。ありがとう」
「その抱きしめて、甘い空気を出すのは恥ずかしくないのか?」
とセイン殿下。
「いえ。全く。だって婚約者ですし。ロッティ可愛いですし」
「ふふ。申し訳ございません殿下」
「ラヴィータ嬢も全く申し訳なくなさそうだな。腕の中のままで」
「だって婚約者から愛されるって幸せじゃありませんこと?殿下。殿下も言葉や態度でお伝えなさるといいと思いますわ」
ロッティには婚約者交代の話も伝えてある。
「ほら。殿下。これぐらいやっても何の恥ずかしいこともありませんよ。他の男への牽制にもなりますしね」
「まあそれは徐々にだな・・・」
ちなみに俺はよくこのクラスに来るので、一つ下の学年では俺とロッティの仲は有名である。