表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私が高1のときに書きかけた自作小説

作者: んこにゃ

気軽に読んでいってください(´ω`*)

「なんじゃこりゃあああああああ」


ある日、鬱蒼(うっそう)とした森で響いた叫び声は誰にも届くことはなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


遡ること数時間前・・・・・・


「んぅ・・・・・・」と間抜けな声を出しながら起きたのは僕、津雲皐月つぐもさつき17歳。

県内の進学校に通う男子高校生だ。といっても学校での成績は中の下という感じで平均より少し下だ。

風貌は残念ながらイケメンではなく、どっちかというと女顔である。

そのせいで友達からはからかわれ、付いたあだ名が「つぐみん」。それに実に不愉快であるが声もなぜかいまだに声変わりしておらず高いままだ。なので女装したら完全に女に見えるだろう。・・・・・・絶対にしないが。


今は少し小さめの一軒家で一人暮らしをしている。うちは母がバリバリのキャリアウーマンで仕事の関係で海外に行っている。父はそんな母のことを追っかけて一緒に行ってしまった。親は基本放任主義なので、お金だけ毎月振り込まれている。


それまで、家に仕事で親がいないことが多かったため、炊事、洗濯、掃除などやれることはすべて僕がしていた。だから問題なく暮らしていけるが、やることが終わってしまうと・・・・・・


「暇だ」


特別仲のいい友達もおらず、インドア派なので大抵こうなってしまう。別に寂しくはないが、どうもこの時間だけは耐えられない。自然と独り言が多くなってくる。


「そういえば頼んでいたソフトが今日届く予定のはず・・・・・・」


そう呟いたと同時に玄関のインターホンが鳴った。「来たっ」と思い、駆け足でドアへと向かう。自然と上がってしまう口角をそのままでドアを開けた。


「これはこれはどうも初めまして。あなた様のお名前は津雲皐月様でお間違えはありませんね?」


唐突に聞いてくる男に僕は浮ついた顔のまま固まった。男は青みがかったスーツを着こなしていて、スラッと伸びた脚はつま先まできれいにそろっている。シルクハットを片手に添えながら僕に挨拶してくるその男は怪しさ満点だった。


「えっと、そうですが・・・・・・どちら様ですか?」


「これは失礼いたしました。私は異世界案内人のサージと申します。このたびは我々の”

異世界旅行記”をご購入いただき誠にありがとうございます。」


異世界案内人というフレーズが気になったが、納得がいった。異世界旅行記は僕が以前ネットサーフィンをしていた時にたまたま目についた新作のMMORPGだ。

なんでも初期設定が何億通りもあるらしく、思い思いのキャラが作れると説明欄に書いてあり、僕からしたらまさに理想のゲームだった。

一目で気に入った僕はすぐに購入手続きをして確定ボタンをクリックした。そういうことなら話が早い。あとは受け取るだけだからな。


「はい、確かに買いましたが・・・・・・どうして製作者の方がこちらに?」


「ええ、つきましては最初のご購入者であるあなた様にあるサービスをと思いまして」


サービス? あっ、確か説明欄の下に初期購入者特典“異世界実体験付き”って書いてあったな。それか!

湧き出る好奇心が顔に出るのを抑えながら僕は聞いてみた。


「具体的にどんなサービスなんです?」


「こういうサービスです」


含みのある笑みを浮かべながら男は一枚の紙を取り出して、僕に渡してきた。


「何ですか?これは」


僕の問いに応えず、にやけながら男はパチンッと指を鳴らすと紙にはゲームなどで見たことのある魔法陣が浮かび上がり、僕の意識は魔法陣の中に吸い込まれていった・・・・・・。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


―――――で冒頭に戻る。

叫んでしばらくすると落ち着いて思考ができるようになった。慌てたところで遅いことに今更気づくが仕方ない。とりあえず状況を整理しよう。


見たところ周りは木に囲まれていて目立ったものは見えない。強いて言うなら、今僕が立っているところだろうか。石の煉瓦のようなもので作ってあり、一目で歴史を感じさせるそれは祭壇のようなものであった。風格をかもし出す目の前の台には供物が供えてあった。ここが何らかの神聖な場所であることは理解できたが、ここがどこなのかは全く見当がつかない。


いや、待てよ。この状況どこかで・・・・・・。


あっ!これは“異世界旅行記”の最初のシーンの説明と同じだ! 確かキャラメイキングの後はここに出てくるんだっけ。


「しかし、ここは現実なのか?吹いてくる風といい、煉瓦の手触りといいかなりリアルだ。まあ、頬をつねればわかることだが・・・・・・」


結果を言うと、痛かった。確かめようと思いっきり抓ってしまったのが悪かった。まだほっぺたがジンジンする。するとこれはいよいよやばい。

なぜなら、僕はこれから先の展開を知らない。焦る僕のところに見たことのある一枚のが落ちてきた。警戒しながらその紙を拾ってみると何やら文字が書かれているようで、読んでみるとそこにはこう書かれていた。


~無事に転移できたようで何よりです。いきなりですが、あなたにはこの世界の勇者として魔王を倒してもらいます。あっ、反論はなしですよ?魔王を倒すまで帰ることはできませんのであしからず。

あなたには今からここからまっすぐ東の街に行って、冒険者ギルドで冒険者として登録してください。登録時に適正職が表示されますので、一番上のものを選んでください。

それまでに必要なものは、これを読んだ後に出てきますので安心してください。

では、グッドラック!              異世界の案内人サージより~



・・・・・・異世界の案内人ってマジだったのかよ! てっきり設定かと思ったわ!

