〈2〉57.1%
家に帰りニュースを見ると、どの番組も隕石が落ちてくるという話題で持ちきりであった。
ネットを見てみても、〈地球最後の日をどう過ごす?〉などといった、明日地球が消滅してしまうかもしれない事について色々と書かれていた。
(くそっ、どうにか軌道を変える事は出来ないのか?)
いよいよその日が明日に迫ってきた事によって守もこの問題について真剣に考え始めた。
だが所詮、ただの高校3年生に出来る事など何もない。
守に出来る事は情報収集くらいだった。
情報収集に明け暮れていた守はふとため息をついた。
(無理だ…俺には何も出来ない…)
改めて自分の無力さを感じながら、地球消滅までどう過ごそうか考える。
(最期の日くらい豪華な食事をとるか? それとも家でその時を迎えるか…)
『ただいま…』
守は突然家の中に響いた声に驚く。
妹の声だ。だが、元気がない。
多分学校で明日の事ついて聞かされたのだろう。
そんな事を聞かされれば誰だって元気が無くなる。
妹はまだ幼い頃に両親をなくし、それからは兄と妹、二人三脚で歩んできた。
過去に辛い事があっても乗り越えてここまで来た。
なのに…
(せめて、妹だけには幸せになってもらいたかった)
守はそんな事を思いながら妹に問う。
『今日の夜は何が食べたい?』
少し間があってから妹が答える。
『お寿司…かな?』
まぁ、そう言うだろうと思っていた。妹の好物は寿司だからだ。
外へ食べに行くのではなくて、家で食べたいという妹の要望に応えるため、出前を頼んだ。
これが本当に最後の晩餐になってしまうかもしれないと思いながら寿司を食べた。
風呂に入り、そろそろ寝ようとしていた守は自分の部屋の前で妹に声を掛けられた。
『いっしょに寝てもいい?』
もちろんそんなのいいに決まっている。
俺は即答で『いいよ』と答えた。
妹が寝たのを確認した守はそろそろ自分も寝るかと思い目を閉じる。
しかし、一向に眠れる気配がない。
結局その日、守は眠る事なく次の日の朝を迎えた。
今日、地球が消滅する。 (かもしれない…)
だが、学校がある。
守は悩んでいた。
学校へ行くべきか否か。
もし、本当に今日で地球が消滅するのなら学校には行かず、妹と二人、家で過ごすだろう。
だが、消滅しない可能性もある。
ふと、最期にクラスメイトの顔を見ておきたいと思ったが、これといって親しい友人がいない守は妹を優先させる。
色々と悩んだ結果、結局学校には行かないことにした。
隕石が迫ってきた事でより精密な計算が可能性になった。その最新のデータによる計算だと、地球に隕石が衝突する確率は70%以上だという。
ニュースでは隕石衝突までのカウントダウンが行われている。
あと5時間…
5時間で何が出来るだろうか?
守は今までの思い出を振り返った。
特にこれといった思い出はない。
両親との思い出は数えるほどしかない。
(こう思うと、妹との2人での生活、結構楽しかったなぁ)
ぼんやりとそんな事を思う守。
隣には妹がいる。
妹はテレビのカウントダウンの数字をジッと見つめている。
時が流れるのは早い。 時は止まってはくれない。
気づけばもう残すところあと1時間まで迫っていた。