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四話 宮殿にお引越し!


「ちょっとメリア…… 一人で納得しないで、おねーちゃんにも教えてくれる?」


 混乱に混乱を重ねた様な様子のルー姉。

 今のルー姉に説明しても頭に入ってこないだろうなー。


「えっとね…… 多分、この人たちは私の天職がらみで来たみたい。……てか、皆さん顔上げましょうよ」


 私のめっちゃ大雑把な説明にルー姉はご満悦な感じだ。

 多分、今は何も考えたくないから私の天職の事で来たと言う事実だけでいいみたい。

 私に言われた皆さんは顔を上げて、ササモトさんが前に出る。


「突然で申し訳ございません。この様な事を申すのは心苦しいのですが、メリア陛下には我ら世界帝国の宮殿にお引越しなさってもらいたいのです。もちろん、ご家族と一緒に」

「その大所帯から見るに、今すぐですか?」


 ササモトさんの言葉に質問する。

 私の問いにササモトさんは「そうです」と答えた。

 まじかー。今すぐ引っ越し作業か……


「えっと、メリア?何の話してるの?」

「お引越しの話」

「そ、そう……」

「ルー姉も一緒にだよ?」

「ええ!?そ、そうなの……」


 全く状況が掴めて居ないルー姉。

 流石に唐突過ぎる事が起こりまくってるからね……

 

「私も今の状況は全部把握しきれてないけど、色々落ち着いたらルー姉にも説明するよ」

「わ、わかった…… お願いね?おねーちゃん今は頭がどうかしそうだから、落ち着いたらお願い……」


 そう言ってリビングに戻っていくルー姉。

 そんなルー姉が落ち着き冷静さを取り戻したのは、引っ越しの荷造りが終わって今までの我が家とバイバイする所からだった。





 今はこれでもかと言わんばかりの豪華なリムジンに揺られながら、私たち姉妹は空港に向かっている。

 私が今まで見た事無い様な美しいグラスに注がれたオレンジジュースを飲みながら、同じようにオレンジジュースを持ちながら外の景色を眺めているルー姉を見つめる。

 

「ねえ、メリア…… 私どうしちゃったのかな……? まるで絵本に出てくる貴族様の様なおもてなしを受けてるのだけは分かるの……」


 窓の外を眺めながらルー姉は儚げに語り掛けている。

 まあ、余りにも非日常だからね。


「メリア…… これって、もしかしなくても夢よね……? 流石に現実じゃないよね……?」


 そう言いながらルー姉はオレンジジュースを口にする。


「おかしいなー…… 夢の筈なのに味がするよ…… おねーちゃんどうかしちゃったみたい……」

「ルー姉、夢じゃないから、今の現状を受け入れようよ」


 私の言葉を聞いたルー姉はグラスを静かにテーブルに置き、軽く伸びをした後、いつに無く真剣な様子で私に向かいあった。

 ルー姉のこんな真剣な顔は滅多に見ない。

 それこそ私を叱る時か、重要な出来事が起こるときぐらいだ。


 うぅ……

 私なにか悪い事した……?


「な、何かしたかな?」

「いえ?貴女は何もしてないわ」


 う、何故か怒ってらっしゃる……

 私の事を貴女と呼ぶときのルー姉は大抵怒ってるんだよね。

 

「な、何かしたなら謝るよ……」

「いいえ?だから貴女は何もしてないわ」

「え、えっと……」

「で、何時になったらこの状況を教えてくれるのかしら?」

「あ……」


 そ、そっか。

 確かに今の今まで説明してなかった……

 やっちゃった。


「ご、ごめんなさい…… 私も正直いっぱいいっぱで、完全に忘れてた……」

「……そらそうよね。私だけな訳ないじゃん…… 妹に当たるなんて最低な姉ね……」

「えっと…… どこから説明したら良いかわからないから、聞きたいところから聞いて?」


 それからはササモトさんも交えての現状を確認しながら現状を説明した。

 皇帝の話に関しては、やっぱり私の認識に間違いはなかったみたい。

 大方説明した頃には目的地の空港で飛行機の中だったよ。


 そんなわけで現在は飛行機で空の旅の最中です。

 高級な高性能個人ジェット機の中で、足を延ばしてくつろいている。


「いやー…… それにしても、まじかー。私の妹が、絵本に出てくる王様よりも位の高い身分になったなんて…… さらに私も皇族の仲間入りかー」

「やったねルー姉。これで今日からお姫様だよ」

「まじでおねーちゃんビックリだよ……」


 実際、今日からのルー姉はルーナ皇女殿下なんだよね。

 私だって、ある日突然お姫様になるなんて事になったら、それどんな乙女ゲーだよって思うよ。


 窓の外に見える朝日を見ながら、これからの生活に期待と不安を抱えている私だった。




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