日野椿
初めての執筆になります。
長い話を考えているので連載小説となります。
よろしくお願いします。
魔術師。それは魔界と人間界との境目、「盃の森」から人間界へと侵入しようとする魔獣の討伐、そして魔術で悪事を働く魔邪師を取り締まる人間達。
第一章 日野椿
2021年10月20日 日野椿
「これで全部かな。」
盃の森で一級魔獣三体を討伐し終えた。
一級だから大したことなかったが単独任務だから少し面倒だったな。
報告しに本部に戻ろう。
魔術界の最高峰、魔術対策本部通称「魔対」
そこでは任務の受け渡しを行う「窓」や才能ある若者を育てる「アカデミー」がある
疲れきった体で本部内に入るとまっすぐ窓へと向かった。
「すいません、報告しに来たんですけど。」
受付の職員に声をかけた。
「お疲れ様です。お名前をお願いします。」
「あー日野椿です。」
一級魔術師の日野椿さんですね。」
「はいそうです。」
軽く報告を済ませその場を去ろうとした時職員の人が呼び止めてきた。
「すいません、この後はどのような予定で?」
「普通に寮に戻りますかね。」
「少々お時間とってもらうことはできますか?」
「どうしてですか?」
「日野術師は教官免許持ってましたよね?
実は今日アカデミーで講義を行う予定だった準一級の方が任務で来れなくなってしまって...そこで代わりに講義をしていただきたいんですが...」
と申し訳なさそうに話してくる。
ぶっちゃけめんどくさい。
だが任務帰りの俺に頼んでくるってことは本当に今人が出払ってるんだろう。
仕方ない。受けよう。
「分かりました。やります。ちなみに何階生の講義ですか?」
アカデミー内では下から三階生、ニ階生、一階生という階級がある。魔力量や経験値で階級は決まる。
飛び級制度があるから年齢はバラバラ。
十歳未満でアカデミーに入る者もいれば二十代に近い年齢で入る者もいる。
「先日入ってきたばかりの三階生の講義となります。初回の講義なので魔対や魔力についてですね。」
三階生の講義なんて久々だ。
「分かりました。」
そう一言言い、講義室へと向かった。
廊下を歩いていると見慣れた二人から声をかけられた。
「先輩!こんにちは!」
「雪うるさい。」
めちゃくちゃでかい声で挨拶してきたのは白崎雪。
そして雪に文句を言っている方は桜田萊人。
どちらも一階生。俺の教え子だ。
一階生になると生徒三人、教官一人という教育体制となり教官免許を持ってる2級以上の教官とともに様々な実習をこなしていく。
一階生を卒業すると晴れて魔術師となれる。
「相変わらず声でかいな雪。こんにちは。あれ?健斗は一緒じゃないの?」
建速健斗。
雪と萊人の同期でもう一人の俺の教え子。
数年に一度の逸材と言われてる。
まぁそのせいで色々といざこざが起きてるんだが。
「任務です。あいつアカデミー生なのに準一級ですからね。」
と不貞腐れたように萊人が言う。
まぁ不貞腐れる理由も分からなくはない。彼らは同時期にスカウトされて、今では階級に差があるのだから。
「そっか。俺今から講義してくるんだけど終わったら戦闘訓練するか?早く階級あげたいだろ?」
「はい。お願いします。」
二人は声を揃えて言った。まだ初々しいな。年一個しか違わないけど。こいつらは純粋に育って欲しい。
「じゃあまたあとでな。」
そう言い講義室へ向かった。