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〈1〉 普段通りの生活



『うおぉ〜〜、どうする?どうする?〜』


俺、星野守は今人生最大の悩みを抱えていた。

その悩みとは、今日学校に行くべきなのかそれとも行かなくても良いのかということである。

何故彼はそんなくだらない事を悩んでいるのだろうか?

それは3日前の事…



ーー 5月25日


『お兄ぃちゃん〜、ごはんできたよ〜』


『おう、今行く』


今俺のことを呼んだのは3歳下の妹、楓である。

楓は昔から料理をする事が好きらしく、両親が交通事故で他界してから毎日俺の食事を作ってくれている。


『あぁ、今日も学校かぁ』

守がいかにもだるそうに言う。


すると、2人分の朝食をリビングにあるテーブルに持って来た楓が

『お兄ちゃんは今年受験生なんだからもっとやる気出さないと』

と言った。


そう、俺は今年で高校3年生。つまり受験生なのだ。

まわりの人も大学受験に向けて必死に勉強に励んでいる。


『そういやお前も今年受験だろ?』

と言い話題の対象を変えようとする。


『そうだよ。私はお兄ちゃんと違って毎日しっかり勉強してます〜』

楓が訳知り顔で言う。


(くそう…妹にまで勉強の事を言われるとは…)

学校で先生に勉強の事を散々言われた守はそんな事を思うのであった。


『じゃあ、行ってきます!』

守がまだ家にいる妹へ言う。


『うん、行ってらっしゃい』


守が通う高校は、家の近くの駅から電車で30分の所にある平均的な学校である。

彼はいわゆるどこのクラスにも1人はいるような隠キャラとして、学校生活を送っている。そのため、これといって親しい友人はいない。


いつも通りの学校生活を終え、家に帰ろうとすると 駅前の書店に置いてある雑誌の表紙に目がいった。


『5月28日に地球が終わる⁉︎』


(ふっ、こんな胡散臭い話誰が信じるんだ?)


そんな事を心の中で思いながらも彼はその雑誌を手に取っていた。


その雑誌を読み進めるにしたがって、彼はより一層その胡散臭さを感じていった。


(地球に隕石が衝突する!? ふっ、そんなアニメ的展開は現実では起こらんよ。どうせ、レストランの売り上げが悪いから、最後の晩餐と称した客集めでもしているんだろ)

などと思いながら、その雑誌を元に戻した。


家に帰ると勉強をしなくてはならないという使命感に襲われ机へ向かうが、一文字も書かないまま結局いつも通りネットゲームをするのであった。


集中してゲームをやっている時は大抵、時間が経つのを早く感じるものなのだ。気がついたらもう夜の10時を過ぎていた。

ふと、夕食ができたと妹が自分の事を呼んでいないことに気がついた。

どうしたものかとリビングへ降りていくと、テーブルに教科書とノートを広げうつ伏せになって寝ている妹の姿を発見した。


(あいつも頑張っているんだなぁ)

と感じ自分も頑張らなくては!と思うが結局その日、彼が勉強をする事はなかった。


料理の出来ない守はその夜1人でカップラーメンをすすりながらスマホをいじっていた。

すると、Twitterにとある話題があがっているのを見つけた。


(地球に隕石が衝突する?…これはさっきの雑誌に載ってたやつだ)


守はそれからいろいろなサイトで隕石衝突について調べた。

しかし、睡魔が襲ってきて多くの事は調べられず、その日分かったことはその話題はかなりネットで出回っていて、そこそこ信用出来る話だという事くらいだった。


翌日、いつも通り妹に起こされた俺は嫌々学校へ登校した。


いつも通りの生活を送り、帰ろうとすると担任の先生に呼び止められた。


『守。お前、将来やりたい事とかはないのか?』

先生が心配した表情で言った。


(やりたい事ねぇ…なんもねーな)

と思いつつ

『いや、とくに決まってないっす』

と言う。


『なんか興味ある事はないのか?』


と聞かれ考えていると、ふと昔の事を思い出した。


ーー『お母さん、ぼく将来天文学者になるのが夢なんだ〜。天文学者になって、まだ解明されていない宇宙の謎を解いてみせるんだ〜。宇宙はね、とっても広くてね、…』


(そういえば一時期、宇宙に憧れていた事もあったっけ)


結局、『考えてみます』と言い家へ帰ってきた俺はなんとなく昔読んでいた宇宙の本を探し始めた。


『確かこの辺に…』


昔の記憶を辿りながら本のありそうな場所を探していった。


すると、意外と簡単に目当ての本が見つかった。


【宇宙の神秘】


(懐かしいなぁ)

と思いながらその本を読み返す。



ーー『お兄ちゃん〜、ご飯だよ〜』


読書に没頭していた俺は妹の声によって現実の世界へと意識を戻す。


『わかった、今行く』

そう応え、本を閉じる。


リビングを降りてテーブルに着くと、そこには美味しそうなカレーがあった。


『なぁ楓〜、もし明後日隕石が地球に衝突するって言ったら信じるか?』

守は突然そんな事を言い出した。


『え、何それ?アニメの見過ぎじゃないのお兄ちゃん』

楓が馬鹿にしたように言う。


(そうだよなぁ、やっぱり信じないよなぁ)

守はそう思い、もう1度ネットで調べてみることにした。


翌日、守は妹に起こされる前に自然に目覚めていた。

学校の制服に着替え、リビングに降りて行くと、

『あれっ?お兄ちゃん、今日は早いね』

と妹に言われた。


『俺だって毎日毎日、おまえに起こされるわけにはいかねーよ』

と言い返す。


いつも通り朝食を終え、学校に行った守はクラスがざわついている事に気がついた。


『何かあったのか?』

守は近くにいたクラスメイトに聞いた。


すると、

『え?星野君ニュース見てないの?大変な事になってるよ?』

と返された。


一体何があったんだ?と思い詳しい事を聞いてみると〈明日隕石が降ってくる〉という事について新しい事がネットに書かれたらしい。


(やっぱり騒ぎになったかぁ。まあ最近の子はそういう情報に敏感だしなぁ、今回は少し遅い気がするけど…)

などと思いながら、その記事を見てみた。


〈隕石が地球に落ちてくる確率は57.1%である〉


(たった57.1%なのにこんなに大騒ぎしてるのか?こいつらは。第一、隕石くらいミサイルでワンパンだろ?)

などと考えながら、別の記事も見てみると…


〈隕石の質量は推定、地球の4分の1程度だと考えられる。よって、現在の破壊兵器のどれを使ってもこの隕石を破壊する事は出来ない…〉

などと書かれていた。


(えっ、マジ?これってかなりやばくね?)

守はようやく危機感を感じ始めた。


(いや待てよ、でも隕石が地球に衝突する確率は57.1%なんだろ?だったら落ちてこないんじゃないのか?第一、57.1%とか[こ・な・い]って事だろ?)

危機感を感じてもなお、守はそんな事を考えていた。


57.1%と聞くと低いと感じる人もいるのかもしれない。例えば降水確率が57%と言われると、降らないと思う人の方が多いのではないだろうか?

しかし、その対象が隕石となると話は別だ。

隕石が落ちてくる確率が57%と言われると、これはやばいと感じる人がほとんどではないだろうか?


実際、世界中でこのニュースを聞いてパニックを起こしている人も少なくはない。


しかしこの日、彼の通う学校ではこれといった話がなくいつも通りの生活が送られていた。


守は学校が終わるとすぐさま家へ帰った。

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