未来の約束
「わ、わわわたし、先生呼んでくるね!」
スキルについて深く探られたら大変だし、ここは一旦逃げるしかない!
慌てて出て行こうとしたわたしの左手が掴まれる。
「待てって」
怖くてレオンを振り返ることができない。
変な汗が出てくる。
「その、本当に悪かった。
あんな怖い思いさせて…」
「え…?」
ああそっか、こうしてレオンはずっと自分を責め続けるんだ。
それは初恋相手が助かっても助からなくても同じ話。
でも今回は違う、初恋相手のわたしは生きている。
だから、わたしが出来ることは。
「何謝っているの?
ちゃんとレオンが守ってくれたじゃん」
わたしは振り向いてレオンと目線を合わせる。
そんな辛そうな顔、しないでほしい。
「お前に怪我させた」
「これはわたしが勝手に転んだだけ!」
「いや、俺が危険な目にあわせたんだ。
嫌な誕生日にしてごめん」
違う、違うよ。
わたしはレオンがトラウマを抱えないように生存したかったのに、わたしが生きてても責め続ける未来は求めてない。
何のためにわたしが居ると思ってるの。
レオンが自分を許せないなら、わたしが許すしかない。
ちゃんと前を向いて。
「あーもうっ!
わたしは生きてるし、この怪我も治るの!
罪悪感あるなら未来の誕生日で上書きして。
もっともーっと良い景色をわたしに見せて。
いつか騎士団に入るんでしょ?
そうしたらわたしくらい守れるでしょ?
こんなことで距離置いたら許さないからね!」
「…お、おう……」
レオンが驚いた顔でわたしを見ている。
やば…間違えた?
「お前は俺が騎士団入るまで待っててくれるか?」
「え?」
シンヒロならレオンが騎士団に入る、次期騎士団長になるところまで知ってるけど。
「今は見習いにもなれてねーし、誕生日のプレゼントを買えるほどの満足な稼ぎもない。
それでも俺を信じて待っててくれるか?」
あれ?
あれれ?
これどういう展開?
左手は力強く握り締められたままで逃げ場はない。
心臓がうるさい。
身体中が熱い。
真っ直ぐな瞳がわたしをしっかりと捉えて離さない。
こ、これって…