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旧)黒きエルク  作者: ヘアズイヤー
継承する者

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ベルグン14


 日が昇る前に目が覚め、庭に降りていった。洗顔し、少し散歩に出ることにした。

 街はすでに起き出し、いくつかの人影が行き交う。明るくなっていく街並みに煮炊きの煙と匂い、少しずつ大きくなるいろいろな生活の音、声。

 通ってきた村にもベルグンの街にも、確かな人々の営みがある。世界も時代も関係なく、人々は生きてゆく。どこでも変わらない。


 散歩から戻ると、リリーから朝早くにジュスト商会の使いが来て手紙を置いていったと聞いた。手紙は簡単な内容で、朝に来てほしいとあった。


 朝食を取り、ジュスト商会に向かった。マイヤの馬車の前で家族が食事をしていた。エルクを見つけるとヘリが駆け寄ってきた。

「おはよー、エルク!」

「おはよう ヘリ。今日も元気だね。おはようみなさん」

「おはよう、エルク。朝ごはんは食べた? どう一緒に?」

「ありがとう、マイヤ。宿で食べてきたから大丈夫」

 オッシとトピに会釈して、事務所の方に向かった。


 昨日は顔を合わせなかったが御者の部下たちがいた。旅で一緒だった者に会釈をして、事務所に入っていった。入口近くの机に座っている女性に名と用件を伝えると、奥の部屋に通された。

 奥の部屋は応接室のようで、椅子に座って待つように言われ、低いテーブルと向き合わせの椅子に座った。


 すぐにジュストと御者が入ってきたので立ち上がった。

「おはよう、エルク。座ってくれ」

 さっきの女性が、飲み物を持って入ってきて、皆に配った。


「さて、まずは、ここまでの護衛、ご苦労さま。これが約束の報酬だ」

 手に持っていた革袋をエルクに手渡した。中を確認する。

「ジュストさん、金額が違わない? 教授料引いても多いかな」

「うむ、昨日の分を足してある。おかげで助かった」

「ああ、自衛しただけだからいいのに。で、証拠になったのかな?」

 ジュストと御者を見たが、二人とも目を伏せた。

「それなんだが、オットーには逃げられた。どうやら前から逃げ出す気で用意していたらしい。商会としては強盗と横領で首にしたことを関係先に連絡した。お尋ね者になるだろう」

「ふーん、偽名とかで簡単に商人に復活すんじゃないの?」

「商人同士のつながりは意外と深い。もぐりの商人になれるが、陽のあたる場所には出てこれないだろう。ただ、あいつは執念深い。エルクを逆恨みするかもしれん。気をつけた方がいい」

「うん、わかった。忠告感謝します」

「それでだ、私は六日以内にはフラゼッタ王国に向けて出発する。マイヤたちも一緒だ。どうだろう一緒に来ないか? エルクとの縁は繋いでおきたくてね」

「ありがとう。でもしばらくはベルグンに滞在しようと思ってる。フラゼッタ王国に行くときは商会を尋ねますよ」

「うーん、そうか残念だ。必ず尋ねてくれよ」

 約束してジュスト商会を出た。


 門まで御者が送ってくれた。

「で?」

「はい、お手間を取らせたのに、逃げられてしまいすみませんでした」

「いえいえ、気にしていませんよ。……餌が大きいほど、大きな魚が釣れる。って言い方なかったでしたっけ?」

「フフフ。いい言い方ですね、気に入りました。いつか釣れた魚のお話が出来るといいのですが。では、ここで」

「はい、またねー」


 ヘリたちの姿が見えないので、そのまま商会を出て、冒険者ギルドに向かった。

 マイヤたちとまた旅をするのは魅力的だが、魔王国から来る人と待ち合わせがあるし、いつかまたと期待しておこう。後で出発の日程を知らせてもらえるようにしておこう。



 入り口を入るとカウンターにはかなりの行列ができていた。ほとんどの冒険者が羊皮紙を手にしている。掲示板に張り出されていたものだろう。並んでいる人間の数倍の人が食堂に続くところで話し込んでいる。

 多くが入り口に立っているエルクを一瞥し、木証を確認したのであろう、直ぐに視線をそらした。


 並んでもいいが、時間がかかりそうだったので、昨日見なかった掲示板に歩いていく。

 階級分けされた掲示板には依頼を書いた羊皮紙が並んで板で抑えてある。受けたい依頼を受付に持っていくようだ。

 金証から鉄証までと別欄がある。


 ……木証はこっちね。掃除やペット探し、薬草の採集、荷物の運搬ねえ。


 金証から鉄証までは討伐、魔物の部位採集、護衛など様々だ。昨日の説明では自分の階級に合わないものは受けられない。

 高階級パーティであれば自身が低階級でも参加できるが、その場合はギルドの別審査がある。低階級を犠牲にすることのないようにだそうだ。ほとんどの冒険者が同じ階級でパーティを組んでいるらしい。

 その横の掲示板はパーティの募集欄だ。「魔術師募集」とか「治癒魔法を使えるもの優遇」「急募、荷物運び。槍士が守ります」とかの募集が出ている。


 もう一つ掲示板があり、常時募集している買い取りがある。採集物を受付に出せばよく、依頼を受ける手続きは不要だ。

 受け付ける魔物と魔石のリストがあり、灰色狼も載っていた。魔石、毛皮、肉、骨、内蔵、牙、爪、耳、しっぽのほぼ全身が買い取ってもらえるらしい。討伐部位の買い取りで、討伐報酬もでる。狼は大銀貨数枚が相場らしい。


 忘れていた。昨日イェルドに渡したのはボスを入れて二十九頭分、ゴドが解体してくれた毛皮を渡していない。魔石はジュストに売ったからないが、買い取ってくれるだろう。


 魔王国から何人来てくれるかわからないが、人が増えればそれだけ人件費がかかる。給与ではなく、生活に関する費用を全部みなくてはならない。魔王国の財政がどうなっているかわからなし、パックの宝石類もすぐには売れない。エルクが稼いで費用を捻出しなくてはならない。


 ……冒険者で稼げるだろうか。


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