裏切り⑤ 離別と犯人
俺が気が付いた時には、蛮族は皆殺しになっていた。日は落ちかけ、ヴィレオは下を向いたまま涙を流し、コルミーネはシーザックを手当てしようと必死になっている。俺の頭はグレアートの膝の上で横になり、両手と背中の治療を受けていた。
「オキタ、意識を取り戻したようね。余った魔素は少し返したわ。大丈夫?」
「ああ、俺はなんとか助かった。ありがとう。他の人は?」
「そうね…… お別れをしないと……」
危機が何とか去ったことだけは分かった。グレアートは一通りの応急処置を俺に行うと、そのままゆっくりと立ち上がり、シーザックの所に向かった。出血が止まった俺は、グレアートの後をついていく。
「良かった。皆様がご無事で……」
「それ以上しゃべらないの。シーザック」
近寄って一目見ただけで、もう助からないような状態だった。俺は彼の目を直視できなかった。
「あなたがみんなを守ってくれたおかげよ。ありがとう」
血まみれのシーザックの手を、グレアートは握りしめた。
「やだよぉ! シーザックいなくならないで!!」
泣きながら治癒の魔法を使うコルミーネだが、出血が早すぎて間に合わない。魔力も底をついていた。
「最後にお役に立てた事、光栄です。私に自由と希望を与えて下さったグレアート様……感謝いたします」
笑顔のシーザックは静かに息を引き取った。コルミーネは息を殺しながら泣いている。
焚火のパチパチ音だけが続く中、グレアートは全員に話しかた。
「依頼完遂後に偶然、蛮族の奇襲に合ってギルドメンバーが亡くなった。それだけのこと」
「帰ったらまた盾役を確保する。そうね、3日後にまた集まりましょうか」
グレアートは至って冷静だ。感情に流されず、淡々と進めていく。
「俺が背後の気配に気づいて確認していれば、こうはならなかった」
「あなたはよくやってくれた。まさか足を使って渡すと思わなかったけど……」
「あの方法で受け取れるのは私くらいの熟練者じゃないと無理。本当に無茶な賭けをする人」
「ギルドマスターとして、ここまでの異変に気づけなかった私に責任がある。オキタではないわ」
「そうでしょう? コルミーネ。それと……」
「この代償、どうやって償うつもり、ヴィレオ?」
グレアートは静かに語りかけた。ヴィレオは黙って動かない。
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