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2人と別れてすぐ、有希にメールしてみた。

もし娘を預かって貰えるならって、ついつい甘えてしまう。

こんな時両親が健在ならって思う。


『いいわよ~!かすみんお泊まりしたら?明日の朝翔太と学校いけばいいし!』

ってすぐに返信が来た。

今日休みなのかな?

娘は有希の家にお世話になって以来3回ほどひとりでお泊まりさせてもらっている。


『お言葉に甘えて宜しくお願いします。ピアノ終わって連れて行くので19時ごろになります。本当にありがとう!』


有希にメールしたあとに夏川くんにもすぐにメールした。

夏川くんからの返信もすぐに届いた。


『じゃあ19時過ぎに車で迎えに行きます。どこに行ったらいいですか?』


『前行った定食屋さんの前はどう?夏川くんも車持ってたんだね!』って返信をすると、


『了解です。車は社長のを借りて行きます。ではまた後で。』ってまたすぐに返信があった。


私は急いで娘のお泊まり準備をした。

今日はピアノの日なので娘が帰ってすぐにピアノへ行き、その後有希の家へ送って行った。

娘はお泊まりが嬉しいようで安心した。


それから急いで待ち合わせの場所へ向かった。

定食屋さんの前の通りで待っていると稗田さんの車と同じ車が目の前に停まった。

助手席の窓が開き、夏川くんの顔が見えた。


「お待たせしました。夜なのに呼び出してすいません。どうぞ乗って下さい。」


「うん、ありがとう。」


私は助手席に乗り込むとすぐに車は発進した。


「香織さん、寒かったでしょう?早く着くつもりが道が混んでて…すいません。」


「ううん、私もさっき着いたばかりだよ。」


何の警戒心も持たずに車に乗り込んだからまた稗田さんに危機感が薄いって言われるんだろうな。


「香織さん、ファミレスか居酒屋どっちがいいですか?」


「う~ん、夏川くん車だしファミレスにしようか?」


「わかりました。香織さんお酒飲まれます?飲むイメージはないですね。」


お酒っていつ飲んだっきりかな?


「確かに、子どもを望むようになってからほとんど飲んでないかも。きっと弱くなってるだろうな。」


近くのファミレスに着き、中に入ると19時過ぎだからやはり混んでいた。

それでもすぐに席に案内してもらえた。


「今日会えて良かったです。もう、自分のことでいっぱいいっぱいだったはずなのに今や社長に振り回されてて…不在にするのが心配で心配で…」


「えっ?話って稗田さんのこと?てっきり田邉さんのことかと思った。」


もう会うなと牽制されるとばかり思ってたから拍子抜けした。


「えっ、何で弘人?」


「私が離婚してたからもう会うなって言われると思った…」


そう言うと夏川くんは大笑いしだした。

そんなに笑わなくても…


「すいません、フフフッまぁ、刺激しないでいただけたら助かります…でも内緒なんですよね?どこまで隠せるかわかりませんけどもう弘人のことはなるようにしかならないと思ってますから。しかも香織さんが避けても意地で会いに行きそうですよね。フフッ、そう言うところ弘人らしいです。」


語尾にハートマーク付いてた気がする。

こういうときの夏川くんって可愛い。

本当に好きなんだろうな。

10年も付き合ってるって言ってたけどそれでもこんなに愛されてるなんて…忘れてる場合じゃないのに!


「間違ってたらすいません。香織さんどちらかというと弘人より社長ですよね?前、3人で食事した時なんていい雰囲気でしたよ?」


「ハハハッ…なんて返事していいか…離婚したばかりだし…う~ん、夏川くんだから言うんだけど、うん。この年で何言ってるんだか…ハハッ」


夏川くんって異性というか、女友達って感覚に近くてつい…

この年で顔を赤らめながら『うん』なんて…

穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。


「フフッ香織さん可愛いですよ。年っていいますけど、全く 気にしなくていいですよ!社長なんて香織さんのこと可愛い、可愛い言ってますよ。それで、社長…きっと元ご主人と楽しそうに歩いてた香織さんを見ちゃったみたいなんですよね。それで香織さんはご主人と上手くいってるって思ってるんです。だから最近弘人に連絡するなって言ったり、会うのも迷惑だから辞めろって…今日もかなり2人で揉めてました…」


そうなんだ…

まさか稗田さんと田邉さんの揉めた原因が私だなんて…

私を気遣ってくれてたんだ…

やっぱり仲良く話してるの見られてたんだ。

胸が締めつけられて息苦しい…

本当は今すぐにだって稗田さんに会いたい。


「どうしよう…仲の良さそうだった2人が私が原因で揉めてるなんて…」


「弘人はもともと強引すぎるので自業自得な所はあるんですけどね…社長って今まで何にも動じないって感じだったんです。それが落ち込んだり、あまり飲めないお酒飲んで酔っ払うし、イライラして弘人に怒るし…見てられないんですよね。で、僕は明後日から日本にいないしどうしようって思ってたんです。でも香織さんが離婚されたのに気づけて良かった。社長のことお願い出来ませんか?僕の口からいろいろ言ってしまうと良くないのでこれ以上言えませんが香織さんから社長に連絡して貰えたらありがたいです。立ち直らせられるのは香織さんしかいません。お願いします。」


立ち直らせられるのは私だけ?


