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新たなヒーロー



次の日、食堂にやってきたレオに学園への参加を伝えると喜んでくれた。


そしてレオは前みたいに毎日食堂にやってくるようになった。


学園への入学はあと2つ季節が過ぎる頃。


それまでわたしは食堂の手伝いをしたり、休みの日はレオと2人で学園への予備勉強をしたりして過ごした。






そして、ついにゲーム画面では何度も見た学園に足を踏み入れる日がやってきた。


学園の具体的な場所は明かされず、わたしたちはそれぞれの国の大きな施設に集められて、そこから学園敷地までテレポートで運ばれた。


だからここが天界と言われても未だに信じられなかったりする。


案内されてついていくと、見覚えのある建物が見えてきて思わず背筋が伸びる。



「これが例の学園」


「すげー、なんだよこれ」



ゲームでは学園の内部ばかり見ていたけど、外から見る学園はまるで高層ビルのような何階あるかも分からない立派な建物だった。


わたしとレオの他にも武術の国から選ばれた男女の候補生が同じように目の前の建物に驚いている。


あの村からはわたしとレオだけだったけど、他の村や街からこんなに来ているなんて…こっちにもびっくりだ。


武術の国はレオやアルベルト様以外にも何人もヒーロー候補がいるけど、これじゃすれ違っても分からなそう。



「なんだ力馬鹿の国か。

間抜け面で突っ立っていられるとジャマだ」



後ろから聞こえた苛立った声と共にわたしの肩が押され、それに気付いたレオがすぐさま受け止めてくれた。



「少しは頭使って行動しろ」



わたしを抜かしたその人物と視線が合う。


見下されたような、呆れた表情だ。



「ぶつかってきておいてそれは違うだろ!

まずは謝れよ」


「まったく、野蛮な国だ」


「なんだと?」



知ってる、この人もヒーロー候補だ。



「…知識の国出身、ツヴァイ」



確認するようにボソッと名前を出してみたら、その人は過剰に反応した。


やっぱりそうだ。



「な、何で俺の名前を知って…!

お前も武術の国だろ!?」



知識の国は武術の国に強いから、こうしてすぐマウントを取りたがる。


でも、自分よりも知識の多い人間を一番恐れる。


そしてこの2人はずっと犬猿の仲だった。


2人ともそれぞれの国では実力があるから、この2人の息があった時は最強タッグが出来上がる。(滅多にないから、その時は神イベって言われてた)


2人が仲悪いのもお互いに素でぶつかり合っててヒロインに見せない部分がかわいいと言うかそれはそれで微笑ましかったりするのだけど。


さすがにわたしもさっきのは少しイラッと来ちゃったなぁ。



「国がどうかしましたか」



わたし的には2人にはあまり喧嘩して欲しくないんだよね、せっかくなら目の前で神イベ拝みたいし…


支えてくれたレオからゆっくり離れて、一歩後退りをしたツヴァイに近寄る。


ツヴァイは知識の国出身なのに、血の気が多いと言うか、ヤンキー気質だからちょっと怖い。


けど!



「あなたの家は防具レシピ専門の小さな本屋。

両親と弟のマーリン君の4人家族ですよね」



マーリン君はツヴァイとは違ってかわいい男の子でよくいじめられていたことから、ツヴァイが弟を守るために今の性格になったらしい。


そんなマーリン君も来年にはここに入学してくるんだけど。



わたしはツヴァイに近付き、他の人に聞こえないように言った。



「お、おおおお前、気持ち悪いぞ!」


「まだ知ってますよ?

それに、お前じゃなくて、ハルカです。

"国"でなくて、ちゃんと同じ"人"として見てください」



ツヴァイはそれ以上何も言わずに立ち去って行った。


このまま平穏に…とはいかなくても、敵意剥き出しなのは解消できたなら良いんだけどなぁ。



「レオ、さっきは庇ってくれてありがと。

お礼言うの遅くなってごめんね」


「アイツ、元気なくなったみたいだけどハルカ何か言ったのか?」


「わたしたちを推薦したアルベルト様に言い付けるって言ったの。

アルベルト様は魔術の国出身だから、国がどうこう言う人には同じように返しただけだよ」


「強いな、お前は」


「そんなの。

レオに比べたら全然だよ」



前世の記憶勝ち(ズル)とか言えない…





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