第2話:悪魔正体
次の日。
私は藤堂君に言われた場所へと向かった。
「あ、藤堂君…」
藤堂君はすでに待ち合わせの場所にきており、公園の真ん中にあるオブジェに背中を合わせていた。
…藤堂君ってすごいかっこいいなあ…
そんなことを思いながら見とれていると、藤堂君が私に気付いたのか、こっちに向かってきた。
「ついたなら声かけろよ…」
「あ、ご、ごめん…」
私はなんだか恥ずかしくなって顔を背けた。
「…じゃあ、ついてきて」
そういうと藤堂君は私に背を向け歩き出した。
私もそのあとを追った。
「………。」
会話がない。
さっきからず−っと沈黙が続いている。
…気まずいなあ…。
私は気まずさのあまり藤堂君に話しかけた。
「あの…」
「この辺でいいか?」
私の言葉を遮り、藤堂君は振り向いて私に問う。
「あ、うん…」
私と藤堂君は日当たりの良い、芝生に腰かけた。
「何から話そうか…」
「あ、じゃあ、藤堂君は一体何者なのか知りたい…」
そう聞くと藤堂君は私の目を見ながら
「俺は前も言ったが魔術師。代々藤堂家は黒魔術を扱い、悪魔を召喚し、他の悪魔を狩る役目を追っている。」
「悪魔…?」
「悪魔とは人の魂を吸い、やがてこの世界を支配しようと生き続ける卑劣な奴等だ。」
【おいおい響〜。その卑劣な奴等の中に俺も入ってんのかあ?】
「…!!」
びっくりした。いきなり藤堂君のはめている指輪が光ってしゃべったのだ。
「お前もだ、ルシファー」
「あの、昨日の悪魔とその、ルシファーさんは違うんですか?」
【呼び捨てでい−って。さん付けとか気色悪い。】
「すみません…」
悪魔に気色悪いと言われた
「ルシファーは人間と契約を結んだ悪魔だ。人間と悪魔が契約結ぶことは、悪魔は知恵を手に入れ、人間は力を手に入れる。」
【一石二鳥みたいな?】
「知恵と、力…」
私はなんだか嘘みたいな話だと思った。悪魔なんて人間が作り出した架空生物だと思っていたし、黒魔術なんてなんか怪しい宗教の人がやってるとばかり思っていた。
けれど、藤堂君のすごく真面目な表情やルシファーがこれは現実なんだと思わせる。
「あ、あと私がAランクってのは…?」
【旨そうなランク】
「はっ!?」
「つまり、悪魔が好みとする魂を持ってると言うことだ。」
「好みの魂…?」
「ランクにはA〜Eまであり、Aが最高、Eが最低だ。まあ、Eなんかに入る奴は犯罪を好き好んでやる変態共だ。」
「なら、Aはどのような人間が…?」
「………。」
藤堂君は黙ってしかめっ面になってしまった。
「私はそんな善良な人間じゃないですよ…?」
「当たり前だ。人間、どんなに良くともせいぜいBまでしかいかない。俺もAの人間はあんたが初めてだ。」
「私が…初めて?」
「ああ。Aなんかになるには、魂を悪魔好みに変える実験でもしないかぎり…」
「!!……つ」
突然、頭に痛みが走った。
「い、痛い…」
「おい、大丈夫か?」
頭が割れそうなくらい痛くて涙が溢れてきた。
それと同時に何か私の頭の中に映像が流れてきた。
「…ペルシナ研究所…?」
「は?お、おいっ!!」
意識がだんだん遠退いてくのがわかった。
遠くから小さく会話声が聞こえてくる…
【なあ、響…】
「なんだ」
【あいつはっきりペルシナ研究所って言ったよな?】
「………。」
【ペルシナ研究所っていやあ、魂実験の本拠地じゃねぇか。】
「そうだ。」
【あんな一般人の嬢ちゃんが知ってるわけねぇよなあ?】
「何が言いたい。」
【そんな事言って〜響もわかってんだろ?あの嬢ちゃん、実験商品だぜ。】
「そうすればAランクと言うことにも繋がる。」
【だけどよお…あそこはデーモンの野郎が襲ってガキ共全員食ったって話だろ?】
「そう言われている。」
【なんであの嬢ちゃん生きてんだ?】
「さあ…?」
【さあって思え、もしかしたら嬢ちゃんがあれ、もってるかもしれないんだぞ。】
「!!」
【悪魔が魔王に、人間が神になれる…黒魔術や錬金術じゃとうとう創れなかった……】
「賢者の石」
【それがあの嬢ちゃんに埋め込まれているとしたら?】
「………。」
「やつの魂を奪い、肉体から取り出すまでだ。」
まだまだ続きます