「えっ、でも…私連絡してどうしたらいいか…何もしてあげられないよ…」


「今まで通りで良いんです。あ~、でも今まで通りがどこまでかは香織さん次第で!すいません、この前社長がベロベロに酔ってた時に聞いてしまいました…それで夫婦が上手くいってるのなら香織さんはとんだ小悪魔だと思ってたんですけど、離婚されたって聞いて正直僕は安心しました。不謹慎ですいません。」


小悪魔って…この年で…?


「あ、うん…わかっ…た。」


「今安心したいんでメールしてもらえます?」


「今?えっ、なんてメールしよう…」


夏川くんがかなり強引だ…

なんてメールしたらいいのか、人前でなんてちょっと?かなり?恥ずかしい…


「ほら、きっとひとりになったら悩んでメールするのやめそうですもんね。今日僕たちとランチ行きました。社長は元気ですか?みたいな軽い感じで大丈夫です。さぁ!」


メールなのにかなり緊張する…

メールを打つ手が汗ばんで上手く打てない。


「こんな感じでいい?」


『こんばんは。お久しぶりです!今日田邉さんと夏川くんとお昼に会いました。稗田さんはお元気ですか?菊池』

って打ったメール画面を夏川くんに見せる。


「はい!バッチリです。さぁ、早く送信してください!」


ステキな夏川スマイルにウインク付きで言われた。

そのスマイルに急かされながら送信ボタンを押した。

はぁ、ドキドキした。手汗もすごいし…


「はぁ、疲れた…」


つい、口から出てしまって夏川くんからまた笑われた…


それから5分もしないうちにメールが届いた。

画面には稗田さんって表示されてた…。


「ハハッ、社長でしょ?早かったですね~!」


メールを開くのもドキドキでやっと引いてきた手汗がまた出てきた。

『こんばんは。本当に久しぶりだね。香織ちゃんからメール貰えて嬉しいよ。僕はいつも通り元気だよ!香織ちゃんも順調にいってる?田邉がしつこくてごめんね…俺からもきちんと言っておくから、迷惑なら断ってね。稗田』

このメールだけ見るといつもの稗田さんだ。

いつの間にか私の隣のイスに夏川くんが移動してきており画面を覗いてた。


「ヘヘッ、社長強がってますね~!何事もないように。本当は自分が会いたくてたまらないくせに。フフッあっ、今のは聞かなかったことにして下さいね。」


夏川くんはまたあのスマイルで人差し指を口に当てている。

きっとすごくモテるだろうな…

稗田さんとはまた違った人タラシな感じだ。

顔はかっこいいのに可愛くて、どことなく中性的だ。


「飲み物取ってきますよ。何がいいですか?」


そういえばドリンクバーだけ注文してたのに取りに行くのも忘れてた…。


きっと緊張してる私に気遣ってメールを打つ間席を外してくれたんだ。

そう思ってたけど違ったようだ…

なんて送ろうか迷って画面とにらめっこしていたら突然稗田さんから着信があった。


「は、はい。香織です、こんばんは。」


『こん、ばんは。こんな時間にごめんね。今夏川からメールきて…一緒にいるの?今?』


も~!夏川くん!どうして一緒にいること言うかな?

こんな時間に夏川くんと2人でファミレスにいるなんてどう説明したらいいのか…


「あ、の…はい、今ファミレスにいます…なんていうか、あの…」


返事に困っていたらニヤニヤ嬉しそうに夏川くんがドリンクを持って戻ってきた。


「あっ!社長からですか?」


咄嗟に頷くと、ドリンクを置いて私のスマホを取ると話し出した。


「おつかれさまで~す!やっぱりかけてきましたね!安心してください、後ろ騒がしいでしょ?ファミレスですから、決して2人きりとかではありませんよ。」


あっ、だから騒がしいファミレスか居酒屋って2択だったんだ!

やられた…初めから夏川くんの計画通りだったんだ。

メールを急かしたのも…

稗田さんと何か話している夏川くんを思いっきり睨みつけた。


「も~、夏川くん!」


「ハハハッ、睨む香織さんも可愛いですね。この際弘人なんかほって香織さんに行っちゃおうかなぁ。」


またあの夏川スマイル…可愛いなんて思うんじゃなかった!

そして夏川くんは今居るファミレスの場所を稗田さんに教えて電話を勝手に切った。


「ヘヘッ、すいません。かなり強引に事を運ばせてもらいました。こうでもしないと安心して海外へ飛べませんから。」


「もう、初めからこうするつもりだったのね。」


「怒りました?でも僕、香織さんには社長と会って話をしてもらいたかったんです。本当に余計なことしてすいません。社長の車の鍵置いておきます。社長が不在になるんで僕事務所に戻ります。じゃあ、また帰ってきたら良い知らせ期待してます。」


「海外、気をつけてね。また帰ってからゆっくり話しましょう。」


そう言って夏川くんはファミレスを急いで出て行った。

そして稗田さんが来るのかと思ったらドキドキが止まらなかった。

なんて言おう…やっぱり離婚したこと伝えるべきなのかな?

「はぁ…」

ため息ばかり出る。

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