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魔球と黒い服

完全に見切り発車ですが、ネタが尽きるまでがんばりたいと思います。


初投稿なので至らない点が多々あるとは思いますが、温かい目で見てもらえると嬉しいです。

「今日の勉強はここまでにしましょう」

「「「は〜い!」」」


 シスターが今日の勉強時間の終わりを告げると、子供達が元気良く返事をした。もちろん俺も返事をした。精神年齢はすでに大人であり、小さい子達と一緒になって可愛らしく返事をするのは少々恥ずかしいのだが、孤児院ではシスターたちに挨拶や返事をしっかりと叩き込まれたため、こういう時に返事をしないという選択肢はない。

 4歳の子でもしっかり返事をしているのに、6歳である俺が返事をしなかったら、一体どんなお仕置きをされるかわからないからな。


 孤児院での勉強だが、どちらかと言うと"頭を使ったお遊び"という方がしっくりくる。個人差はあるが、子供達は3歳くらいから勉強の時間に参加することになっている。そのため、例えば計算の勉強は、数字を覚えるところから始めなければならない。

 なので、先生シスターと一緒に子供達は数字が書かれた木のおもちゃで、この数字はなんて読むのか、というクイズを出し合って、楽しくやっている。

 正解すると先生シスターから褒めてもらえることも、子供達が一生懸命取り組めている理由の一つだろう。


「今日も楽しかったわね! ラック。レオン」

「計算の勉強は正直退屈だな」

「あはは…。そうだね、ボクも楽しかったけど、もう少し難しいことをやりたい気持ちはラックと一緒かな」

「あなたたちはいつもそれね…」


 小さい子供達と同様に、俺とメイ姉とレオンも勉強をしていた。俺たちの勉強は小さい子たちとは異なり、椅子に座って机の上の紙で計算問題を解いたりする、いわゆる一般的な勉強をしている。


 因みに、さっきの会話から分かると思うが、メイ姉にとってちょうど良い勉強内容では俺とレオンは満足できていない。これは、メイ姉が悪いわけじゃない。さっきまで勉強していた内容はこの国では8歳で勉強する内容であるため、その内容をしっかり理解できているメイ姉は、むしろ優等生と言えるだろう。

 つまり、単純に俺もレオンもそれ以上に勉強ができるだけだ。


 正直なところ俺は転生しているし、今更8歳が解くような計算問題をやらされても退屈なのはしかたがないと思う。逆に言葉の勉強は、昨年までは周りの同い年と同じペースだったしな。

 まぁ、他の子と精神年齢が大人である俺との間に理解力の差が出てしまい、今年からは言葉もメイ姉と同じ8歳の子達と一緒に勉強することになったが。


 転生前に勉強を頑張っていたわけじゃないが、最低限の一般教養は身につけていたからな。もし俺以外にも転生する人がいれば、同じような結果になるんじゃないかと思う。大人と小さな子が一緒に勉強したら、大人の方が出来るのは当たり前だろう。


 それよりもすごいのはレオンだ。今の俺と同い年にして、言葉も計算すでに10歳が勉強する内容を理解しているらしい。地理や歴史、自然科学などについても本を読んで勉強しているらしい。勉強時間の後に遊びの時間はあるのだが、その時間はいつも俺と一緒になって遊んでいる。それなのに一体いつ勉強しているのだろか?


 顔も良くて頭が良いし、俺と一緒になって遊んでいるからか運動神経も抜群だ。

 才能ありすぎだろ。


 俺は計算の時間だけ、来年からは自習の時間にして良いと言われている。レオンは来年から全て自習だ。

 孤児院には魔法式、および魔法陣の本以外は多くの本が置いてあり、自習するには困らない。魔法に直接関係あることが学べないのは残念だが、歴史なんかは学んでおいて損はないだろう。将来多くの魔法を使えるようになるために情報収集は大事だ。


「ねぇラック、今日も魔球ボール当てをやるんだよね?」

「そうだな。天気も良いし、いつも通りみんなでやろう。」

「今日こそボクのチームが勝つからね」

「いや、いつも通り勝つのは俺のチームだよ」


 そんな会話をしつつ、俺たちは外に出た。




 移動した場所は、孤児院の外にある約100メートル四方を柵で囲まれた広場だ。俺が転生するよりも前は家畜に使われていた場所だったらしいのだが、今家畜が使っている場所を用意した際に不要となり、そのまま子供達の遊び場になったそうだ。


「お、今日初めて参加する子もいるのか。ルールはわかるか?」

「しらなーい」「わからない…。」

「わからなくても大丈夫だ、心配しなくて良い。じゃあ、ルールの説明からだな。他のみんなは道具を用意して置いてくれ」

「「「は〜い!」」」


 今日は4歳になったばかりの男の子と女の子の2人が初参加だ。まぁ、ルールと言ってもそんなに難しいことはないから大丈夫だろう。大事な点は3つだ。


「まず、魔球ボールを使うんだけど、2人は魔力を手から出せる?」

「う…、あんまりできない」「…ちょっと難しいかも。」

「そっか、じゃあ見てて。これが魔球ボールなんだけど、普段は萎んでいて丸い形をしていないんだ。これに魔力を少し流すと・・・・・・こういうふうに、丸い形になるんだ。」

「「へぇ〜」」

「この魔球ボールを、こっちに置いてある、えっと、この黒い服に当てると・・・こんなふうに魔球ボールが当たったところが白くなるんだよ」

「服に当てる遊びなの?」


 もちろん違う。けど、普通はそう考えるものなのかな。俺が遊び始めた頃は服は無くて、ただの一枚の黒い布だった。その布に向かって一人一人魔球ボールを投げて遊んでいたのだ。ただ、初めはそれでも楽しめたのだが、布があるなら服にして着ることができないかと考えた。


 ダメ元でシスターに相談したら、10分で当時のみんなの分の服が出来上がった。許可が降りたこと以上に仕事の早さに驚かされた。ただの布が真っ黒になる工程(おそらく魔法だろう)なんか早すぎて何もわからなかった。子供に魔法を見せないよう徹底している。


 もはや執念すら感じるぞ…。


 そうしてできた魔球ボールに反応する服だが、使い方はもちろん着ることだ。


「服に当てる遊びなんだけど、服はみんなが着るんだよ。」

「じゃあ、ぼくがラックお兄ちゃんに魔球ボールを当てたり、ラックお兄ちゃんがボクに魔球ボールを当てたりするの?」

「そうだな。これから2つのチームに別れて魔球ボールを当てあうから、違うチームなら魔球ボールを当てあうことになる」

「じゃあぼくはラックお兄ちゃんのチームが良い!」


「んー、そうだな。俺のチームとレオンのチームのどっちに入っても良いんだけど…。」

「…わたしはレオンお兄ちゃんのチームになりたい」

「…そうか。じゃあ、人数も偏らないしちょうどいいな。よし、とりあえず今日はそれでいこう」


 上手く2人が別々のチームを希望してくれて助かったな。若干女の子の方が気を使ったような気もするけど、なんだか嬉しそうだし、レオンのチームになるのが本当は嫌だという訳でもなさそうかな。


「じゃあ、2人もこの服を上に着て準備をしようか。」

「「はい」」

魔力ボールを丸い形にできなくてもやれることはあるから安心していい。それぞれ作戦はチームで考えるから、服を着たら移動しよう」


 そうして俺たちは、チームごとに集まって作戦会議を始めた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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