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創生の魔術師  作者: 伊崎畢
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邂逅

八章 邂逅


日野椿


創生神の回収。

まだ任務の全容を聞いてないから何がなんだが分からないがかなり重大な任務となりそうだ。

そう思いながら急ぎ足で歩いていると窓に着いた。

今回の同行相手がいた。


「紫江琉、久しぶり。」


「椿!おっひさ〜。」


相変わらず元気な奴だ。

だがこんなおちゃらけてても実力は確かだから信頼できる。


「紫江琉は今回の話聞いた?」


「ざっくりとしか。取り敢えず詳しい内容聞きに行こうぜ。」


職員の方へと向かうと、紅樹さんもいた。


「紅樹さん!どうされたんですか?」


「あれ?聞いてない?

これ十二統直々の任務だよ。

 本来なら特級や準特級に頼みたいんだけど

今、盃の森で討伐遠征をしてるからね。

全然いないんだ。

それでフリーで実力のある術師を探してたら二人が出たから。

しかも椿の方は都合がいいしね。」


都合が良い?何のことだ?


「あの都合が良いって…?」


「言い方が悪かったね。

任務内容に繋がるんだけど、

創生神保持者が君の小、中学校の頃の同級生なんだよね。」


名前を聞こうとした時紫江琉が声を上げる。


「え!?いつも椿が電話してる子!?」


「…そうだよ。」


なんでこんな恥ずかしい思いしなきゃなんないんだ。


「任務内容の確認をしよう。」


今回の回収対象は浅田高校に通う女子生徒、乙葉牡丹(おとはぼたん)

二級魔術師が高校の近くを通った際に

創生神特有の魔力を感じ、本部へと連絡。

張り込みをし、保持者を割り出した。

まだ魔力が強大では無かったため自覚はしてないと判断。

だが創生神を野放しにするのは危険なため

回収の必要がある。


「今回君達は親戚を装って回収対象を迎えに行って欲しい。

魔術の事は一般人には話せないから

バレないようにしてくれ。

本人への説明は許す。

移動は車を出す。

そして本部へと戻ったら上層部階へと連れてくる。

ここまでが任務だ。

失敗は許されない。心してかかってくれ。」

 

「はい!」


紫江琉と声が揃い紫江琉が絡んでくるが内心それどころじゃ無い。


牡丹。

俺の幼馴染だ。

魔術師になってからは連絡を取っていない。


何であいつが創生神から選ばれたんだ…?


色々と謎が多いが行ってみるほかない。


「うっし。紫江琉行こうぜ。」


「おう!」


ーーーーーーーーーー


近くの駐車場から少し歩き、浅田高校に着いた。

魔術師になってなかったら俺もここに来ていたかもしれない。

そう思いながら門の前に立っていると紫江琉が口を開く。


「何つったってんだよ。早く入って回収しようぜ。」


確かに魔邪師も怖いから早めに任務を終わらせるのが良いな。


「おう。」


学校内に入り職員室へと向かった。

一人の先生に話しかけ、迎えに来たと伝えると

玄関で待っていてくださいと言われた。

暇を持て余してると紫江琉が話しかけてきた。


「なぁ、今回回収する子さ、回収してどうなんの?」


「保護?なんじゃないか。創生神持ってんだし。」


「でもさぁ安曇家?が許すのかなそれ。

大体魔術師の家系ってクズじゃん。」


「でも安曇家は創生神持ちの家なんだから

大丈夫なんじゃない?」


「お前の去年の事もあるだろ。」


自分自身が魔術界御三家の人間だからこその心配なのだろう。

そう考えると確かに不安だ。


すると廊下の向こうから足音が聞こえた。

どうやら来たようだ。

牡丹と目が合い手を上げる。


「久しぶり、牡丹。」


牡丹は驚いた表情を浮かべている。

三年で随分と大人びたな。

ただ純粋に綺麗だなと感じる。


「…なんで…椿が…ここに?」


そう言うと少し小走りでこちらへと向かってくる。


すると突如窓が割れ、一匹の魔獣が飛び込んできた。


「きゃあ!」

牡丹が声をあげる。


まずい。


「紫江琉!」


そう言うと同時に牡丹の元へ走り出す。


「任せろ!鋭刃六花(えいばろっか)!!」


そう唱えると、鋭利な氷が魔獣へと飛んでいく。

魔獣に氷が突き刺さると同時に牡丹を抱き上げ

魔獣から離れた。


「危ねぇ…間に合ったー?椿。」


「間に合ったけどどんどん魔獣が来る。

反応なんてなかったぞ。」


「てことは魔邪師かもしれないな。

さっきの二級はあった。

警戒しといた方がいいぜ。」


「え?何が起きてるの?」


牡丹が混乱している。

まぁ初めて魔獣見たらそうなるよな...。


「簡潔に言うけど狙われてるのは牡丹だ。

だから俺らが来た。

一緒に安全な場所まで行こう。」


「う、うん。わかった。」


外には魔獣が溢れ返っている。

何故人間界にこんなに魔獣がいるのか分からないが

取り敢えずは任務だな。

大人数相手するのは俺の方が向いている。


「ここは俺が倒すから紫江琉は牡丹連れて本部に戻ってくれ。あいにく特級レベルはいない。」


「分かった。この子送り届けたらすぐに助けに来る。

ちょっとだけ耐えてろ」


とその時大きい音がした。

嫌な魔力の動きを感じる。


「結界術…?」


「やばいなこれ。

初めから俺ら嵌められてたんじゃねぇの?」


「紫江琉、お前解弦術いけるっけ。」


「ものによるけどお前よりは絶対できる。」


「俺が守るから結界解除してくれ。」


「了解。取り敢えず結界触れるとこまで行くぞ。」


急いで玄関を出た。

結界は学校全体にかかってるらしい。

紫江琉がいち早く校門の所に降りている結界に触れる。


解弦(かいげん)の三、弥生(やよい)!」


紫江琉が結界に流し込もうとした魔力は

とてつもない力で弾かれた。


「椿!これ無理だ!解けねぇ!レベルの高い結界術だ。」


まずいな。これ。


魔獣の数が多すぎる。

それに加えて一般人も守り抜く必要がある。

どうするべきだ?


そう考えていると二人組の男達が近づいてきた。

手に金棒のようなものを持っているガタイの良い男と華奢で長髪な男だ。

どこがで見たことがあるような気もする。


「魔術師だな?大人しくその女を渡せ。」


とガタイの良い男が言ってきた。


魔邪師か...この結界張ったのもこいつらか?

取り敢えず出方を伺おう。


「それはできないな。お前ら何者だ?名乗れよ。」


その問いに長髪の男が反応した。


「その生意気な感じ...

もっとしっかり教育してほしかったね悠馬さんには。

これで分かるだろ?

悠馬さんの教え子さん達?」


俺も紫江琉も顔が強張った。


『悠馬さん』という言葉を聞いて。








 






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