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9/12

九話 今日は色々ありました。

今日は三連投


 入学式が終わり、迎えの車で自宅の宮廷に帰った頃には星々が輝く夜の世界。

 私は今、ダイニングでコーラを飲みながらネット配信サービスのナットフリックスでゆったりとアニメを見ていた。

 最近アニメ化したという『異世界はノートパソコンとともに』と言うアニメを見ながらグラスに入ったコーラを口にする。

 

 フム。世間ではクソアニメと色々言われているが、なかなか面白いじゃないか。

 特に、主人公がノートパソコンで個人魔法をクリック一つでダウンロードするシーンは最高だ。

 

 そんな感想を抱きながら、相変わらず無駄に豪華なキンキラ金のテーブルにグラスを置く。

 何気なしに窓の外を見ると、流れ星が三つ四つ飛んでいた。


 流れ星って、隕石だよね? てことは、あの数の隕石が一度に落ちてきたのか……


 無駄な事を考えながら、目の前のアニメに目を戻す。

 窓の外を見たり、頭を空っぽにして見るアニメを見るのは、やっぱりやる事が無いからだろうか。

 そんな事を考えていると、ダイニングの扉を開く音がする。

 ドアの方を向くと、風呂上りのルー姉がキッチンに向かう所の様だ。

 ルー姉はキッチンに着くと、いつもの葡萄ジュースを冷蔵庫から取り出してコップに注ぎ始めた。

 

「メリア。そういや帝国学院どうだったー?」


 そう言いながらルー姉はコップに葡萄ジュースを注ぎ終え、ボトルに栓をして冷蔵庫に戻している。

 ルー姉の問いに私はアニメを見ながら、


「まあ、ぼちぼちかな…… 友達もそれなりに出来たよ。」


 と答える。

 

「へぇー…… 私は来月までに中等一年までの授業を猛勉強しないと学院いけないんだよね」


 そう言いながら、ルー姉は葡萄ジュースを飲み干して空になったコップをシンクに置き、ダイニングに来て私の向かい側に座った。

 ルー姉は同年代の人達と一緒に勉学をするため、基礎の遅れを今頑張って克服している所なのだ。

 宮廷に来る家庭教師曰く、ルー姉の覚えの良さは化け物レベルらしい。

 同じ人間に見えないレベルで物事を飲み込んでいくので、一か月どころか、一週間もかかるか分からないとの事。

 これも多分、天職とかスキルの力だとは思う。

 話を聞いていると、普通に人間とは思えない覚えの良さみたいだし。


 そんなルー姉は向かいで私をじっと見ている。どうしたんだろ?

 疑問に思いながら、ルー姉を見つめ返す。

 数秒ほど沈黙しながら見つめ合う私達だったが、そんな沈黙をルー姉が破った。


「ねえ、どんなお友達が出来たの?」


 ルー姉の他愛も無い質問に、


「女の子の友達一人と男の子三人の友達」


 と何も包み隠さず答える。


「男の子三人!?」


 驚いた様子のルー姉。そんなに驚く要素があるのかな?

 ルー姉は口をあんぐり開けて、意外な物を見る目で私を見ている。

 

「どんな事をしたら、そんな男の子に人気になるのよ! 三人も逆ハー作っちゃって!」

「どんな事も何も、一番後ろの一番窓際の席をゲットしたら、悔しそうに声を掛けてきたのが始まりだよ」


 どんな事を言い出すかと思ったら、逆ハーレムって…… 流石にねえわ。

 ルー姉に、


「流石にそれは無いよ」


 と言いながらグラスを持ちコーラを飲む。

 シュワシュワとした舌ざわりを楽しみながらコーラを楽しんでいる私にルー姉は残念そうに言う。


「えー? 逆ハーじゃないのー……?」 


 心底残念そうな姉。

 一体、何を想像してたらそこまでガッカリできるんだろう……?


「美形男子を沢山侍らしなが扇子を片手に「私、皇帝ですから!」って高笑いするメリアを想像してたのにー……」

「流石にそれはないよ! 流石にひどくない!? ルー姉の中の私ってどんな妹なの!?」 


 少し不機嫌です!と言う態度の私に、ルー姉は悪びれる事無くヘラヘラと笑いながら、


「ごめんごめん! 流石に冗談だよ! ……でもさ、そんなメリアでもカッコいいと今は思うんだよね…… 私どうかしちゃったのかな?」


 と軽い感じで謝罪する。


「絶対どうかしてるよ……」


 そう言いながら私は目の前のアニメに目を戻す。

 丁度アニメは浜辺で主人公がハーレム美少女の取り合いになっているシーンだ。


『私たちの中で誰が一番なのです!?』

『もちろん私よね!?』

『私に決まってるのです!』


 いきり立つヒロイン達にタジタジな主人公。


『えっと…… シィスゥーかな……』


 そして出した答えは、遠くで遊んでいた幼女の名前を出した。

 えー!!っと叫ぶヒロインズに困り顔の主人公。

 そこは、正直に『皆同じように好きさ…… 特に胸とかお尻とか太ももとか』って言えば丸く収まるのに……

 主人公は男なんだから、下半身に正直でいれば尻の軽いヒロインズも皆その気になって四人で一緒にギシギシアンアンしてくれるよ。


 そんなどうでも良い事を考えながら、私は今日の男三人組を思い出す。

 確かにそれなりに皆顔が良かったな…… あいつらが私を目の前で取り合って、


「誰が一番すきなんだ?」


 って言ってきたらどうしよう?

 女の私がさっきの様な事言えるわけないし、言ったら三人一緒に相手して「アヘェ……」しながらダブルピースする羽目になる。

 どう考えてもバッドエンドなんですが……


 まあ、相手が私に恋愛感情を抱いてるなんて思えないし、考えても無駄だよね。

 そんな事を考えながらスマホの画面を見る。

 そこには、三人の男子と一人の女子の連絡先が乗っていた。



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