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五話 今日から此処が我が家です。


 空の旅を終えて個人ジェットを下りる。

 雲一つない青空の下、タラップの最後の階段を下りた先には物凄く大きなTHE宮殿と言った感じのゴージャスな建物が私の目の前に存在した。


「宮殿の敷地内に滑走路とか、これがセレブの基本なのかな?」


 ここに来る前に個人ジェットの中で着陸先を聞いていたから、ここが宮殿の中なのは分かる。

 さらに、この宮殿が今日からの自宅なのも理解できるよ。

 でもさ、完全に私の想像を遥かに超える程の余りにも現実離れした、文字道理の絢爛豪華!って感じの建物を前にしたら、誰だって足を止めちゃうよね?

 

 宮殿の前で尻込みしている私を見てか、後ろに居たササモトさんが「こちらです、陛下」と私の前に出て先導し始めた。

 右も左も分からない私はササモトさんに無言でついていく。

 金や銀、さらには至る所に様々な宝石が散りばめられた宮殿への扉を開くと、そこは眩く感じる程に煌びやかなシャンデリアや調度品で彩られた別世界の様な光景が私の視界いっぱいに広がった。


「ひぇー……」

「すごいね……」


 高い高い天井に吊るされた大きな大きなシャンデリアが特徴の大ホールに、私達は言葉を失う。

 ホールの壁や調度品にはこれでもかと言う程の眩い装飾が施され、吊るされたシャンデリアは上部の光源から発せられた光でシャンデリアに吊るされた装飾がキラキラと輝いている。

 ホールの前方と左右にはアーチ状の支柱が特徴の廊下が続いていて、ホールの前方にある廊下の先には大きな中庭がある様だ。


「ここは第二ホールでございます」

「へぇ……」


 ササモトさんの説明に生返事を返す。

 今日からこの宮殿に暮らす事になるのは分かるんだけど…… 一切実感が湧いてこないな。

 絵本や写真でも見た事ないような光景に、まるで観光に来て景色に感動してる様な心境だよ。

 

「それでは三階に案内いたします。皇族がプライベートで生活する空間は三階でございますので、三階に向かいましょう」


 ササモトの言葉に頷いて三階に向かう私達。

 三階に向かうまでの様々な光景に言葉を失っていた。

 宮殿内を行きかう使用人は皆美人揃いで、美しい高級感のあるメイド服や執事服を着ていて、出会う使用人全員が私達を見るなり一礼をするのを見ていると、なんだか王様になった気分だ。


 あっ…… いや、私皇帝だったわ。

 忘れてた。


 




 三階に案内されて色々部屋を見た結果、一言感想を述べるとしたら……

 こんな空間で落ち着いて生活できるのかな?私。

 まじで、絵本とか物語の王族が霞んで見える程の調度品ばかりなんだけど!

 なんだよ! 食器やカップが銀で出来た物しか無いとか! 

 十八金が施された椅子やテーブルってなに!? めっちゃ光ってて目が痛いよ!

 あと、ベッドがデカい。めっちゃデカい。どれくらいデカいって、一人で寝るのに大きさはダブルベッド。しかもヒラヒラの天幕付き。

 テレビとかも寝室にあったよ。二百インチ超えの8K有機ELテレビとか、どんな値段するんだろうね……

 

「えっと、メリア……? もしかしなくても私、今日からここで生活するの?」

「そ、そうだよ?言いたいことは分かるけど……」

「私、もしかしなくても王族にでもなっちゃた?」

「王族どころか、おねーちゃん今は皇族だよ」


 ルー姉の動揺も分からないでもない。

 こんな、世界の財を集めましたと言わんばかりの贅沢な宮殿での暮らしが、今日から始まるのだ。

 私だって、余りにも現実感から遠くかけ離れた現状にどうしていいか分からない。


「とりあえず、落ち着こう…… 私のステータスを見たら、そこには私の現実があるはず……」


 そう言って、ルー姉は「ステータス」と言いながら自分のステータスを開いたみたい。


「そうそう!私は気ままな遊び人…… あれ?」

「どうしたの?」


 突然変な声を出したルー姉。

 どうしたんだろ?

 

 ルー姉は自分のステータスを見て、次第に驚きの顔になっていく。


「私の天職って…… 『皇族』だっけ? おっかしーなー……」

「天職って、変わるものなの?」

「わからない…… けど変わってる……」 

「へ、へー……」


 まさかのルー姉の天職変化!

 私の天職に合わせて変わったって考えるべきだよね? 天職って変わるもんなんだー……

 なんて声を掛ければいいんだろう……


「や、やったねルー姉! これで正真正銘のお姫様だよ!」

「えー……」


 ルー姉は一度深呼吸した後、疲れ切った顔でキッチンを見た。


「とりあえず、疲れたからジュースでも飲もうかな……」


 そう言いながらルー姉はダイニングキッチンに行き、冷蔵庫を開けて葡萄ジュースを取り出している。

 遠目で見えた葡萄ジュースのラベルには一束十万円する有名な品種名の名前と、大きな文字で果汁百パーセントと書かれていた。


「聞いたことある品種…… なんだっけ?」

「一束十万円する事で有名な品種の名前だよ」

「……まあいいや」


 そう言ってルー姉はボトルの栓を開けて銀のコップに注ぎ始める。

 どうやら、気にしない事にしたらしい。

 

「今日はもう予定が無いんだよね?」


 注ぎ終わってボトルに栓をするルー姉に声を掛けた。

 ルー姉はダイニングでコップに注いだ葡萄ジュースを飲み干し私を見る。


「らしいねー。だから今日はこのゴージャスな空間で一日中って事だね」


 そんなルー姉の言葉に「だよね」と返す。

 今日は色々慣れるのに大変そうだ。

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