本当にこのショタコンに俺の弟を任せていいのか?
美穂と大吾が付き合い始めてから数週間後。
「あ〜...最近あのねーちゃんこねーな。」
「大吾〜...あのねーちゃん知らね?」
「え...?今日は来るって言ってたけど...っていうかなんでみんなが気にしてるの?」
「え〜...?だってあのねーちゃんエロいじゃん。胸でかいし。可愛いし。」
「エロっ...!?何言ってんの!?」
「いやーほんとほんと。」
「...っ!?ねーちゃん!?」
「まったく...胸でかいかなぁ私...ま、せいぜい練習して可愛い彼女作りな。」
自分の胸を見ながら、美穂はそう嘲笑した。
「くっそー!ねーちゃん、ちゃんと見てろよー!大吾だけじゃねーんだからな!」
「はいはい。んじゃ、練習の後でな、大吾。」
「う、うん。」
「終わったー。」
毎度の事ながら心底嫌そうな顔でインタビューに答え終わった大吾が美穂に近づいていく。
「ん、お疲れさん。」
「さっきまでいた人、誰?」
「あれ?私のお兄ちゃん。」
「え...女じゃなかったんだ...」
「あれでも男らしいよ。お兄ちゃんも野球をやってるけど、筋があるってさ。」
大吾が驚きながらそう言うと、美穂は爆笑した後に説明を始めた。
「ほんと!?やったー!」
「可愛いなぁお前...」
美穂の本音が普通に声に出てしまっているが、いつもの事なので大吾は気にせず話を続ける。
「あ、そうだ。海斗がごめん。」
「あぁ、あのセクハラ小僧か。気にしてない気にしてない。」
「...後...美穂は胸でかいと思うよ。」
「ほう?そういうの、興味あるんだ?」
「そ、そりゃ...うぅん...ある...」
「マセガキめ。」
「うっ...ごめん...」
「素直で偉いとは思うけどな。
...ちょっと目を閉じてろ。」
美穂は真剣な眼差しで大吾の頭を撫でる。
「えっ...」
「あぁもう!早く閉じろ!」
「わ、わかった...」
「絶対に開けるなよ。」
美穂は大吾のおでこにキスをして、
「...今はこれだけな!」
そう言って威張るが、やはり恥ずかしかったのか俯いて威張り直す。
「え、あ、み...」
「うっわ〜...大胆...」
それを覗いていたと思われる和馬が声を上げたため、美穂は人を殺せそうな目で睨む...が、効かない。
「あ、兄ちゃん!」
「覗き魔。」
「人がいるかも知れないのによくキスなんて出来るな。俺には無理だわ...」
「...ふっ...気付いてないと思ってたの?見せつけてたんだよ。『彼女いない男』にね!」
「お前の方が大吾よりも餓鬼だ...」
痛い所を突かれて固まりながらも和馬はつっこむが、いつものように勢いがない。
「兄ちゃん!怒らせると美穂怖いんだよ!」
「知ってる。どのくらいが怒らないとかは見極めてるつもりだ。」
「悲しいことに本当に見極められてるのよね。こいつ。さ、邪魔者は野球部らしくランニングがてらに走って帰れ!」
「美穂!てめぇ大吾に変なことすんなよ!」
和馬が家の方向に走っていく。
「さて、邪魔者が消えたね。」
「う、うん...」
「...もっと大きくなったらこれ以上でもなんでもやってあげるからさ。それまで我慢な。」
「約束だぞ!」
「おう。勿論。約束だ約束。」
美穂はその後小さく「私が我慢出来るかな...」とショタコン丸出しの発言をしたが、大吾は聞こえていなかった。