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サバゲー王者は国を守る  作者: 黒川 想流
1章 戦争の幕開け
14/15

14話 本部



彼の車で行った先にあったのは、ゲームで見たような如何にも基地と言わんばかりの場所だった。

その景色を見て、これから本当に軍人として戦うんだと改めて自覚した。


駐車スペースに車を止め、降りると彼は基地の本部であろう建物へと歩き始めた。

警備の人達は恐らく俺達、正確には彼の事を知っているんだろう。

顔を見ると、何も言わずに中へと入らせてくれた。


中に入って少し奥に進むと無数のモニター、そしてオペレーターであろう人物が何十人も居る部屋に着いた。

そこらの会社でもこんな光景は見るかもしれないが、雰囲気が違う。

殺伐としていると言うべきなのか、命に関わる程の仕事をしているんだと分かる位の空気が漂っていた。


「お待ちしておりました、観月さん、神崎さん」


横から不意に現れた姿はもう三度も見た男の姿だった。

相変わらず茶色のスーツで如何にもエリートビジネスマンと言わんばかりのその容姿。


「漸くこちらの都合は終わりましたので、こちらに訪れました」


健さんはその男に向かってそう言った。


「見てましたよ、PTTの中継」


男はそう言って俺の方を見て、「見事な腕前でした、是非とも私達のために戦ってもらいたい」と言うと、握手を求めるように手を出してきた。


「もちろんです」


俺はそう言ってその手を握った。

少しして、彼は手を離すと振り返って健さんを見た。


「よく彼をここまで育てた物だ。君がふさわしいかもしれないな」


男は健さんに聞こえるようにそう呟いた。



「それで、私達はこれから何をすれば?」


健さんはその男にそう聞いた。

男は少し考えた後、こう答えた。


「分隊の皆に彼を紹介すべきかと…、次の作戦まで時間はあるので、その間に打ち解けて貰いましょう」


「なるほど、分かりました」


健さんはそう言うとこちらに歩いてきた。


「習、君に紹介したい人達が居る。付いてきてくれ」


「はい」


あれ?何で健さんが案内するんだ?

その疑問が俺の頭の中を駆け巡っていたが、何か理由があるんだろうと思い考えない事にした。



一度外に出てから道なりに進むともう一つの建物があった。

そこに健さんと俺は入っていく。


入ってすぐの待合室のような場所に3人の男女が座っていた。

彼等はこちらを見ると、立ち上がって、近付いてきた。


「よぉ! やっと来たか健!」


金髪の如何にも怖そうな男は先頭に出て、手を上げてそう言った。

どうやら健さんとは既に知り合いのようだ。


「そいつが噂の弟子か?」


「あぁ、そうだ」


彼等は健さんの後ろに居た俺を見ていた。


「俺の名前は赤城(あかぎ) (どく)だ!お前は?」


金髪の男は馴れ馴れしくそう聞いてきた。

俺はその勢いに圧倒されて少し戸惑って答えた。


「えっと、神崎 習汰です…」


そう答えた瞬間、男の表情が一変した。


「あ…? 神崎…だと?」


まるで敵を見るような鋭い目つきでそう聞いてきた。


「おい、神崎ってもしかして」


「あぁ、秀人の弟だ」


健さんがそう答えると、男から殺意を感じる程の目つきで睨まれた。


「てめぇ…奴の弟かよ…」


「兄さんと知り合いなんですか?」


俺は率直な質問をした。すると、彼は突然拳を振り下ろした。

反応速度があまり良くない俺は避ける事が出来なかった。

だが、健さんが咄嗟に彼の腕を押さえてくれた。


「まあ落ち着け、今は喧嘩をしてる場合じゃない。相手の事情も知らずに怒りをぶつけようとするな」


「事情だと…?」


金髪の男はそう言うと手を下げた。


「気に障るような事を言ったならすみませんでした」


俺はそう言って頭を下げた。



「とりあえず改めて各自の自己紹介をしよう」


健さんがそう言って場を仕切る。


「まずは毒、お前からだ」


「俺は赤城 毒、二十歳だ。 俺は天才と呼ばれる人間が嫌いでな、だからお前の兄である神崎 秀人も嫌いなんだよ」


彼はまだ少し不機嫌そうにそう言った。

なるほど、それで怒ったのか…


「そういう事だったんですね、でも兄の事をどこで?」


兄が天才的な人間であるのは確かだが、その情報をどこで得たのかが気になった。


「健から聞いたんだ」


そう言って彼は健さんの方を見る。


「彼は間違いなくこれと言った努力はしていない。そう私の目が言っていた」


健さんは恐らく兄と話していた時にいろいろ見たんだろう。


「あぁ、それと言い忘れてたけど、俺はとある力を持っててな」


男はそう言って自分の手の平を眺めていた。


「この手で触った機械はどんな壊れ方してても直るんだ」


「そんな事が出来るんですか!?」


俺は思わず声を大きく出してしまった。


「おっ、おう、だから何か壊れたもんがあったら持って来いよ」


そう言われて壊れた物を考えた。

すぐに浮かんだのは今、ポケットに入っている特訓最中に壊れた携帯だった。

もしかして、健さんが言っていた直せる人って彼の事だったのか…


「早速なんですけど、最近これ壊してしまって、その力を見せてもらえませんか?」


「おう、いいぞ」


彼はそう言ってスッと俺の手からスマートフォンを取りその手で、包むように握った。

すると次見た瞬間、携帯は割れる寸前どころか新品のように綺麗になっていた。


「おお…!」


本当にそんな能力があるんだ。皆やっぱり何かを持っているからこんなところに来ているのかな…

俺なんかがこれから先戦えるのか不安になってきた。


「ありがとうございます」


そう言って直ったスマートフォンを貰った。



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