一人心の中でツッコんでいると、紙がポンッと音を立てて、A4くらいののショルダーバッグになった。中を確認してみるとそこには地図や水筒やビーフジャーキーなどの保存食が入っていて、底のほうには刃渡りが30くらいありそうな短剣が鞘に納められて入っていた。


「うわぁ、なんかますます現実味を帯びてきたよ」


そう呟きながら僕はショルダーバッグを肩にかけ、短剣を腰につける。不安が付きまといながらも僕は地図を片手に東の街を目指して歩き始めた。


森を抜けると一面の草原がその広大さを主張していた。

さすが流石異世界、スケールが違う。見渡す限りの草原、草原、草原―――――って広っ!?どこまで続いてんの!?僕の後ろ以外全部草原なんですけど・・・・・・。


この距離を歩くのかと悪態を吐きながらも目的の町に歩き出したのだった。

体力持つかなぁ・・・・・・はぁ・・・。


あれから半日ほど歩くとやっと町らしきものが見えてきた。正直異世界にきていきなりこんなに歩かされるとは思わなかった。どうせならもっと町に近いところに出してほしかった。インドア派の僕にはだいぶ堪えたな、脹脛がパンパンだ。町に着いたら即行休もう、うんそうしよう。


独りぶつぶつといいながら、重たくなってきた足を動かしていると後ろから声をかけられた。突然のことで驚いたが、振り向くとそこにはなんと絵にかいたような美少女がいた。

見惚れてしまいそうになるほど可愛く、薄色うすいろのショートヘアと伸びた前髪から覗く紫色の瞳がどこか落ち着いた雰囲気を醸し出している。その身に纏うローブと眼鏡が知的な印象を与えてくる。白衣なんか着たら絶対に合うよなぁなんて思っていると美少女が続けて話しかけてくる。


「・・・・・・あなた、いったいどこから来たの?」


首を傾げながら興味深いという様子でこちらを見てくる。・・・・・・まぁツッコミ所が多々あるが、それをすると当然のごとく失礼に値するので、一応質問に答えてみることにした。


「えーっと,二ホンから来ました」


「・・・・・・やはり予言通り、もしかしたら・・・」  


なにかぼそぼそとつぶやいていたが聞こえなかった。

とりあえず自己紹介したら教えてくれるかな?


「僕は津雲皐月つぐもさつきといいます。あなたは・・・・・・?」


「・・・・・・ごめんなさい。それは今は教えられない、でも信じてほしい。私は怪しいものじゃない」


僕もできるものならこの美少女を疑いたくはないが、腰に下げた短剣をいつでも抜けるようにしておく。気休めかもしれないが、用心するに越したことはない。なぜならここはもう異世界で日本ではないからだ。


「は、はぁ・・・・・・わかりました。それで僕に何か用ですか?」


「・・・・・・そのことで来たの。付いて来て」


そういいながら彼女はいきなり僕の手を引いて歩き出した。ふぇ!?・・・・・・ドウシテコノヒトハボクノテヲニテルノカナ?


あまりに唐突のことで対応できずにそのままついていってしまった。女の子独特のぷにっとしたやわらかい手に包まれ、一種の混乱状態に陥る。こういう経験がない僕にとっては付け焼刃の警戒心などは残念ながら意味を成さなかった。


なされるがままについていくとそこには草原には似つかわしくない穴がぽっかりと空いていた。いや、穴という表現は正しくないな。そこだけ草が円を描くように踏まれたようになっていて、まるでミステリーサークルのようだ。何かがあった形跡のように見えるけど・・・・・・。


彼女は僕を連れて円の中に入るとぼそぼそと聞き取れない言葉を喋り出し、円の中心に向って手をかざす。すると目の前に、ここに来る前に見た魔方陣に似たものが周りに風を巻き起こしながらあらわれる。大きさではこちらの方が圧倒的で威圧感を放っていた。赤い光を放つそれはどうやら彼女が出したようで、明るいはずの草原が暗くなった気がした。

彼女の魅力的な薄色の髪は風になびき、そこから見える深紫の瞳は強い意志を感じさせた。まるで


「・・・・・・行くよ。準備はいい?」


見惚けていた僕はおもむろに手を引かれ、彼女と共に魔方陣の中心に立たされる。・・・・・・えーっと、この人は何を・・・・・・?

その瞬間先ほどの魔方陣が勢いよく光り出した。


「ちょっ―――――まっ―――――」


彼にとってデジャヴのようなことが起きたのであった。




読んでくださってありがとうございます!


もし読んでくださった方の中に作品を創っている方がおられましたら、感想等で告知していただけると私が読みに行きます!感想も書きます!


よろしくお願いします<m(__)m>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] うおおおお!!!先が気になります! [一言] この文章能力を僕に下さい(切実)
[一言]  面白かったです。  もし、続きがある小説だったら一気に読んでいたと思います。こういう風な、読者を話さない展開好きです。  一応、私もファンタジー書いているのですが、転生物は苦手で書けない…
2017/07/27 13:36 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