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旧)黒きエルク  作者: ヘアズイヤー
継承する者
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出現2


 自分で書いた軽い小説で、いつも頭を悩ますのはトイレと言葉だ。


 ……小用はまだいい。うん、肝心なのは大きい方だ。ボットンは無理。匂いと不潔感が無理。海外旅行でも「お尻だって洗ってほしい」があるホテルを選んでいたし。魔法で解決してみよう。今は体が作りたてで胃腸に、なにも入ってないが早いうちに試しておこう。温水と温風、浄化の組み合わせでできそうだ。



 言葉と文字は、この世界で生きた魂たちの記憶を組み込んでくれた。これも要検証だ。ルキフェは同じ記憶から狂乱についての情報をあまり拾えなかった。「検索」の知識が少ないからのようだ。



 出現した場所から見える岩山の方に歩き出しながら、魔法の練習をしてみることにした。

 最初は周りに危険なものがいたら嫌だから探知系か。詳しくイメージすれば魔法が使える。ではどうイメージしたら探知魔法になるか。

「探知」

 と声に出してみたが、もちろん何も起こらない。


 ……映画に出てくるレーダーのように、魔力を回転するように放出し、何かにあたったら、反射して戻ってくる? でも解析する計算能力はない。物理現象の詳細まで知らなくても服を直せたから、結果をイメージして願えばよいか。



 ……風景を意識し、ここにいる動物がわかる。と、周り中全部が動物だらけだ!


 細菌など微生物を動物と認識していたらしい。


 ……こんな荒野ならネズミとかマーモットとか。


 対象を手の平以上の大きさにするといくつか存在がわかった。


 鑑定も併用すると、生物の種類や危険度まで、おおよそわかるくらいに使えるようになった。


 どのくらいの時間がかかったのか、時計が欲しい。

 意識の片隅にデジタル表示の時計を、無意識でも時を刻むように常駐させてみた。


 ……このティエラ世界についてもっと勉強してから時刻合わせをしよう、それまでは二十四時間の時計だ。時間そのものが前世と同じとは限らないが。


 物理攻撃用の武器も必要だろう。火薬や銃器類はないと聞いた。創れないことはないだろうが、社会のバランスを壊しそうだ。


 ……やはり剣だろうな。弓は鍛錬必須だし槍は携帯しづらい。


 十歳の体に合わせて短めのバックソードのような剣を錬成魔法で作ってみた。

 両刃の重いブロードソードを基にして、片刃の直刀で拳を守るガードを付けたものを作った。切ることもできるが、主に突くことを主眼にした。数分でできてしまった。


 次はナイフを数本。

 アウトドア調理に使うシースナイフ。

 映画に出てくるサバイバルナイフを少し細身にしてみた。この体では短刀といっても良さそうだ。

 何本か作り、柄と鞘はバックソードとそろいの革製にした。


 ……帯剣に慣れるために装備したいが、まだ素手であることが必須な計画がある。しまっておこう。


 錬成魔法を使ったが、思ったような物を作り上げるには魔法の練習が今後も必要だ。

 魔力はこの世界のすべての物に含まれていて、惑星中を魔力が流れている。エルクは魔王ルキフェ並にほぼ無尽蔵に使えるそうだ。



 攻撃魔法を試してみよう。魔法といえば攻撃魔法、病が刺激される。だいぶ岩山の方に歩いてきたから、所々に大きな岩が露出している。これを的にしよう。


 まずは定番の火の玉。使い勝手がいいということで、軽い小説やゲームでは最初に出てくることが多い。

 指先に小さい火の玉をイメージする。ライターの火ぐらいで、岩に高速で当たり爆発するようにと飛ばす。


 ズッゴォーン!


「ぐわぁー!」

 大爆発と共に岩が跡形もなく吹き飛んだ。

こちらにも熱風がくる。服が焼けて火だるまだ。肺も焼けたようで息ができない。全身大火傷で熱い、痛い。大失敗だぁ、と思った瞬間に痛みがなくなった。


 ……ルキフェが体に組み込んでくれた自動発動の治癒魔法のおかげか。


 岩のあった地面は溶岩のようにドロドロと赤く熱を放っていた。


 ……ライターの火ぐらいだったよね。近距離で使っていけない範囲魔法? 破裂するイメージが強すぎたのか、込める魔力の量か。



 衣服を取り出して着替えて、別の岩に近づいていった。大きさは先ほどと同じ位で表面が滑らかな岩だ。


 極々少量の魔力を込めて爆竹が弾けるくらいの爆発をイメージして飛ばす。

岩の表面が「バシィッ!」と言う音とともに弾けた。


 近寄ってみると黒くヘコミができている。

 「練習しないと使いこなせないか。込める魔力量と効果のイメージも重要か。爆発放射の熱量は……」



 ぶつぶつと呟きながら岩から距離を取り、今度は爆発ではなく熱線砲やビーム砲のように穿つイメージで撃ち抜くように放ってみる。

 的の岩を確認すると一センチほどの穴が空いて向こう側が見えていた。


 それからは魔力量や距離を変えて何度も試射してみた。

 思いついてアニメでやっていたホーミングレーザーを試してみると、障害物を避けて背面にある的にあてることもできたし、複数目標をロックオンして同時に何十発も撃てた。

 連射速度、目標に当たるまでの速度も調整できた。



 火ではなく氷や水、風、光なども試し、重力をコントロールして小石を弾丸のようにも投げつけられた。

 岩本体を浮かせたり、投げつけたり、地中深く埋め込んだりしてみた。


「……防ぐ方法も持っていないと怖いね。相手も同じことができる前提で、避けたり防いだりできないとね。でも、攻撃を受けないと効果がわからないか」



 二時間ぐらい試してみても魔力切れになったように感じないが、休憩することにした。

 魔力総量と消費した量はゲームのようにMPゲージが出るわけではない。

 何となくわかる程度だ。


 周りの岩山は穴だらけ、切断していたり、溶けていたりでシュールな風景になっている。



 陽はまだ高い。ここには季節はあるのか不明だが、特に寒いとは感じない。

 適当な椅子とテーブルにコップを取り出すと冷えた水を魔法で出して喉を潤した。

 魔法と物理学や科学、化学との整合性は答えが出なそうなので、なぜそうなるのかは考えないことにした。


「空中ナントカ固定装置みたいなものか」



 ……空中? 空中か。空を飛べるんじゃないか? 墜ちたら嫌だが。


 まずは浮くことを思う。単純に魔力を放出するのではなく、作用に対して魔力を消費する感じでふわりと浮くように。上手いこと浮けた。


 上下左右にゆっくり移動してみる。


 ……立ったままの姿勢でのスムーズな移動は「移動」ではなく、もう「飛んでいる」でいいと思う。


 特撮モノのナントカマンみたいにジャンプするのではなく、ハリウッド映画のナントカマンのようにスーッと上昇できた。


 速度を上げてただ上に上昇。

 だんだん肌寒くなってきたので、肌の表面に魔力を薄い膜のように広げてみると寒さを感じなくなった。

 今度はバタバタと煽られる服が気になったので、戦闘機のキャノピーをイメージしたバリアで風圧を軽減する。


「こりゃ気持ちいぃー!」


 ……前方に拳を突き出し自由自在に空が飛べる、拳を突き出す必要はないけれども。


 景色を眺めてみると岩山が多い丘陵、遠くには白い頂の山脈、広大な森林らしき緑一色の場所、茶色の荒野らしきものなどが見渡せた。

 人が住んでいるような農地や街、村は見当たらなかった。


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