第1話【はじまり】
さて、これは小説だ。
正確には小説的な小説だ。
なので、小説的な事が起こり得る。
きっと、起こり得るはずである。
少なくとも、作者はそういう予定でパソコンのキーボードでこの文字を打っている。
さて、小説とはイッタイなんだろうか?
作者によって解釈は違うが今これを書いている作者、すなわち俺の解釈では作り話だ。
日記は日記で自分の過去の行動やそれを踏まえた上での思い出話を軸に何かしらの事を書けば良い。エッセイや記事は社会的に起きた出来事や実体験を中心に持論や異論を挟み込みながら文字を並べれば成立する。
しかし、これは小説である。なので、作り話であり、何かしらのドラマが起こり得るわけである。従って、作者の俺としても何か起こり得るつもりで文字を打っているわけである。誰かが死んだり、生きたり、笑ったり、涙を流したり、恋をしたり、銃を撃ったり、撃たれたり、するかもしれないし、サメに食われたり、ロボットに命を狙われたり、タイムマシンに乗ったりするかもしれない。そして、それを読んだ読者の感情が揺れ動き、読者自身も笑ったり、泣いたり、はたまた、よからぬ、悪影響から、秋葉原で人を殺しまくったりしてしまうかもしれない。それが小説である。まあ、小説なので何かが起こるわけだが、何かが起こるためには誰かがいる必要がある。なので、まずは、誰かがいることにしようと思う。誰かは人間でも良いし、犬や猫や、ウサギやイルカや、オケラだって、カエルだって、アメンボだって良いのだが、とりあえずはポピュラーに人間という事にしようと思う。男にしようと思う。男が家の中にいる事にしようと思う。家の中から家の外へ行き、何かしらが起こる事にしようと思う。そのために、まずは男が家の中から家の外へ出掛けるための用事という名の作り話を作らなくてならない。作らなくてはならないのだが、話を作るのは作者の役目なので、繰り返しながら、どうかそのへんは俺に任せて欲しいと思う。読者は読者らしく、俺の打った文字を目で追っていれば良いのだ。それで何の問題無い。全てが上手くいく。なので、改めて、話を作るところ自体はどうか、俺に任せて欲しいと思う。自慢じゃないが俺は小説を書いたりするのがけっこー得意である。昔から「面白い小説書きますね」みたいな事を言われたりする事があった。だから自信もある。自分で「自信がある!!」みたいに言うのは「こいつ調子に乗ってねーか?」みたいに思われる不安もあるが、その不安を上回る程に俺には自信がある。だから任せて欲しいと思う。本日は以上。我ながら2話目が楽しみである。